(保険料等の督促及び滞納処分)
第百八十条 保険料その他この法律の規定による徴収金(第二百四条の二第一項及び第二百四条の六第一項を除き、以下「保険料等」という。)を滞納する者(以下「滞納者」という。)があるときは、保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合、協会が管掌する健康保険の被保険者若しくは日雇特例被保険者であって第五十八条、第七十四条第二項及び第百九条第二項(第百四十九条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による徴収金を納付しなければならない場合又は解散により消滅した健康保険組合の権利を第二十六条第四項の規定により承継した場合であって当該健康保険組合の保険料等で未収のものに係るものがあるときは協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外の場合は厚生労働大臣をいう。以下この条及び次条第一項において同じ。)は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、第百七十二条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
2 前項の規定によって督促をしようとするときは、保険者等は、納付義務者に対して、督促状を発する。
3 前項の督促状により指定する期限は、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。ただし、第百七十二条各号のいずれかに該当する場合は、この限りでない。
4 保険者等は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区とする。第六項において同じ。)に対して、その処分を請求することができる。
一 第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料等を納付しないとき。
二 第百七十二条各号のいずれかに該当したことにより納期を繰り上げて保険料納入の告知を受けた者がその指定の期限までに保険料を納付しないとき。
5 前項の規定により協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
6 市町村は、第四項の規定による処分の請求を受けたときは、市町村税の例によってこれを処分することができる。この場合においては、保険者は、徴収金の百分の四に相当する額を当該市町村に交付しなければならない。
180
【試験問題】次の説明は、健康保険組合に関する記述である。督促を受け、なお、指定された期限までに保険料を納付しない場合、健康保険組合は、厚生労働大臣(地方厚生局長、地方厚生支局長)の認可を受けることにより、国税滞納処分の例にしたがって自ら保険料の滞納処分を行うことができる。【解答】○
前項の規定により協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 (健康保険法 180条5項)
健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
[自説の根拠]健康保険法180条5
協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の許可を受けなければならない。
(保険料等の督促及び滞納処分)
保険料その他この法律の規定による徴収金(第二百四条の二第一項及び第二百四条の六第一項を除き、以下「保険料等」という。)
を滞納する者(以下「滞納者」という。)があるときは、
保険者等(・被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合又は協会が管掌する健康保険の被保険者若しくは日雇特例被保険者であって第五十八条、第七十四条第二項及び第百九条第二項(第百四十九条においてこれらの規定を準用する場合を含む。)の規定による徴収金を納付しなければならない場合は協会、・被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外の場合は厚生労働大臣をいう。
以下この条及び次条第一項において同じ。)は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、第百七十二条の規定により保険料を徴収するときは、この限りでない。
[自説の根拠]健康保険法 第百八十条
協会及び健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行うことが禁止されているわけではないため、厚生労働大臣による許可ではなく認可を受けることとされている。
協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。
※市町村に処分を請求したときは、保険者は徴収金の4%相当額を交付します。
[自説の根拠]法180条4項
【日本年金機構が滞納処分を行う場合】について
平成22年の法改正により、厚生労働大臣の権限に係る事務の委任の規程により、【日本年金機構】が滞納処分を実施する場合は、あらかじめ【厚生労働大臣の認可】を受けるとともに、日本年金機構が定める【滞納処分等実施規定】に従って、徴収職員に行わせることと定められています(法204条の3)。
保険者等である、設問の健康保険組合が市町村に対して滞納処分を請求したときは、市町村は市町村税の例によってこれを処分することができます。この場合、徴収金の100分の4に相当する額を当該市町村に交付する必要があります。
協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の【認可】を受けなければならない。
この厚生労働大臣の【認可】は、地方厚生局長、地方厚生支局長に権限が委任されている。
【試験問題】次の説明は、保険料に関する記述である。
健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。【解答】?
180
【試験問題】次の説明は、保険料に関する記述である。
保険料納付義務者が保険料を滞納するときは、保険者は健康保険法施行規則に定められた様式の督促状によって督促しなければならないが、納付義務者が公課の滞納によって滞納処分を受けるときは、保険料の督促を口頭で行うことができる。【解答】×
保険者等は、納付義務者が次の各号のいずれかに該当する場合においては、国税滞納処分の例によってこれを処分し、又は納付義務者の居住地若しくはその者の財産所在地の市町村(特別区を含むものとし、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百五十二条の十九第一項の指定都市にあっては、区とする。第六項において同じ。)に対して、その処分を請求することができる。
1号 第一項の規定による督促を受けた者がその指定の期限までに保険料等を納付しないとき。 (健康保険法 180条4項1号)
公課の滞納によって滞納処分を受けるときは、繰上徴収の規定により納期を繰り上げて保険料を徴収する場合でも、督促する必要はない。
法180条により、保険者は所定の様式の督促状を発することにより、期限を指定してこれを督促しなければならない。とあり、督促は口頭で行うことはできません。
ただし、保険料納付義務者が国税等の滞納処分や破産手続き開始の決定等を受けたため保険料の繰上徴収を行う場合は、督促をせず、ただちに滞納処分を行うことができる。
この場合は「公課(国・地方公共団体が徴収する租税以外の徴収金(保険料など))」なので誤りとなる。
保険料等を滞納する者があるときは、保険者は、期限を指定して、納付義務者に督促しなければならないことになっている。
ただし、納付義務者が国税、地方税その他公課を滞納し滞納処分を受ける場合(法172条1号イ)等で、保険料の納期限前に繰上徴収をする場合は 督促する必要はないとされている。
しかしながら、督促する必要がないのは、あくまで保険料の納期限前に繰上徴収する場合であり、保険料の納期限を経過した(滞納)後に、保険料の繰上徴収事由に該当した場合は、督促状によって督促する必要がある。
よって、「保険料の督促を口頭で行うことができる」とした問題文は誤りである。
[自説の根拠]法180条1項・2項、則153条
細かい話ですが、保険者→保険者等 ですね。
5 180条5項
次の説明は、健康保険法に関する記述である。
収支の均衡しない健康保険組合が、厚生労働大臣の指定を受けた場合は、健全化計画を作成し、厚生労働大臣の承認を受けて、これに沿った事業運営を行うこととされている。 2001年度(平成13年度)
解答○
前項の規定により協会又は健康保険組合が国税滞納処分の例により処分を行う場合においては、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。 (健康保険法 180条5項)
財政健全化目指す「指定基金」に48の厚生年金基金が指定
厚生労働省は12月15日、「指定厚生年金保険法」第178条の2第1項の規定に基づき、平成22年12月8日付で48厚生年金基金を、早期かつ確実に財政健全化を図ることを目的とした「指定基金」に指定したことを発表しました。
指定要件について
積立金の資産額が、3事業年度(今回の指定では平成19~21年度)決算で連続して、解散した場合に返さなければならない額の9割を下回った厚生年金基金。(平成22年12月17日NEWS)
財政窮迫状態にある健康保険組合が、厚生労働大臣より指定を受けた場合、財政健全化計画を作成し、厚生労働大臣の承認を受け、その計画に沿った事業運営を行わなければならない。
なお、指定健康保険組合が、財政健全化計画に従い事業を行わない場合などは、厚生労働大臣は解散等を命じることができる。(法29条2項)
[自説の根拠]法28条1,2項
・指定健保組合
収支が均衡せず大臣の指定を受けた場合。「健全化計画」を定め大臣の「承認」を受けなければならない。
【大臣の指定基準】財源率が1000分の95を超える状態が継続し、準備金等が直前3年度に行った保険給付費の年平均額の3/12を下回ったもの
関連問題
次の説明は、保険医療機関に関する記述である。
保険医療機関として指定を受けた病院が、特定の健康保険組合と契約し、その健康保険組合の被保険者及び被扶養者のみ診療する場合には、厚生労働大臣の承認を得なければならない。
解答○?
(延滞金)
第百八十一条 前条第一項の規定によって督促をしたときは、保険者等は、徴収金額に、納期限の翌日から徴収金完納又は財産差押えの日の前日までの期間の日数に応じ、年十四・六パーセント(当該督促が保険料に係るものであるときは、当該納期限の翌日から三月を経過する日までの期間については、年七・三パーセント)の割合を乗じて計算した延滞金を徴収する。ただし、次の各号のいずれかに該当する場合又は滞納につきやむを得ない事情があると認められる場合は、この限りでない。
一 徴収金額が千円未満であるとき。
二 納期を繰り上げて徴収するとき。
三 納付義務者の住所若しくは居所が国内にないため、又はその住所及び居所がいずれも明らかでないため、公示送達の方法によって督促をしたとき。
2 前項の場合において、徴収金額の一部につき納付があったときは、その納付の日以後の期間に係る延滞金の計算の基礎となる徴収金は、その納付のあった徴収金額を控除した金額による。
3 延滞金を計算するに当たり、徴収金額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。
4 督促状に指定した期限までに徴収金を完納したとき、又は前三項の規定によって計算した金額が百円未満であるときは、延滞金は、徴収しない。
5 延滞金の金額に百円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。(協会による広報及び保険料の納付の勧奨等)第百八十一条の二 協会は、その管掌する健康保険の事業の円滑な運営が図られるよう、当該事業の意義及び内容に関する広報を実施するとともに、保険料の納付の勧奨その他厚生労働大臣の行う保険料の徴収に係る業務に対する適切な協力を行うものとする。
(協会による保険料の徴収)
第百八十一条の三 厚生労働大臣は、協会と協議を行い、効果的な保険料の徴収を行うために必要があると認めるときは、協会に保険料の滞納者に関する情報その他必要な情報を提供するとともに、当該滞納者に係る保険料の徴収を行わせることができる。
2 厚生労働大臣は、前項の規定により協会に滞納者に係る保険料の徴収を行わせることとしたときは、当該滞納者に対し、協会が当該滞納者に係る保険料の徴収を行うこととなる旨その他の厚生労働省令で定める事項を通知しなければならない。
3 第一項の規定により協会が保険料の徴収を行う場合においては、協会を保険者等とみなして、第百八十条及び第百八十一条の規定を適用する。
4 第一項の規定により協会が保険料を徴収したときは、その徴収した額に相当する額については、第百五十五条の二の規定により、政府から協会に対し、交付されたものとみなす。5 前各項に定めるもののほか、協会による保険料の徴収に関し必要な事項は、政令で定める。
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【試験問題】次の説明は、費用負担に関する記述である。特例退職被保険者が、刑事施設、労役場等に拘禁されたときは、一般被保険者に適用される保険料徴収の特例が適用されず、保険料が徴収される。【解答】○
第一項の規定により協会が保険料の徴収を行う場合においては、協会を保険者等とみなして、第百八十条及び第百八十一条の規定を適用する。 (健康保険法 181条の3第3項)特例退職被保険者は,健康保険法の一部の規定を除いて任意継続被保険者とみなされることになっている。よって、特例退職被保険者が刑事施設、労役場等に拘禁されたときであっても一般被保険者に適用される保険料徴収の特例は適用されない。法 第158条 法附則3条6項設問については、特例退職被保険者及び任意継続被保険者にはこの特例が適用されませんが、一般被保険者に適用される場合は、「刑事施設等に拘禁された月(資格取得月の場合は翌月)から該当しなくなった月の【前月】までの間、【被保険者負担分及び事業主負担分どちらも】保険料が徴収されません。特例退職被保険者及び任意継続被保険者には、保険料が徴収されなくなる特例が適用されませんので、原則どおり、「その月の10日」までに保険料を納付しなければなりません。保険料徴収の特例は、任意継続被保険者および特例退職被保険者には適用されない。下記の場合には、任意継続被保険者を除き、保険料は徴収されない。1. 少年院その他これに準ずる施設に収容されたとき 2. 刑事施設、労役場その他これらに準ずる施設に拘禁されたとき 特例退職被保険者は、任意継続被保険者とみなされるため、保険料徴収の特例は適用されず、保険料が徴収される。法158条,法118条,法附則3条6項次の説明は、保険給付の受給権等に関する記述である。被保険者が刑事施設に拘禁されたときは、保険料の徴収及び疾病、負傷又は出産に係る被保険者に対する保険給付は原則として行われない。
(先取特権の順位)
第百八十二条 保険料等の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
(徴収に関する通則)
第百八十三条 保険料等は、この法律に別段の規定があるものを除き、国税徴収の例により徴収する。
督促および滞納処分
•繰上徴収(法172)
・cf.厚生年金法雑則
・税滞納処分、強制執行、破産手続き(民事再生法ではない)開始の決定、企業担保権の実行手続き、競売の開始
・納付義務者(法人の事業主)が解散した時
・事業所が廃止、譲渡された時
cf.保険料の督促と滞納処分、延滞金まとめ
•督促
・督促状の期限は発する日から10日以上経過した日
・繰り上げ徴収の場合は「督促」しない、従って延滞金を徴収しない
•延滞金
・納期限の翌日から完納日(差押え日)の前日までの日数に年14.6%(3月まで7.3%)の延滞金
・徴収金1000円未満、延滞金100円未満は延滞金は徴収しない
•滞納処分
・繰り上げ徴収の場合は「督促」しないで即滞納処分が行われる
・国税滞納処分の例による処分の請求を市町村にした場合、徴収金の4%交付する
時効
•cf.時効まとめ
•保険料、保険給付2年
・起算日
◦保険料徴収 納付期限の翌日
◦保険料還付 過納、誤納の翌日
◦傷病手当金 労務不能であった日の翌日ごと
◦高額医療費 診療月の翌月初日ただし支払日が翌月の場合その翌日
◦出産手当金 労務に服さなかった日の翌日ごと
◦埋葬料 死亡日の翌日(労災:葬祭費と同じ)
*埋葬に要した費用は埋葬した日の翌日
◦高額介護合算療養費 計算期間の末日の翌日=翌8月1日
書類の保存
•cf.事業主の書類の保存
•事業主
・完結の日より2年
・(労働安全衛生法:健康診断個人票5年)
•保険医療機関
・療養の給付に関する帳簿 3年
・患者の診療録 5年
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