– 第二節 確定給付企業年金から確定拠出年金への移行等
– (確定拠出年金を実施する場合における手続等)
第百十七条 事業主等は、規約で定めるところにより、積立金の一部を、実施事業所の事業主が実施する企業型年金(確定拠出年金法(平成十三年法律第八十八号)第二条第二項に規定する企業型年金をいう。以下同じ。)における当該実施事業所に使用される加入者の個人別管理資産(同条第十二項に規定する個人別管理資産をいう。以下同じ。)に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該積立金の一部を、当該事業主等の資産管理運用機関等から当該企業型年金の資産管理機関(同条第七項第一号ロに規定する資産管理機関をいう。以下同じ。)に移換することができる。
– 2 前項の規約を定める場合には、当該企業型年金を実施する実施事業所の事業主の全部及び加入者のうち当該積立金の移換に係る加入者(以下この条において「移換加入者」という。)となるべき者の二分の一以上の同意並びに加入者のうち移換加入者となるべき者以外の者の二分の一以上の同意を得なければならない。
– 3 前項の場合において、当該企業型年金が実施される実施事業所が二以上であるときは、同項の移換加入者となるべき者の同意は、各実施事業所について得なければならない。
– 4 第八十三条の規定により終了した確定給付企業年金の事業主等は、規約で定めるところにより、残余財産の全部又は一部を、当該終了した確定給付企業年金に係る厚生年金適用事業所の事業主が実施する企業型年金における当該厚生年金適用事業所に使用される被用者年金被保険者等の個人別管理資産に充てる場合には、政令で定めるところにより、当該残余財産の全部又は一部を当該企業型年金の資産管理機関に移換することができる。この場合において、第八十九条第六項中「残余財産(政令で定めるものを除く。)」とあるのは、「残余財産(政令で定めるもの及び第百十七条第四項の規定により移換されたものを除く。)」とする。
– 5 前各項に定めるもののほか、確定給付企業年金に係る厚生年金適用事業所の事業主が企業型年金を実施する場合における当該確定給付企業年金に関するこの法律その他の法令の規定の適用に関し必要な事項は、政令で定める。
– (確定給付企業年金から確定拠出年金への脱退一時金相当額の移換)
第百十七条の二 確定給付企業年金の中途脱退者は、企業型年金加入者(確定拠出年金法第二条第八項に規定する企業型年金加入者をいう。次条第一項において同じ。)又は個人型年金加入者(同法第二条第十項に規定する個人型年金加入者をいう。次条第一項において同じ。)の資格を取得したときは、当該確定給付企業年金の事業主等に当該企業型年金の資産管理機関又は同法第二条第五項に規定する連合会(以下この条及び次条において「国民年金基金連合会」という。)への脱退一時金相当額の移換を申し出ることができる。
– 2 当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等は、前項の申出があったときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る脱退一時金相当額を移換するものとする。
– 3 当該確定給付企業年金の事業主等は、前項の規定により当該確定給付企業年金の資産管理運用機関等が脱退一時金相当額を移換したときは、当該中途脱退者に係る脱退一時金の支給に関する義務を免れる。
– 4 当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等(確定拠出年金法第十七条に規定する企業型記録関連運営管理機関等をいう。次条第四項において同じ。)又は国民年金基金連合会は、第二項の規定により脱退一時金相当額が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者に通知しなければならない。
– (連合会から確定拠出年金への積立金の移換)
第百十七条の三 中途脱退者等は、企業型年金加入者又は個人型年金加入者の資格を取得した場合であって、連合会の規約において、あらかじめ、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に連合会の規約で定める積立金の移換ができる旨が定められているときは、連合会に当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会への当該積立金の移換を申し出ることができる。ただし、中途脱退者等が連合会が支給する老齢給付金の受給権を有するときは、この限りでない。
– 2 連合会は、前項の申出があったときは、当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に当該申出に係る積立金を移換するものとする。
– 3 連合会は、前項の規定により積立金を移換したときは、当該中途脱退者等に係る老齢給付金又は遺族給付金の支給に関する義務を免れる。
– 4 当該企業型年金の企業型記録関連運営管理機関等又は国民年金基金連合会は、第二項の規定により積立金が当該企業型年金の資産管理機関又は国民年金基金連合会に移換されたときは、その旨を当該中途脱退者等に通知しなければならない。
– (政令への委任)
第百十七条の四 前二条に定めるもののほか、確定給付企業年金又は連合会から確定拠出年金への脱退一時金相当額又は積立金の移換に関し必要な事項は、政令で定める。
– 第十三章 罰則
– 第百十八条 第九十条第一項又は第百一条第一項の規定による報告をせず、若しくは虚偽の報告をし、又はこれらの規定による当該職員の質問に対して答弁をせず、若しくは虚偽の陳述をし、若しくはこれらの規定による検査を拒み、妨げ、若しくは忌避した者は、六月以下の懲役又は五十万円以下の罰金に処する。
– 2 法人の代表者又は法人若しくは人の代理人、使用人その他の従業者が、その法人又は人の業務に関して、前項の違反行為をしたときは、行為者を罰するほか、その法人又は人に対しても、前項の罰金刑を科する。
– 第百十九条 次の各号のいずれかに該当する場合には、その違反行為をした事業主若しくは規約型企業年金の清算人又は基金の役員、代理人若しくは使用人その他の従業者若しくはその清算人は、百万円以下の過料に処する。
– 一 第九十条第四項又は第百二条第一項の規定による命令に違反したとき。
– 二 第百条第一項の規定に違反して、報告をせず、又は虚偽の報告をしたとき。
– 第百二十条 第七条第一項又は第十七条第一項の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした事業主又は基金の役員は、百万円以下の過料に処する。
– 第百二十一条 基金がこの法律の規定により基金が行うものとされた事業以外の事業を行った場合には、その役員、代理人若しくは使用人、その他の従業者又は清算人は、二十万円以下の過料に処する。
– 第百二十二条 基金又は連合会が、次の各号のいずれかに該当する場合には、その役員は、二十万円以下の過料に処する。
– 一 第十五条の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
– 二 第九十一条の二第五項又は第九十一条の三第五項(第九十一条の四第四項及び第九十一条の五第七項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、通知をしないとき。
– 三 第九十一条の二第六項(第九十一条の三第六項、第九十一条の四第五項及び第九十一条の五第八項において準用する場合を含む。)の規定に違反して、公告を怠り、又は虚偽の公告をしたとき。
– 第百二十三条 次の各号のいずれかに該当する者は、十万円以下の過料に処する。
– 一 第十条第二項の規定に違反して、企業年金基金という名称を用いた者
– 二 第八十六条又は第九十九条の規定に違反して、届出をせず、又は虚偽の届出をした者
年金・退職金
•確定給付企業年金法
確定給付企業年金法、確定拠出年金法
◦ 確定給付企業年金法(H13,6,15制定H14,4,1施行)
◦ 確定拠出年金法(H13,6,29制定H13,10,1施行)
確定給付企業年金法(H13,6,15制定H14,4,1施行)
•(目的)
第1条 この法律は、少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定給付企業年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
•(定義)
第2条 この法律において「確定給付企業年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、次章から第十一章までの規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦2 この法律において「厚生年金適用事業所」とは、厚生年金保険法第六条第一項 の適用事業所及び同条第三項 の認可を受けた適用事業所をいう。
◦3 この法律において「被用者年金被保険者等」とは、次に掲げる者をいう。
一 厚生年金保険の被保険者
二 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者
◦4 この法律において「企業年金基金」とは、前条の目的を達成するため、確定給付企業年金の加入者(以下「加入者」という。)に必要な給付を行うことを目的として、次章の規定に基づき設立された社団をいう。
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•目的
・少子高齢化、産業構造の変化、社会経済情勢の変化に対応
・事業主が従業員への確定給付企業年金の給付を約するための事項を定める
・高齢期における自主的な努力を支援する
•設立
・厚生年金適用事業所の事業主が60歳未満の被保険者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者の同意を得て規約を作成し、
◦規約について厚生労働大臣の承認を得る(規約型)
・統合、分割は厚生労働大臣の承認を受けて統合
◦企業年金基金の設立について厚生労働大臣の認可を受ける(基金型)
・合併、分割は代議員の3/4の議決で申請し、厚生労働大臣の認可を受けて合併
•加入者
・実施事業所に使用される被用者年金被保険者
・厚生年金適用事業と私立学校教職員共済(国家公務員、地方公務員共済は非対象)
•規約型企業年金
・資産管理運用機関に運用委託し、そこが給付する(企業年金のアウトソーシング)
•基金型企業年金
・資産管理運用機関に運用委託し、自ら給付する(厚生年金代行部分のない基金)
◦cf.厚生年金基金–代行返上
代行部分 国に返上
上乗せ給付 確定給付企業年金(規約型、基金型)
•給付(厚生年金基金と同じ)
・事業主が裁定し、資産管理運用機関に通知。資産管理運用機関が給付の支給を行う
・老齢給付金、脱退一時金の給付を行わなければならない
・終身または5年以上にわたり年1回以上定期的に支給
・障害給付金、遺族給付金の給付を行うことができる
給付事由 国民年金基金 厚生年金基金 確定給付企業年金 確定拠出年金
国民年金上乗せ 厚生年金上乗せ 退職金と同じ 個人年金保険と同じ
年金のみ課税可 老齢・脱退・遺族(死亡)は課税&差押
老齢 名称の定めなし 老齢年金給付 老齢給付金 老齢給付金
脱退 – 脱退一時金(法定) 脱退一時金(法定) 脱退一時金(当面)
障害 障害給付金(任意) 障害給付金(任意) 障害給付金(法定)
死亡 名称の定めなし 遺族給付金(任意) 遺族給付金(任意) 死亡一時金(法定)
◦老齢給付金
・加入期間20年以上で、60歳以上65歳未満 または 50歳以上の退職時(H24)
◦脱退一時金
・加入期間3年以上 cf.厚生年金脱退一時金の上限係数と同じ
◦障害給付金、遺族給付金
・障害認定日から老齢給付金支給開始年齢までに障害の状態に該当
•掛金
・事業主が年1回以上定期的に拠出する(加入者は一部負担できる)
・加入者の拠出は所得控除(生命保険控除)、事業主の拠出は損金算入
・毎事業年度終了後4月以内に決算に関する報告書を厚生労働大臣に提出
•企業年金制度間の移行
・確定拠出年金から他の企業年金に移すことはできない
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•確定拠出年金法
↑
確定拠出年金法(H13,6,29制定H13,10,1施行)
•cf.H22社一選択
•(目的)
第1条 この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
•(定義)
第2条 この法律において「確定拠出年金」とは、企業型年金及び個人型年金をいう。
◦2 この法律において「企業型年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、次章の規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦3 この法律において「個人型年金」とは、連合会が、第三章の規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦4 この法律において「厚生年金適用事業所」とは、略
◦5 この法律において「連合会」とは、国民年金基金連合会であって、個人型年金を実施する者として厚生労働大臣が全国を通じて一個に限り指定したものをいう。
◦6 この法律において「被用者年金被保険者等」とは、次に掲げる者であって、60歳未満のものをいう。
以下略
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•目的
・少子高齢化、産業構造の変化、高齢期の生活の多様化、社会経済情勢の変化に対応
・事業主が従業員への確定給付企業年金の給付を約するための事項を定める
・事業主、個人が拠出した資金を自己の責任で運用指図し結果に基づいた給付を受けるための必要な事項を定める
・高齢期における自主的な努力を支援する
•企業型年金
・厚生年金適用事業所の事業主が60歳未満の被保険者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者の同意を得て規約を作成し、厚生労働大臣の承認を得る
・厚生年金適用事業と私立学校教職員共済(国家公務員、地方公務員共済は非対象)の60歳未満の者
・運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託することが出来る
・資産管理機関に資産管理契約を締結しなければならない
・企業年金のアウトソーシング
加入者、運用指図者
・企業型年金が実施される厚生年金適用事業所に使用される60歳未満の者が企業型年金加入者
・加入者であった者(60歳に達して資格喪失または障害給付金受給者)で個人別管理資産に残高がある者は運用指図者とする
掛金
・事業主が各月の掛け金を翌月末日までに資産管理機関に納付する(加入者は一部負担できる「マッチング拠出」)
*マッチング拠出は拠出限度の枠内で事業主の掛け金以下とし所得控除される
・厚生年金基金または確定給付企業年金に加入する事業所の掛け金上限 ¥25,500
・厚生年金基金または確定給付企業年金に加入しない事業所の掛け金上限 ¥51,000
•個人型年金
・国民年金基金連合会は個人型年金の規約を作成し厚生労働大臣の承認を得る
・運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託しなければならない
・連合会は資産管理機関を兼ねる
加入者
・第1号加入者 障害基礎年金受給者以外の保険料免除者を除く国民年金1号被保険者
・第2号加入者 60歳未満の厚生年金被保険者
掛け金
・加入者は国民年金保険料の納付が行われた各月(国民年金2,3号は除く)に掛金を納付する
・第1号加入者 上限¥68,000(国民年金基金の上限と同じ、基金掛金と合算で上限適用)
・第2号加入者 上限¥23,000(厚生年金被保険者(2号被保険者)は国民年金基金に加入できないので所得控除で積立できるのはこれが上限)
•運用
・運営管理機関は3以上の運用方法を用意し1は元本保証の選択肢を用意する
•給付
◦運営管理業務
記録関連業務
・「加入者等」の氏名、住所、個人別管理資産額その他の加入者等に関する事項の記録、保存及び通知
・加入者等が行った運用の指図の取りまとめ及びその内容の資産管理機関又は連合会への通知
・給付を受ける権利の裁定
運用関連業務
・運用の方法の選定及び加入者等に対する提示並びに当該運用の方法に係る情報の提供
◦老齢給付金
・支給要件
60歳以上61歳未満 61-62 62-63 63-64 64-65 65歳以上
10年 8年 6年 4年 2年 1月
・支給予定期間は5年以上20年未満の年金とし、規約で一時金をすることもできる
・70歳に達した時は請求が無くても記録関連運営管理機関が裁定し、資産管理機関または連合会は老齢給付金を支給する
◦障害給付金
・障害認定日が70歳未満の時支給を請求できる
・支給予定期間は5年以上20年未満の年金とし、規約で一時金をすることもできる
◦死亡一時金
・記録関連運営管理機関が裁定し、資産管理機関または連合会は老齢給付金を支給する
◦脱退一時金(H16附則)
・年金での受給を原則としている規定
少額加入者
・加入者および運用指図者でなく(退職した)、個人別管理資産が¥15,000円以下の者は加入者資格喪失から6月以内に請求できる
短期加入者(通算拠出期間が3年以下)
・企業型年金から個人型年金に移換出来ない(個人型年金加入者になれない=国民年金1号2号に該当しない)場合脱退一時金を請求できる
・60歳未満、個人別管理資産が50万円以下、資格喪失から2年以内
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