– 第六章 地域支援事業等
– (地域支援事業)
第百十五条の四十五 市町村は、被保険者が要介護状態等となることを予防するとともに、要介護状態等となった場合においても、可能な限り、地域において自立した日常生活を営むことができるよう支援するため、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うものとする。
– 一 被保険者(第一号被保険者に限る。)の要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のため必要な事業(介護予防サービス事業及び地域密着型介護予防サービス事業を除く。)
– 二 被保険者が要介護状態等となることを予防するため、その心身の状況、その置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、前号に掲げる事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業
– 三 被保険者の心身の状況、その居宅における生活の実態その他の必要な実情の把握、保健医療、公衆衛生、社会福祉その他の関連施策に関する総合的な情報の提供、関係機関との連絡調整その他の被保険者の保健医療の向上及び福祉の増進を図るための総合的な支援を行う事業
– 四 被保険者に対する虐待の防止及びその早期発見のための事業その他の被保険者の権利擁護のため必要な援助を行う事業
– 五 保健医療及び福祉に関する専門的知識を有する者による被保険者の居宅サービス計画及び施設サービス計画の検証、その心身の状況、介護給付等対象サービスの利用状況その他の状況に関する定期的な協議その他の取組を通じ、当該被保険者が地域において自立した日常生活を営むことができるよう、包括的かつ継続的な支援を行う事業
– 2 市町村は、被保険者の要介護状態等となることの予防又は要支援状態の軽減若しくは悪化の防止及び地域における自立した日常生活の支援のための施策を総合的かつ一体的に行うため、厚生労働省令で定める基準に従って、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うことができる。この場合においては、市町村は、次に掲げる事業の全てにつき一括して行わなければならない。
– 一 居宅要支援被保険者に対して、介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスのうち市町村が定めるもの(指定介護予防サービス若しくは特例介護予防サービス費に係る介護予防サービス又は指定地域密着型介護予防サービス若しくは特例地域密着型介護予防サービス費に係る地域密着型介護予防サービス(以下この号において「特定指定介護予防サービス等」という。)を受けている居宅要支援被保険者については、当該特定指定介護予防サービス等と同じ種類の介護予防サービス又は地域密着型介護予防サービスを除く。)を行う事業
– 二 被保険者(第一号被保険者及び要支援者である第二号被保険者に限る。)の地域における自立した日常生活の支援のための事業であって、前項第一号に掲げる事業及び前号に掲げる事業と一体的に行われる場合に効果があると認められるものとして厚生労働省令で定めるもの
– 三 居宅要支援被保険者(指定介護予防支援又は特例介護予防サービス計画費に係る介護予防支援を受けている者を除く。)の要介護状態となることの予防又は要支援状態の軽減若しくは悪化の防止のため、その心身の状況、その置かれている環境その他の状況に応じて、その選択に基づき、前二号に掲げる事業その他の適切な事業が包括的かつ効率的に提供されるよう必要な援助を行う事業
– 3 市町村は、第一項各号及び前項各号に掲げる事業のほか、地域支援事業として、次に掲げる事業を行うことができる。
– 一 介護給付等に要する費用の適正化のための事業
– 二 介護方法の指導その他の要介護被保険者を現に介護する者の支援のため必要な事業
– 三 その他介護保険事業の運営の安定化及び被保険者の地域における自立した日常生活の支援のため必要な事業
– 4 地域支援事業は、当該市町村における介護予防に関する事業の実施状況、介護保険の運営の状況その他の状況を勘案して政令で定める額の範囲内で行うものとする。
– 5 市町村は、地域支援事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。
– 6 厚生労働大臣は、第一項第一号の規定により市町村が行う事業及び介護予防・日常生活支援総合事業(同号及び同項第二号並びに第二項各号に掲げる事業をいう。以下同じ。)に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
– 7 前各項に規定するもののほか、地域支援事業の実施に関し必要な事項は、政令で定める。
– (地域包括支援センター)
第百十五条の四十六 地域包括支援センターは、前条第一項第二号から第五号までに掲げる事業(以下「包括的支援事業」という。)その他厚生労働省令で定める事業を実施し、地域住民の心身の健康の保持及び生活の安定のために必要な援助を行うことにより、その保健医療の向上及び福祉の増進を包括的に支援することを目的とする施設とする。
– 2 市町村は、地域包括支援センターを設置することができる。
– 3 次条第一項の委託を受けた者は、包括的支援事業その他第一項の厚生労働省令で定める事業を実施するため、厚生労働省令で定めるところにより、あらかじめ、厚生労働省令で定める事項を市町村長に届け出て、地域包括支援センターを設置することができる。
– 4 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業を実施するために必要なものとして厚生労働省令で定める基準を遵守しなければならない。
– 5 地域包括支援センターの設置者は、包括的支援事業の効果的な実施のために、介護サービス事業者、医療機関、民生委員法(昭和二十三年法律第百九十八号)に定める民生委員、高齢者の日常生活の支援に関する活動に携わるボランティアその他の関係者との連携に努めなければならない。
– 6 地域包括支援センターの設置者(設置者が法人である場合にあっては、その役員)若しくはその職員又はこれらの職にあった者は、正当な理由なしに、その業務に関して知り得た秘密を漏らしてはならない。
– 7 第六十九条の十四の規定は、地域包括支援センターについて準用する。この場合において、同条の規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
– 8 前各項に規定するもののほか、地域包括支援センターに関し必要な事項は、政令で定める。
– (実施の委託)
第百十五条の四十七 市町村は、老人福祉法第二十条の七の二第一項に規定する老人介護支援センターの設置者その他の厚生労働省令で定める者に対し、包括的支援事業の実施に係る方針を示して、当該包括的支援事業を委託することができる。
– 2 前項の規定による委託は、包括的支援事業の全てにつき一括して行わなければならない。
– 3 前条第五項及び第六項の規定は、第一項の委託を受けた者について準用する。
– 4 市町村は、第百十五条の四十五第一項第一号及び第三項各号に掲げる事業の全部又は一部について、老人福祉法第二十条の七の二第一項に規定する老人介護支援センターの設置者その他の当該市町村が適当と認める者に対し、その実施を委託することができる。
– 5 市町村は、介護予防・日常生活支援総合事業のうち第百十五条の四十五第二項各号に掲げる事業については、当該各号に掲げる事業を適切に実施することができるものとして厚生労働省令で定める基準に適合する者(同項第三号に掲げる事業については、地域包括支援センターの設置者に限る。)に対して、当該各号に掲げる事業の実施を委託することができる。
– 6 前項の規定により第百十五条の四十五第二項第三号に掲げる事業の実施の委託を受けた者は、厚生労働省令で定めるところにより、その事業の一部を、厚生労働省令で定める者に委託することができる。
– 7 市町村長は、介護予防・日常生活支援総合事業について、第一項、第四項又は第五項の規定により、その実施を委託した場合には、当該委託を受けた者(次項において「受託者」という。)に対する当該実施に必要な費用の支払決定に係る審査及び支払の事務を連合会に委託することができる。
– 8 受託者は、介護予防・日常生活支援総合事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。
– (保健福祉事業)
第百十五条の四十八 市町村は、地域支援事業のほか、要介護被保険者を現に介護する者の支援のために必要な事業、被保険者が要介護状態等となることを予防するために必要な事業、指定居宅サービス及び指定居宅介護支援の事業並びに介護保険施設の運営その他の保険給付のために必要な事業、被保険者が利用する介護給付等対象サービスのための費用に係る資金の貸付けその他の必要な事業を行うことができる。
•介護保険法
介護保険法
保険者
被保険者
保険給付
地域支援事業
保険料
雑則
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•(目的)
第一条
この法律は、加齢に伴って生ずる心身の変化に起因する疾病等により要介護状態となり、入浴、排せつ、食事等の介護、機能訓練並びに看護及び療養上の管理その他の医療を要する者等について、これらの者が尊厳を保持し、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、必要な保健医療サービス及び福祉サービスに係る給付を行うため、国民の共同連帯の理念に基づき介護保険制度を設け、その行う保険給付等に関して必要な事項を定め、もって国民の保健医療の向上及び福祉の増進を図ることを目的とする。
•(介護保険)
第二条
介護保険は、被保険者の要介護状態又は要支援状態に関し、必要な保険給付を行うものとする。
◦2 前項の保険給付は、要介護状態又は要支援状態の軽減又は悪化の防止に資するよう行われるとともに、医療との連携に十分配慮して行われなければならない。
◦3 第一項の保険給付は、被保険者の心身の状況、その置かれている環境等に応じて、被保険者の選択に基づき、適切な保健医療サービス及び福祉サービスが、多様な事業者又は施設から、総合的かつ効率的に提供されるよう配慮して行われなければならない。
◦4 第一項の保険給付の内容及び水準は、被保険者が要介護状態となった場合においても、可能な限り、その居宅において、その有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるように配慮されなければならない。
•変遷
・平成9年制定、平成12年4月施行「介護保険制度」
•目的
・加齢による要介護状態への介護、機能訓練、看護
・療養上の管理を要する者への保健医療サービス、福祉サービスに係わる給付を行う
保険者
•国
・厚生労働大臣は介護保険事業の円滑な実施を確保するため基本指針を定める
・保健医療サービス及び福祉サービスを提供する体制の確保に関する施策その他の必要な各般の措置を講じなければならない。
•都道府県
・3年を1期とする都道府県介護保険事業支援計画を定める
・必要な助言及び適切な援助をしなければならない。
•市町村および特別区(保険者)
・3年を1期とする市町村介護保険事業計画を定める
・介護認定審査会を市町村に置く
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被保険者
•被保険者
・第1号被保険者 65歳以上の市町村の区域内に住所を有するもの
・第2号被保険者 40歳以上65歳未満の市町村の区域内に住所を有する医療保険加入者
◦要介護状態 日常基本動作の6月継続して常時介護(cf.要介護の定義)
◦要支援状態
日常基本動作の常時介護の軽減、悪化防止
日常生活に支障
◦要介護者(支援)
65歳以上の要介護(支援)状態にある者
40歳以上65歳未満で特定疾病により要介護(支援)状態にある者
・特定疾病 加齢による心身の変化に起因する疾病 ex認知症
•要介護認定 cf.H23社一選択
・被保険者は被保険者証を添付して市町村に申請する
・認定は申請のあった日にさかのぼって効力を発する
・被保険者証は要介護認定、要支援認定、交付の申請を行ったもののみに交付される
・介護認定審査会は30日以内に要介護状態に該当すること、要介護状態区分、特定疾病によるものかどうかを審査、判定する
・介護認定審査会は市町村に置き、委員は市町村長が任命する
・要介護認定期間は通常6か月とし期間満了60日前から満了日までに要介護更新認定の申請を行う(満了後1月以内まで)
*要介護認定有効期間は認定審査会が認めた場合3月~12月と出来る(H24改正)
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保険給付
•・介護給付(要介護)
•・予防給付(要支援) 施設サービスを除く
•・市町村特別給付(条例)
•居宅サービス
◦居宅介護サービス費
指定居宅サービス事業者(都道府県知事が指定)
特例居宅サービス費 要介護認定前に受けた、指定業者以外から受けたサービス(償還払い)
◦地域密着型介護サービス費(H17改正)
指定地域密着型サービス事業者から受けるサービス(市町村長が指定)
H24改正追加
・定期巡回・随時対応型訪問介護看護 医療との連携
・複合型サービス 訪問介護+通所介護を一体でサービス
特例地域密着型介護サービス費 要介護認定前に受けたサービス(償還払い)
◦居宅介護福祉用具購入費
指定居宅サービス事業者が販売(9割償還払い)
◦居宅介護住宅改修費(9割償還払い)
◦居宅介護サービス計画費
介護サービスを選択するケアマネージメントを計画する
指定居宅介護支援事業者(都道府県知事が指定)または指定介護予防支援事業者(市町村が指定)
自己負担はなく費用の全額を支給
特例居宅介護サービス計画費 「指定」居宅介護支援を受けられず類似のサービスを受けた場合
•施設サービス(要介護者のみ要支援者にはない)
◦施設介護サービス費
指定介護福祉施設サービス
都道府県知事が指定する「介護老人福祉施設」(特別養護老人ホーム)で行われる介護福祉施設サービス
介護保健施設サービス
都道府県知事が許可した「介護老人保健施設」で行われる介護福祉施設サービス(6年ごと更新)
*H24改正 介護療養型医療施設は廃止(6年内に廃止新たな指定をしない) cf.H18改正
•高額介護サービス費
居宅サービス、地域密着型サービス、施設サービスの介護サービス利用者負担額の合計が一定額を超えた場合、要介護被保険者毎に按分されて支給
◦高額医療合算介護サービス費 cf.高額療養費
一般所得者の場合
後期高齢者医療制度+介護保険 56万
被用者保険または国保(70-74歳)+介護保険 62万
被用者保険または国保(70未満を含む)+介護保険 67万
•特定入所者介護サービス費
低所得者(市町村民税非課税)が受けた居宅・施設サービスの食事費、居住費
◦特例特定入所者介護サービス費
•介護支援専門員(ケア・マネージャー)
・介護支援専門員実務研修受講試験に合格し、かつ、都道府県知事が行う研修(介護支援専門員実務研修)の課程を修了したもの
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地域支援事業
•H23改正「(国及び地方公共団体の責務)」第五条の次に次の一項を加える。
◦3 国及び地方公共団体は、被保険者が、可能な限り、住み慣れた地域でその有する能力に応じ自立した日常生活を営むことができるよう、保険給付に係る保健医療サービス及び福祉サービスに関する施策、要介護状態等となることの予防又は要介護状態等の軽減若しくは悪化の防止のための施策並びに地域における自立した日常生活の支援のための施策を、医療及び居住に関する施策との有機的な連携を図りつつ包括的に推進するよう努めなければならない。
第五条の次に次の一条を加える。
◦(認知症に関する調査研究の推進等)
第五条の二 国及び地方公共団体は、被保険者に対して認知症(脳血管疾患、アルツハイマー病その他の要因に基づく脳の器質的な変化により日常生活に支障が生じる程度にまで記憶機能及びその他の認知機能が低下した状態をいう。以下同じ。)に係る適切な保健医療サービス及び福祉サービスを提供するため、認知症の予防、診断及び治療並びに認知症である者の心身の特性に応じた介護方法に関する調査研究の推進並びにその成果の活用に努めるとともに、認知症である者の支援に係る人材の確保及び資質の向上を図るために必要な措置を講ずるよう努めなければならない。
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•地域支援事業 ・可能な限り地域において自立した日常生活を営むことを支援 ◦介護予防事業
◦包括的支援事業 介護予防ケアマネジメント事業
総合相談・支援事業
権利擁護事業
包括的・継続的ケアマネジメント支援事業
◦介護予防・日常生活支援総合事業
◦任意事業
•地域包括支援センター
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保険料
•負担割合
•給付費
cf.高齢者医療制度:公費負担5割 国4/12 都道府県1/12 市町村1/12
◦国 2/8(25%)
・介護給付、予防給付の20%(施設サービスに要する費用15%)
・1号被保険者の年齢階級別分布と所得の分布により調整交付金5%
◦都道府県 1/8 介護給付、予防給付の12.5%(施設サービスに係わる費用17.5%)
◦市町村 1/8 一般会計から介護給付、予防給付の12.5%を支出(預入は特別会計)
◦1号被保険者 21%(H24~H26)
◦2号被保険者 29%(H24~H26)
•地域支援事業(介護予防等事業)
・給付費の負担割合と同じ
•地域支援事業(介護予防等事業以外)
・2号被保険者の負担割合を 国14.5% 都道府県7.25% 市町村7.25%
•保険料
◦第1号被保険者
・市町村は介護保険事業に要する費用(財政安定化基金拠出金を含む)に充てるため政令で定める基準に従い条例で保険料率を決定する
・(保険給付の見込み額、財政安定化基金拠出金、都道府県からの借入金償還)、地域支援事業、保健福祉事業に要する費用と1号被保険者の所得の分布
・3年で財政均衡を保つ(中期的財政方式)
・特別徴収と普通徴収(国民健康保険法、高齢者医療制度と同じ)
◦第2号被保険者
・各医療保険者が「介護給付費・地域支援事業支援納付金」として
社会保険診療報酬支払基金に納付し、基金は
市町村特別会計に「介護給付費交付金、地域支援事業交付金」として交付
65歳以上の雇用される者は一般保険料と介護保険料の納付先が異なる(事業主と市町村)
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雑則
•財政
・都道府県は「財政安定化基金」を設け国、都道府県、市町村が1/3ずつ拠出する
・市町村は他の市町村と共同して市町村相互財政安定化事業を行うことができる
•審査請求 国民健康保険法
・介護保険審査会を都道府県に置く(一審制)
・要介護、要支援認定を含む保険給付、保険料、徴収金に関する処分に対する不服
・介護保険審査会の委員は都道府県知事が任命する
◦1.被保険者を代表する委員(3人) 2.市町村を代表する委員(3人) 3.公益を代表する委員(3人以上で、条例で定める員数)
•時効
・保険料の徴収、還付。保険給付は2年
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