– 第九章 確定給付企業年金の終了及び清算
– (確定給付企業年金の終了)
第八十三条 規約型企業年金は、次の各号のいずれかに該当するに至った場合に終了する。
– 一 次条第一項の規定による終了の承認があったとき。
– 二 第八十六条の規定により規約の承認の効力が失われたとき。
– 三 第百二条第三項又は第六項の規定により規約の承認が取り消されたとき。
– 2 基金は、次の各号のいずれかに該当するに至った場合に解散する。この場合において、当該基金型企業年金は、終了したものとする。
– 一 第八十五条第一項の認可があったとき。
– 二 第百二条第六項の規定による基金の解散の命令があったとき。
– (厚生労働大臣の承認による終了)
第八十四条 事業主は、実施事業所に使用される被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合があるときは当該労働組合、当該被用者年金被保険者等の過半数で組織する労働組合がないときは当該被用者年金被保険者等の過半数を代表する者の同意を得たときは、厚生労働大臣の承認を受けて、規約型企業年金を終了することができる。
– 2 前項の場合において、実施事業所が二以上であるときは、同項の同意は、各実施事業所について得なければならない。
– 3 第五条第二項及び第三項の規定は、第一項の終了の承認があった場合について準用する。この場合において、同条第三項中「承認を受けた規約」とあるのは、「承認を受けた旨」と読み替えるものとする。
– (基金の解散)
第八十五条 基金は、代議員会において代議員の定数の四分の三以上の多数により議決したとき、又は基金の事業の継続が不可能となったときは、厚生労働大臣の認可を受けて、解散することができる。
– 2 第五条第二項及び第三項の規定は、前項の解散の認可があった場合について準用する。この場合において、同条第三項中「承認を受けた規約」とあるのは、「認可を受けた旨」と読み替えるものとする。
– (規約型企業年金の規約の失効)
第八十六条 事業主(確定給付企業年金を共同して実施している場合にあっては、当該確定給付企業年金を実施している事業主の全部)が次の各号のいずれかに該当するに至った場合は、その実施する規約型企業年金の規約の承認は、その効力を失う。この場合において、それぞれ当該各号に定める者は、当該各号に該当するに至った日(第一号の場合にあっては、その事実を知った日)から三十日以内に、その旨を厚生労働大臣に届け出なければならない。
– 一 事業主が死亡したとき その相続人
– 二 法人が合併により消滅したとき その法人を代表する役員であった者
– 三 法人が破産手続開始の決定により解散したとき その破産管財人
– 四 法人が合併及び破産手続開始の決定以外の理由により解散したとき その清算人
– 五 厚生年金適用事業所の事業主でなくなったとき(前各号に掲げる場合を除く。) 厚生年金適用事業所の事業主であった個人又は厚生年金適用事業所の事業主であった法人を代表する役員
– (終了時の掛金の一括拠出)
第八十七条 第八十三条の規定により確定給付企業年金が終了する場合において、当該終了する日における積立金の額が、当該終了する日を第六十条第三項に規定する事業年度の末日とみなして同項の規定に基づき算定した最低積立基準額を下回るときは、第五十五条第一項の規定にかかわらず、事業主は、当該下回る額を、掛金として一括して拠出しなければならない。
– (支給義務等の消滅)
第八十八条 事業主等は、第八十三条の規定により確定給付企業年金が終了したときは、当該確定給付企業年金の加入者であった者に係る給付の支給に関する義務を免れる。ただし、終了した日までに支給すべきであった給付でまだ支給していないものの支給又は第八十一条の二第二項、第百十五条の二第二項若しくは第百十七条の二第二項の規定により終了した日までに移換すべきであった脱退一時金相当額でまだ移換していないものの移換に関する義務については、この限りでない。
– (清算中の基金の能力)
第八十八条の二 解散した基金は、清算の目的の範囲内において、その清算の結了に至るまではなお存続するものとみなす。
– (清算人等)
第八十九条 規約型企業年金が第八十三条第一項第一号又は第二号の規定により終了したときは、規約で定める者が、その清算人となる。
– 2 基金が第八十三条第二項第一号の規定により解散したときは、理事が、その清算人となる。ただし、規約に別段の定めがあるとき、又は代議員会において他人を選任したときは、この限りでない。
– 3 前二項の規定にかかわらず、事業主その他政令で定める者は、その実施する確定給付企業年金の清算人になることができない。
– 4 次に掲げる場合には、厚生労働大臣が清算人を選任する。
– 一 第一項又は第二項の規定により清算人となる者がないとき。
– 二 規約型企業年金が第八十三条第一項第三号の規定により終了したとき、又は基金が同条第二項第二号の規定により解散したとき。
– 三 清算人が欠けたため損害を生ずるおそれがあるとき。
– 5 前項の場合において、清算人の職務の執行に要する費用は、規約型企業年金においては事業主、基金型企業年金においては基金が負担する。
– 6 終了した確定給付企業年金の残余財産(政令で定めるものを除く。)は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、その終了した日において当該確定給付企業年金を実施する事業主等が給付の支給に関する義務を負っていた者(以下「終了制度加入者等」という。)に分配しなければならない。
– 7 前項の規定により残余財産を分配する場合においては、終了制度加入者等に、その全額を支払うものとし、当該残余財産を事業主に引き渡してはならない。
– (清算人の職務及び権限)
第八十九条の二 清算人の職務は、次のとおりとする。
– 一 現務の結了
– 二 債権の取立て及び債務の弁済(規約型企業年金にあっては、確定給付企業年金に係るものに限る。)
– 三 残余財産の分配
– 2 清算人は、前項各号に掲げる職務を行うために必要な一切の行為をすることができる。
– (債権の申出の催告等)
第八十九条の三 清算人は、その就職の日から二月以内に、少なくとも三回の公告をもって、債権者に対し、一定の期間内にその債権の申出をすべき旨の催告をしなければならない。この場合において、その期間は、二月を下ることができない。
– 2 前項の公告には、債権者がその期間内に申出をしないときは清算から除斥されるべき旨を付記しなければならない。ただし、清算人は、知れている債権者を除斥することができない。
– 3 清算人は、知れている債権者には、各別にその申出の催告をしなければならない。
– 4 第一項の公告は、官報に掲載してする。
– (期間経過後の債権の申出)
第八十九条の四 前条第一項の期間の経過後に申出をした債権者は、事業主等の債務(規約型企業年金にあっては、確定給付企業年金に係るものに限り、資産管理運用機関の債務を含む。)が完済された後まだ権利の帰属すべき者に引き渡されていない財産に対してのみ、請求をすることができる。
– (清算に係る報告の徴収等)
第九十条 厚生労働大臣は、終了した規約型企業年金又は解散した基金について必要があると認めるときは、その清算事務の状況に関する報告を徴し、又は当該職員をして当該終了した規約型企業年金に係る実施事業所若しくは基金の事務所に立ち入って関係者に質問させ、若しくは実地にその状況を検査させることができる。
– 2 前項の規定によって質問を行う当該職員は、その身分を示す証票を携帯し、かつ、関係者の請求があるときは、これを提示しなければならない。
– 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
– 4 厚生労働大臣は、第一項の規定により報告を徴し、又は質問し、若しくは検査した場合において、その清算事務が法令、規約、若しくは厚生労働大臣の処分に違反していると認めるとき、その清算事務が著しく適正を欠くと認めるとき、又は清算人がその清算事務を明らかに怠っていると認めるときは、期間を定めて、終了した規約型企業年金を実施していた事業主若しくはその清算人又は解散した基金若しくはその清算人に対し、その清算事務について違反の是正又は改善のため必要な措置をとるべき旨を命ずることができる。
– 5 終了した規約型企業年金を実施していた事業主若しくはその清算人又は解散した基金若しくはその清算人が前項の命令に違反したときは、厚生労働大臣は、当該事業主又は基金に対し、期間を定めて、当該違反に係る清算人の全部若しくは一部の解任を命じることができる。
– (政令への委任)
第九十一条 この章に定めるもののほか、確定給付企業年金の終了及び清算に関し必要な事項は、政令で定める。
年金・退職金
•確定給付企業年金法
確定給付企業年金法、確定拠出年金法
◦ 確定給付企業年金法(H13,6,15制定H14,4,1施行)
◦ 確定拠出年金法(H13,6,29制定H13,10,1施行)
確定給付企業年金法(H13,6,15制定H14,4,1施行)
•(目的)
第1条 この法律は、少子高齢化の進展、産業構造の変化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、事業主が従業員と給付の内容を約し、高齢期において従業員がその内容に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定給付企業年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
•(定義)
第2条 この法律において「確定給付企業年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、次章から第十一章までの規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦2 この法律において「厚生年金適用事業所」とは、厚生年金保険法第六条第一項 の適用事業所及び同条第三項 の認可を受けた適用事業所をいう。
◦3 この法律において「被用者年金被保険者等」とは、次に掲げる者をいう。
一 厚生年金保険の被保険者
二 私立学校教職員共済法の規定による私立学校教職員共済制度の加入者
◦4 この法律において「企業年金基金」とは、前条の目的を達成するため、確定給付企業年金の加入者(以下「加入者」という。)に必要な給付を行うことを目的として、次章の規定に基づき設立された社団をいう。
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•目的
・少子高齢化、産業構造の変化、社会経済情勢の変化に対応
・事業主が従業員への確定給付企業年金の給付を約するための事項を定める
・高齢期における自主的な努力を支援する
•設立
・厚生年金適用事業所の事業主が60歳未満の被保険者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者の同意を得て規約を作成し、
◦規約について厚生労働大臣の承認を得る(規約型)
・統合、分割は厚生労働大臣の承認を受けて統合
◦企業年金基金の設立について厚生労働大臣の認可を受ける(基金型)
・合併、分割は代議員の3/4の議決で申請し、厚生労働大臣の認可を受けて合併
•加入者
・実施事業所に使用される被用者年金被保険者
・厚生年金適用事業と私立学校教職員共済(国家公務員、地方公務員共済は非対象)
•規約型企業年金
・資産管理運用機関に運用委託し、そこが給付する(企業年金のアウトソーシング)
•基金型企業年金
・資産管理運用機関に運用委託し、自ら給付する(厚生年金代行部分のない基金)
◦cf.厚生年金基金–代行返上
代行部分 国に返上
上乗せ給付 確定給付企業年金(規約型、基金型)
•給付(厚生年金基金と同じ)
・事業主が裁定し、資産管理運用機関に通知。資産管理運用機関が給付の支給を行う
・老齢給付金、脱退一時金の給付を行わなければならない
・終身または5年以上にわたり年1回以上定期的に支給
・障害給付金、遺族給付金の給付を行うことができる
給付事由 国民年金基金 厚生年金基金 確定給付企業年金 確定拠出年金
国民年金上乗せ 厚生年金上乗せ 退職金と同じ 個人年金保険と同じ
年金のみ課税可 老齢・脱退・遺族(死亡)は課税&差押
老齢 名称の定めなし 老齢年金給付 老齢給付金 老齢給付金
脱退 – 脱退一時金(法定) 脱退一時金(法定) 脱退一時金(当面)
障害 障害給付金(任意) 障害給付金(任意) 障害給付金(法定)
死亡 名称の定めなし 遺族給付金(任意) 遺族給付金(任意) 死亡一時金(法定)
◦老齢給付金
・加入期間20年以上で、60歳以上65歳未満 または 50歳以上の退職時(H24)
◦脱退一時金
・加入期間3年以上 cf.厚生年金脱退一時金の上限係数と同じ
◦障害給付金、遺族給付金
・障害認定日から老齢給付金支給開始年齢までに障害の状態に該当
•掛金
・事業主が年1回以上定期的に拠出する(加入者は一部負担できる)
・加入者の拠出は所得控除(生命保険控除)、事業主の拠出は損金算入
・毎事業年度終了後4月以内に決算に関する報告書を厚生労働大臣に提出
•企業年金制度間の移行
・確定拠出年金から他の企業年金に移すことはできない
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•確定拠出年金法
↑
確定拠出年金法(H13,6,29制定H13,10,1施行)
•cf.H22社一選択
•(目的)
第1条 この法律は、少子高齢化の進展、高齢期の生活の多様化等の社会経済情勢の変化にかんがみ、個人又は事業主が拠出した資金を個人が自己の責任において運用の指図を行い、高齢期においてその結果に基づいた給付を受けることができるようにするため、確定拠出年金について必要な事項を定め、国民の高齢期における所得の確保に係る自主的な努力を支援し、もって公的年金の給付と相まって国民の生活の安定と福祉の向上に寄与することを目的とする。
•(定義)
第2条 この法律において「確定拠出年金」とは、企業型年金及び個人型年金をいう。
◦2 この法律において「企業型年金」とは、厚生年金適用事業所の事業主が、単独で又は共同して、次章の規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦3 この法律において「個人型年金」とは、連合会が、第三章の規定に基づいて実施する年金制度をいう。
◦4 この法律において「厚生年金適用事業所」とは、略
◦5 この法律において「連合会」とは、国民年金基金連合会であって、個人型年金を実施する者として厚生労働大臣が全国を通じて一個に限り指定したものをいう。
◦6 この法律において「被用者年金被保険者等」とは、次に掲げる者であって、60歳未満のものをいう。
以下略
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•目的
・少子高齢化、産業構造の変化、高齢期の生活の多様化、社会経済情勢の変化に対応
・事業主が従業員への確定給付企業年金の給付を約するための事項を定める
・事業主、個人が拠出した資金を自己の責任で運用指図し結果に基づいた給付を受けるための必要な事項を定める
・高齢期における自主的な努力を支援する
•企業型年金
・厚生年金適用事業所の事業主が60歳未満の被保険者の過半数で組織する労働組合または過半数代表者の同意を得て規約を作成し、厚生労働大臣の承認を得る
・厚生年金適用事業と私立学校教職員共済(国家公務員、地方公務員共済は非対象)の60歳未満の者
・運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託することが出来る
・資産管理機関に資産管理契約を締結しなければならない
・企業年金のアウトソーシング
加入者、運用指図者
・企業型年金が実施される厚生年金適用事業所に使用される60歳未満の者が企業型年金加入者
・加入者であった者(60歳に達して資格喪失または障害給付金受給者)で個人別管理資産に残高がある者は運用指図者とする
掛金
・事業主が各月の掛け金を翌月末日までに資産管理機関に納付する(加入者は一部負担できる「マッチング拠出」)
*マッチング拠出は拠出限度の枠内で事業主の掛け金以下とし所得控除される
・厚生年金基金または確定給付企業年金に加入する事業所の掛け金上限 ¥25,500
・厚生年金基金または確定給付企業年金に加入しない事業所の掛け金上限 ¥51,000
•個人型年金
・国民年金基金連合会は個人型年金の規約を作成し厚生労働大臣の承認を得る
・運営管理業務を確定拠出年金運営管理機関に委託しなければならない
・連合会は資産管理機関を兼ねる
加入者
・第1号加入者 障害基礎年金受給者以外の保険料免除者を除く国民年金1号被保険者
・第2号加入者 60歳未満の厚生年金被保険者
掛け金
・加入者は国民年金保険料の納付が行われた各月(国民年金2,3号は除く)に掛金を納付する
・第1号加入者 上限¥68,000(国民年金基金の上限と同じ、基金掛金と合算で上限適用)
・第2号加入者 上限¥23,000(厚生年金被保険者(2号被保険者)は国民年金基金に加入できないので所得控除で積立できるのはこれが上限)
•運用
・運営管理機関は3以上の運用方法を用意し1は元本保証の選択肢を用意する
•給付
◦運営管理業務
記録関連業務
・「加入者等」の氏名、住所、個人別管理資産額その他の加入者等に関する事項の記録、保存及び通知
・加入者等が行った運用の指図の取りまとめ及びその内容の資産管理機関又は連合会への通知
・給付を受ける権利の裁定
運用関連業務
・運用の方法の選定及び加入者等に対する提示並びに当該運用の方法に係る情報の提供
◦老齢給付金
・支給要件
60歳以上61歳未満 61-62 62-63 63-64 64-65 65歳以上
10年 8年 6年 4年 2年 1月
・支給予定期間は5年以上20年未満の年金とし、規約で一時金をすることもできる
・70歳に達した時は請求が無くても記録関連運営管理機関が裁定し、資産管理機関または連合会は老齢給付金を支給する
◦障害給付金
・障害認定日が70歳未満の時支給を請求できる
・支給予定期間は5年以上20年未満の年金とし、規約で一時金をすることもできる
◦死亡一時金
・記録関連運営管理機関が裁定し、資産管理機関または連合会は老齢給付金を支給する
◦脱退一時金(H16附則)
・年金での受給を原則としている規定
少額加入者
・加入者および運用指図者でなく(退職した)、個人別管理資産が¥15,000円以下の者は加入者資格喪失から6月以内に請求できる
短期加入者(通算拠出期間が3年以下)
・企業型年金から個人型年金に移換出来ない(個人型年金加入者になれない=国民年金1号2号に該当しない)場合脱退一時金を請求できる
・60歳未満、個人別管理資産が50万円以下、資格喪失から2年以内
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