第四節 雑則
– (損害賠償請求権)
第六十四条 保険者は、給付事由が第三者の行為によつて生じた場合において、保険給付を行つたときは、その給付の価額(当該保険給付が療養の給付であるときは、当該療養の給付に要する費用の額から当該療養の給付に関し被保険者が負担しなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。次条第一項において同じ。)の限度において、被保険者が第三者に対して有する損害賠償の請求権を取得する。
– 2 前項の場合において、保険給付を受けるべき者が第三者から同一の事由について損害賠償を受けたときは、保険者は、その価額の限度において、保険給付を行う責を免かれる。
– 3 保険者は、第一項の規定により取得した請求権に係る損害賠償金の徴収又は収納の事務を第四十五条第五項に規定する国民健康保険団体連合会であつて厚生労働省令の定めるものに委託することができる。
– (不正利得の徴収等)
第六十五条 偽りその他不正の行為によつて保険給付を受けた者があるときは、保険者は、その者からその給付の価額の全部又は一部を徴収することができる。
– 2 前項の場合において、保険医療機関において診療に従事する保険医又は健康保険法第八十八条第一項に規定する主治の医師が、保険者に提出されるべき診断書に虚偽の記載をしたため、その保険給付が行われたものであるときは、保険者は、当該保険医又は主治の医師に対し、保険給付を受けた者に連帯して前項の徴収金を納付すべきことを命ずることができる。
– 3 保険者は、保険医療機関等又は指定訪問看護事業者が偽りその他不正の行為によつて療養の給付に関する費用の支払又は第五十二条第三項(第五十二条の二第三項及び第五十三条第三項において準用する場合を含む。)若しくは第五十四条の二第五項の規定による支払を受けたときは、当該保険医療機関等又は指定訪問看護事業者に対し、その支払つた額につき返還させるほか、その返還させる額に百分の四十を乗じて得た額を支払わせることができる。
– (強制診断等)
第六十六条 保険者は、保険給付に関して必要があると認めるときは、当該被保険者若しくは被保険者であつた者又は保険給付を受ける者に対し、文書その他の物件の提出若しくは提示を命じ、又は当該職員に質問若しくは診断をさせることができる。
– (受給権の保護)
第六十七条 保険給付を受ける権利は、譲り渡し、担保に供し、又は差し押えることができない。
– (租税その他の公課の禁止)
第六十八条 租税その他の公課は、保険給付として支給を受けた金品を標準として、課することができない。
– 第四章の二 広域化等支援方針
– (広域化等支援方針)
第六十八条の二 都道府県は、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を推進するための当該都道府県内の市町村に対する支援の方針(以下「広域化等支援方針」という。)を定めることができる。
– 2 広域化等支援方針においては、おおむね次に掲げる事項について定めるものとする。
– 一 国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化の推進に関する基本的な事項
– 二 国民健康保険の現況及び将来の見通し
– 三 前号の現況及び将来の見通しを勘案して、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化の推進において都道府県が果たすべき役割
– 四 国民健康保険事業に係る事務の共同実施、医療に要する費用の適正化、保険料の納付状況の改善その他の国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を図るための具体的な施策
– 五 前号に掲げる施策の実施のために必要な関係市町村相互間の連絡調整
– 六 前各号に掲げるもののほか、国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化を推進するため都道府県が必要と認める事項
– 3 都道府県は、当該都道府県内の市町村のうち、その医療に要する費用の額について厚生労働省令で定めるところにより被保険者の数及び年齢階層別の分布状況その他の事情を勘案してもなお著しく多額であると認められるものがある場合には、その定める広域化等支援方針において前項第四号に掲げる事項として医療に要する費用の適正化その他の必要な措置を定めるよう努めるものとする。
– 4 都道府県は、広域化等支援方針を定め、又はこれを変更しようとするときは、あらかじめ、市町村の意見を聴かなければならない。
– 5 都道府県は、広域化等支援方針を定め、又はこれを変更したときは、遅滞なく、これを公表するよう努めるものとする。
– 6 市町村は、国民健康保険事業の運営に当たつては、広域化等支援方針を尊重するよう努めるものとする。
– 7 都道府県は、広域化等支援方針の作成及び広域化等支援方針に定める施策の実施に関して必要があると認めるときは、国民健康保険団体連合会その他の関係者に対して必要な協力を求めることができる。
– (広域化等支援基金)
第六十八条の三 都道府県は、広域化等支援方針の作成、広域化等支援方針に定める施策の実施その他国民健康保険事業の運営の広域化又は国民健康保険の財政の安定化に資する事業に必要な費用に充てるため、地方自治法(昭和二十二年法律第六十七号)第二百四十一条の基金として、広域化等支援基金を設けることができる。
– 第五章 費用の負担
– (国の負担)
第六十九条 国は、政令の定めるところにより、組合に対して国民健康保険の事務(高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金等(以下「前期高齢者納付金等」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金等(以下「後期高齢者支援金等」という。)並びに介護保険法の規定による納付金(以下「介護納付金」という。)の納付に関する事務を含む。)の執行に要する費用を負担する。
– 第七十条 国は、政令の定めるところにより、市町村に対し、療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用(第七十三条第一項及び第百四条において「療養の給付等に要する費用」という。)並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金(以下「前期高齢者納付金」という。)及び同法の規定による後期高齢者支援金(以下「後期高齢者支援金」という。)並びに介護納付金の納付に要する費用について、次の各号に掲げる額の合算額の百分の三十二を負担する。
– 一 被保険者に係る療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の額の合算額から第七十二条の三第一項の規定による繰入金の二分の一に相当する額を控除した額
– 二 前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用の額(高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者交付金(以下「前期高齢者交付金」という。)がある場合には、これを控除した額)
– 2 第四十三条第一項の規定により一部負担金の割合を減じている市町村及び都道府県又は市町村が被保険者の全部又は一部について、その一部負担金に相当する額の全部又は一部を負担することとしている市町村に対する前項の規定の適用については、同項第一号に掲げる額は、当該一部負担金の割合の軽減又は一部負担金に相当する額の全部若しくは一部の負担の措置が講ぜられないものとして、政令の定めるところにより算定した同号に掲げる額に相当する額とする。
– (国庫負担金の減額)
第七十一条 市町村が確保すべき収入を不当に確保しなかつた場合においては、国は、政令の定めるところにより、前条の規定により当該市町村に対して負担すべき額を減額することができる。
– 2 前項の規定により減額する額は、不当に確保しなかつた額をこえることができない。
– (調整交付金等)
第七十二条 国は、国民健康保険の財政を調整するため、政令の定めるところにより、市町村に対して調整交付金を交付する。
– 2 前項の規定による調整交付金の総額は、次の各号に掲げる額の合算額とする。
– 一 第七十条第一項第一号に掲げる額(同条第二項の規定の適用がある場合にあつては、同項の規定を適用して算定した額)及び同条第一項第二号に掲げる額の合算額の見込額の総額(次条において「算定対象額」という。)の百分の九に相当する額
– 二 第七十二条の三第一項の規定による繰入金の総額の四分の一に相当する額
– 第七十二条の二 都道府県は、当該都道府県内の市町村が行う国民健康保険の財政を調整するため、政令の定めるところにより、条例で、市町村に対して都道府県調整交付金を交付する。
– 2 前項の規定による都道府県調整交付金の総額は、算定対象額の百分の九に相当する額とする。
– 3 都道府県調整交付金の交付は、広域化等支援方針(都道府県が広域化等支援方針に定める施策を実施するため地方自治法第二百四十五条の四第一項の規定による勧告をした場合にあつては、広域化等支援方針及び当該勧告の内容)との整合性を確保するように努めるものとする。
– (国民健康保険に関する特別会計への繰入れ等)
第七十二条の三 市町村は、政令の定めるところにより、一般会計から、所得の少ない者について条例の定めるところにより行う保険料の減額賦課又は地方税法第七百三条の五に規定する国民健康保険税の減額に基づき被保険者に係る保険料又は同法の規定による国民健康保険税につき減額した額の総額を基礎とし、国民健康保険の財政の状況その他の事情を勘案して政令の定めるところにより算定した額を国民健康保険に関する特別会計に繰り入れなければならない。
– 2 都道府県は、政令の定めるところにより、前項の規定による繰入金の四分の三に相当する額を負担する。
– 第七十二条の四 国及び都道府県は、政令の定めるところにより、市町村に対し、高齢者の医療の確保に関する法律第二十条の規定による特定健康診査及び同法第二十四条の規定による特定保健指導(第八十二条第一項及び第八十六条において「特定健康診査等」という。)に要する費用のうち政令で定めるものの三分の一に相当する額をそれぞれ負担する。
– (組合に対する補助)
第七十三条 国は、政令の定めるところにより、組合に対し、療養の給付等に要する費用並びに前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用について、次の各号に掲げる額の合算額を補助することができる。
– 一 次に掲げる額の合算額の百分の三十二に相当する額
– イ 療養の給付に要する費用の額から当該給付に係る一部負担金に相当する額を控除した額並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、特別療養費、移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用の額の合算額から、当該合算額のうち組合特定被保険者(健康保険法第三条第一項第八号又は同条第二項ただし書の規定による承認を受けて同法の被保険者とならないことにより当該組合の被保険者である者及びその世帯に属する当該組合の被保険者をいう。ロにおいて同じ。)に係る額として政令の定めるところにより算定した額(以下この条において「特定給付額」という。)を控除した額
– ロ 前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用の額(前期高齢者交付金がある場合には、これを控除した額)から、当該費用の額のうち組合特定被保険者に係る費用の額として政令の定めるところにより算定した額(以下この条において「特定納付費用額」という。)を控除した額
– 二 特定給付額及び特定納付費用額のそれぞれに特定割合を乗じて得た額の合算額
– 2 前項第二号の特定割合は、百分の三十二を下回る割合であつて、健康保険法による健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金及び後期高齢者支援金並びに介護納付金の納付に要する費用を含む。)に対する国の補助の割合を勘案して、特定給付額及び特定納付費用額のそれぞれについて、政令で定めるものとする。
– 3 第四十三条第一項の規定により一部負担金の割合を減じている組合及び組合員の全部又は一部について、その一部負担金に相当する額の全部又は一部を負担することとしている組合に対する第一項の規定の適用については、同項第一号イに掲げる額及び特定給付額は、当該一部負担金の割合の軽減又は一部負担金に相当する額の全部若しくは一部の負担の措置が講ぜられないものとして、政令の定めるところにより算定した同号イに掲げる額及び特定給付額に相当する額とする。
– 4 国は、第一項の補助をする場合において、政令の定めるところにより、組合の財政力等を勘案して、同項の補助の額を増額することができる。
– 5 前項の規定により増額することができる補助の額の総額は、第一項第一号イに掲げる額及び特定給付額(これらの額について第三項の規定の適用がある場合にあつては、同項の規定を適用して算定した額)並びに同号ロに掲げる額及び特定納付費用額の合算額の見込額の総額の百分の十五に相当する額の範囲内の額とする。
– (国の補助)
第七十四条 国は、第六十九条、第七十条、第七十二条、第七十二条の四及び前条に規定するもののほか、予算の範囲内において、保健師に要する費用についてはその三分の一を、国民健康保険事業に要するその他の費用についてはその一部を補助することができる。
– (都道府県及び市町村の補助及び貸付)
第七十五条 都道府県及び市町村は、第七十二条の二、第七十二条の三第二項及び第七十二条の四に規定するもののほか、国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含む。)に対し、補助金を交付し、又は貸付金を貸し付けることができる。
– (保険料)
第七十六条 保険者は、国民健康保険事業に要する費用(前期高齢者納付金等及び後期高齢者支援金等並びに介護納付金の納付に要する費用を含み、健康保険法第百七十九条に規定する組合にあつては、同法の規定による日雇拠出金の納付に要する費用を含む。)に充てるため、世帯主又は組合員から保険料を徴収しなければならない。ただし、地方税法の規定により国民健康保険税を課するときは、この限りでない。
– 2 前項の規定による保険料のうち、介護納付金の納付に要する費用に充てるための保険料は、介護保険法第九条第二号に規定する被保険者である被保険者について賦課するものとする。
– (賦課期日)
第七十六条の二 市町村による前条の保険料の賦課期日は、当該年度の初日とする。
– (保険料の徴収の方法)
第七十六条の三 市町村による第七十六条の保険料の徴収については、特別徴収(市町村が老齢等年金給付を受ける被保険者である世帯主(政令で定めるものを除く。)から老齢等年金給付の支払をする者に保険料を徴収させ、かつ、その徴収すべき保険料を納入させることをいう。以下同じ。)の方法による場合を除くほか、普通徴収(市町村が世帯主に対し、地方自治法第二百三十一条の規定により納入の通知をすることによつて保険料を徴収することをいう。以下同じ。)の方法によらなければならない。
– 2 前項の老齢等年金給付は、国民年金法による老齢基礎年金その他の同法、厚生年金保険法(昭和二十九年法律第百十五号)、国家公務員共済組合法、地方公務員等共済組合法又は私立学校教職員共済法に基づく老齢若しくは退職、障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるもの及びこれらの年金たる給付に類する老齢若しくは退職、障害又は死亡を支給事由とする年金たる給付であつて政令で定めるものをいう。
– (介護保険法の準用)
– 第七十六条の四 介護保険法第百三十四条から第百四十一条の二までの規定は、前条の規定により行う保険料の特別徴収について準用する。この場合において、必要な技術的読替えは、政令で定める。
– (保険料の減免等)
第七十七条 保険者は、条例又は規約の定めるところにより、特別の理由がある者に対し、保険料を減免し、又はその徴収を猶予することができる。
– (地方税法の準用)
– 第七十八条 保険料その他この法律の規定による徴収金(附則第十条第一項に規定する拠出金を除く。第九十一条第一項において同じ。)については、地方税法第九条、第十三条の二、第二十条、第二十条の二及び第二十条の四の規定を準用する。
– (督促及び延滞金の徴収)
第七十九条 保険料その他この法律の規定による徴収金を滞納した者に対しては、組合は、期限を指定して、これを督促しなければならない。ただし、前条において準用する地方税法第十三条の二第一項の規定により繰上徴収をするときは、この限りでない。
– 2 前項の規定によつて督促をしようとするときは、組合は、納付義務者に対して督促状を発する。この場合において、督促状により指定すべき期限は、地方税法第十三条の二第一項各号のいずれかに該当する場合を除き、督促状を発する日から起算して十日以上を経過した日でなければならない。
– 3 前項の規定によつて督促をしたときは、組合は、規約の定めるところにより、延滞金を徴収することができる。
– (滞納処分)
第七十九条の二 市町村が徴収する保険料その他この法律の規定による徴収金は、地方自治法第二百三十一条の三第三項に規定する法律で定める歳入とする。
– 第八十条 第七十九条の規定による督促又は地方税法第十三条の二第一項各号のいずれかに該当したことによる繰上徴収の告知を受けた納付義務者が、その指定の期限までに当該徴収金を完納しないときは、組合は、都道府県知事の認可を受けてこれを処分し、又は納付義務者の住所地又はその財産の所在地の市町村に対しこれの処分を請求することができる。
– 2 前項の規定により組合が処分を行う場合においては、地方自治法第二百三十一条の三第三項前段及び第十項の規定を準用する。
– 3 第一項の規定により組合が市町村に対し処分の請求を行つた場合においては、市町村は、市町村が徴収する保険料の例によつて、これを処分する。この場合においては、組合は、徴収金額の百分の四に相当する金額を当該市町村に交付しなければならない。
– 4 保険料その他この法律の規定による組合の徴収金の先取特権の順位は、国税及び地方税に次ぐものとする。
– (保険料の徴収の委託)
第八十条の二 市町村は、普通徴収の方法による保険料の徴収の事務については、収入の確保及び被保険者の便益の増進に寄与すると認める場合に限り、政令の定めるところにより、私人に委託することができる。
– (条例又は規約への委任)
第八十一条 この章に規定するもののほか、賦課額、料率、納期、減額賦課その他保険料の賦課及び徴収等に関する事項は、政令で定める基準に従つて条例又は規約で定める。
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