第五章 社会保険診療報酬支払基金の高齢者医療制度関係業務
– (支払基金の業務)
第百三十九条 支払基金は、社会保険診療報酬支払基金法第十五条に規定する業務のほか、第一条に規定する目的を達成するため、次に掲げる業務を行う。
– 一 保険者から前期高齢者納付金等を徴収し、保険者に対し前期高齢者交付金を交付する業務及びこれに附帯する業務
– 二 保険者から後期高齢者支援金等を徴収し、後期高齢者医療広域連合に対し後期高齢者交付金を交付する業務及びこれに附帯する業務
– 2 支払基金は、前項の業務に支障のない限りにおいて、厚生労働大臣の認可を受けて、第一条に規定する目的の達成に資する事業を行うことができる。
– 3 前二項に規定する業務は、高齢者医療制度関係業務という。
– (業務の委託)
第百四十条 支払基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、高齢者医療制度関係業務の一部を保険者が加入している団体で厚生労働大臣が定めるものに委託することができる。
– (業務方法書)
第百四十一条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に関し、当該業務の開始前に、業務方法書を作成し、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
– 2 前項の業務方法書に記載すべき事項は、厚生労働省令で定める。
– (報告等)
第百四十二条 支払基金は、保険者に対し、毎年度、加入者数、特定健康診査等の実施状況その他の厚生労働省令で定める事項に関する報告を求めるほか、第百三十九条第一項第一号に規定する保険者から前期高齢者納付金等を徴収する業務及び同項第二号に規定する保険者から後期高齢者支援金等を徴収する業務に関し必要があると認めるときは、文書その他の物件の提出を求めることができる。
– (区分経理)
第百四十三条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に係る経理については、第百三十九条第一項各号に掲げる業務ごとに、その他の業務に係る経理と区分して、特別の会計を設けて行わなければならない。
– (予算等の認可)
第百四十四条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に関し、毎事業年度、予算、事業計画及び資金計画を作成し、当該事業年度の開始前に、厚生労働大臣の認可を受けなければならない。これを変更するときも、同様とする。
– (財務諸表等)
第百四十五条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に関し、毎事業年度、財産目録、貸借対照表及び損益計算書(以下「財務諸表」という。)を作成し、当該事業年度の終了後三月以内に厚生労働大臣に提出し、その承認を受けなければならない。
– 2 支払基金は、前項の規定により財務諸表を厚生労働大臣に提出するときは、厚生労働省令で定めるところにより、これに当該事業年度の事業報告書及び予算の区分に従い作成した決算報告書並びに財務諸表及び決算報告書に関する監事の意見書を添付しなければならない。
– 3 支払基金は、第一項の規定による厚生労働大臣の承認を受けたときは、遅滞なく、財務諸表又はその要旨を官報に公告し、かつ、財務諸表及び附属明細書並びに前項の事業報告書、決算報告書及び監事の意見書を、各事務所に備えて置き、厚生労働省令で定める期間、一般の閲覧に供しなければならない。
– (利益及び損失の処理)
第百四十六条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務(第百三十九条第二項に規定する業務を除く。次項及び次条第一項において同じ。)に関し、毎事業年度、損益計算において利益を生じたときは、前事業年度から繰り越した損失をうめ、なお残余があるときは、その残余の額は、積立金として整理しなければならない。
– 2 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に関し、毎事業年度、損益計算において損失を生じたときは、前項の規定による積立金を減額して整理し、なお不足があるときは、その不足額は繰越欠損金として整理しなければならない。
– 3 支払基金は、予算をもつて定める金額に限り、第一項の規定による積立金を第百三十九条第一項第一号に規定する保険者に対し前期高齢者交付金を交付する業務及び同項第二号に規定する後期高齢者医療広域連合に対し後期高齢者交付金を交付する業務又は同条第二項の規定により認可を受けて行う業務に要する費用に充てることができる。
– (借入金及び債券)
第百四十七条 支払基金は、高齢者医療制度関係業務に関し、厚生労働大臣の認可を受けて、長期借入金若しくは短期借入金をし、又は債券を発行することができる。
– 2 前項の規定による長期借入金及び債券は、二年以内に償還しなければならない。>
– 3 第一項の規定による短期借入金は、当該事業年度内に償還しなければならない。ただし、資金の不足のため償還することができないときは、その償還することができない金額に限り、厚生労働大臣の認可を受けて、これを借り換えることができる。
– 4 前項ただし書の規定により借り換えた短期借入金は、一年以内に償還しなければならない。
– 5 支払基金は、第一項の規定による債券を発行する場合においては、割引の方法によることができる。
– 6 第一項の規定による債券の債権者は、支払基金の財産について他の債権者に先立つて自己の債権の弁済を受ける権利を有する。
– 7 前項の先取特権の順位は、民法(明治二十九年法律第八十九号)の規定による一般の先取特権に次ぐものとする。
– 8 支払基金は、厚生労働大臣の認可を受けて、第一項の規定による債券の発行に関する事務の全部又は一部を銀行又は信託会社に委託することができる。
– 9 会社法(平成十七年法律第八十六号)第七百五条第一項及び第二項並びに第七百九条の規定は、前項の規定により委託を受けた銀行又は信託会社について準用する。
– 10 第一項、第二項及び第五項から前項までに定めるもののほか、第一項の債券に関し必要な事項は、政令で定める。
– (政府保証)
第百四十八条 政府は、法人に対する政府の財政援助の制限に関する法律(昭和二十一年法律第二十四号)第三条の規定にかかわらず、国会の議決を経た金額の範囲内で、支払基金による前期高齢者交付金及び後期高齢者交付金の円滑な交付のために必要があると認めるときは、前条の規定による支払基金の長期借入金、短期借入金又は債券に係る債務について、必要と認められる期間の範囲において、保証することができる。
– (余裕金の運用)
第百四十九条 支払基金は、次の方法によるほか、高齢者医療制度関係業務に係る業務上の余裕金を運用してはならない。
– 一 国債その他厚生労働大臣が指定する有価証券の保有
– 二 銀行その他厚生労働大臣が指定する金融機関への預金
– 三 信託業務を営む金融機関(金融機関の信託業務の兼営等に関する法律(昭和十八年法律第四十三号)第一条第一項の認可を受けた金融機関をいう。)への金銭信託
– (協議)
第百五十条 厚生労働大臣は、次の場合には、あらかじめ、財務大臣に協議しなければならない。
– 一 第百四十七条第一項、第三項又は第八項の認可をしようとするとき。
– 二 前条第一号又は第二号の指定をしようとするとき。
– (厚生労働省令への委任)
第百五十一条 この章に定めるもののほか、高齢者医療制度関係業務に係る支払基金の財務及び会計に関し必要な事項は、厚生労働省令で定める。
– (報告の徴収等)
第百五十二条 厚生労働大臣又は都道府県知事は、支払基金又は第百四十条の規定による委託を受けた者(以下「受託者」という。)について、高齢者医療制度関係業務に関し必要があると認めるときは、その業務又は財産の状況に関する報告を徴し、又は当該職員に実地にその状況を検査させることができる。ただし、受託者に対しては、当該受託業務の範囲内に限る。
– 2 第六十一条第三項の規定は前項の規定による検査について、同条第四項の規定は前項の規定による権限について、準用する。
– 3 都道府県知事は、支払基金につき高齢者医療制度関係業務に関し社会保険診療報酬支払基金法第二十九条の規定による処分が行われる必要があると認めるとき、又は支払基金の理事長、理事若しくは監事につき高齢者医療制度関係業務に関し同法第十一条第二項若しくは第三項の規定による処分が行われる必要があると認めるときは、理由を付して、その旨を厚生労働大臣に通知しなければならない。
– (社会保険診療報酬支払基金法の適用の特例)
– 第百五十三条 第百一条第一項に規定する命令は、社会保険診療報酬支払基金法第十一条第二項及び第三項の規定の適用については、同法第二十九条に規定する命令とみなし、高齢者医療制度関係業務は、同法第三十二条第二項の規定の適用については、同法第十五条に規定する業務とみなす。
– (審査請求)
第百五十四条 この法律に基づいてした支払基金の処分に不服のある者は、厚生労働大臣に対し、行政不服審査法(昭和三十七年法律第百六十号)による審査請求をすることができる。
– 第六章 国民健康保険団体連合会の高齢者医療関係業務
– (国保連合会の業務)
第百五十五条 国保連合会は、国民健康保険法の規定による業務のほか、次に掲げる業務を行う。
– 一 第七十条第四項(第七十四条第十項、第七十五条第七項、第七十六条第六項及び第七十八条第八項において準用する場合を含む。)の規定により後期高齢者医療広域連合から委託を受けて行う療養の給付に要する費用並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費及び訪問看護療養費の請求に関する審査及び支払
– 二 特定健康診査等の実施、高齢者医療制度の運営その他の事項に関する保険者その他の関係者間の連絡調整及び保険者に対する必要な助言又は援助
– 2 国保連合会は、前項各号に掲げる業務のほか、後期高齢者医療の円滑な運営に資するため、次に掲げる業務を行うことができる。
– 一 第五十八条第三項の規定により後期高齢者医療広域連合から委託を受けて行う第三者に対する損害賠償金の徴収又は収納の事務
– 二 前号に掲げるもののほか、後期高齢者医療の円滑な運営に資する事業
– (議決権の特例)
第百五十六条 国保連合会が前条の規定により行う業務(以下「高齢者医療関係業務」という。)については、国民健康保険法第八十六条において準用する同法第二十九条の規定にかかわらず、厚生労働省令で定めるところにより、規約をもつて議決権に関する特別の定めをすることができる。
– (区分経理)
第百五十七条 国保連合会は、高齢者医療関係業務に係る経理については、その他の経理と区分して整理しなければならない。
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