– 第四章 保険給付
– 第一節 療養の給付等
– (療養の給付)
第三十六条 市町村及び組合(以下「保険者」という。)は、被保険者の疾病及び負傷に関しては、次の各号に掲げる療養の給付を行う。ただし、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が当該被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
– 一 診察
– 二 薬剤又は治療材料の支給
– 三 処置、手術その他の治療
– 四 居宅における療養上の管理及びその療養に伴う世話その他の看護
– 五 病院又は診療所への入院及びその療養に伴う世話その他の看護
– 2 次に掲げる療養に係る給付は、前項の給付に含まれないものとする。
– 一 食事の提供たる療養であつて前項第五号に掲げる療養と併せて行うもの(医療法(昭和二十三年法律第二百五号)第七条第二項第四号に規定する療養病床への入院及びその療養に伴う世話その他の看護であつて、当該療養を受ける際、六十五歳に達する日の属する月の翌月以後である被保険者(以下「特定長期入院被保険者」という。)に係るものを除く。以下「食事療養」という。)
– 二 次に掲げる療養であつて前項第五号に掲げる療養と併せて行うもの(特定長期入院被保険者に係るものに限る。以下「生活療養」という。)
– イ 食事の提供たる療養
ロ 温度、照明及び給水に関する適切な療養環境の形成たる療養
三 評価療養(健康保険法第六十三条第二項第三号に規定する評価療養をいう。以下同じ。)
– 四 選定療養(健康保険法第六十三条第二項第四号に規定する選定療養をいう。以下同じ。)
– 3 被保険者が第一項の給付を受けようとするときは、自己の選定する保険医療機関又は保険薬局(健康保険法第六十三条第三項第一号に規定する保険医療機関又は保険薬局をいう。以下同じ。)に被保険者証を提出して、そのものについて受けるものとする。ただし、厚生労働省令で定める場合に該当するときは、被保険者証を提出することを要しない。
– 第三十七条 削除
– 第三十八条 削除
– 第三十九条 削除
– (保険医療機関等の責務)
第四十条 保険医療機関若しくは保険薬局(以下「保険医療機関等」という。)又は保険医若しくは保険薬剤師(健康保険法第六十四条に規定する保険医又は保険薬剤師をいう。以下同じ。)が、国民健康保険の療養の給付を担当し、又は国民健康保険の診療若しくは調剤に当たる場合の準則については、同法第七十条第一項及び第七十二条第一項の規定による厚生労働省令の例による。
– 2 前項の場合において、同項に規定する厚生労働省令の例により難いとき又はよることが適当と認められないときの準則については、厚生労働省令で定める。
– (厚生労働大臣又は都道府県知事の指導)
第四十一条 保険医療機関等は療養の給付に関し、保険医及び保険薬剤師は国民健康保険の診療又は調剤に関し、厚生労働大臣又は都道府県知事の指導を受けなければならない。
– 2 厚生労働大臣又は都道府県知事は、前項の指導をする場合において、必要があると認めるときは、診療又は調剤に関する学識経験者をその関係団体の指定により指導に立ち会わせるものとする。ただし、関係団体が指定を行わない場合又は指定された者が立ち会わない場合は、この限りでない。
– (療養の給付を受ける場合の一部負担金)
第四十二条 第三十六条第三項の規定により保険医療機関等について療養の給付を受ける者は、その給付を受ける際、次の各号の区分に従い、当該給付につき第四十五条第二項又は第三項の規定により算定した額に当該各号に掲げる割合を乗じて得た額を、一部負担金として、当該保険医療機関等に支払わなければならない。
– 一 六歳に達する日以後の最初の三月三十一日の翌日以後であつて七十歳に達する日の属する月以前である場合 十分の三
– 二 六歳に達する日以後の最初の三月三十一日以前である場合 十分の二
– 三 七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合(次号に掲げる場合を除く。) 十分の二
– 四 七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合であつて、当該療養の給付を受ける者の属する世帯に属する被保険者(七十歳に達する日の属する月の翌月以後である場合に該当する者その他政令で定める者に限る。)について政令の定めるところにより算定した所得の額が政令で定める額以上であるとき 十分の三
– 2 保険医療機関等は、前項の一部負担金(第四十三条前項の規定により一部負担金の割合が減ぜられたときは、同条第二項に規定する保険医療機関等にあつては、当該減ぜられた割合による一部負担金とし、第四十四条第一項第一号の措置が採られたときは、当該減額された一部負担金とする。)の支払を受けるべきものとし、保険医療機関等が善良な管理者と同一の注意をもつてその支払を受けることに努めたにもかかわらず、なお被保険者が当該一部負担金の全部又は一部を支払わないときは、保険者は、当該保険医療機関等の請求に基づき、この法律の規定による徴収金の例によりこれを処分することができる。
– 第四十二条の二 前条第一項の規定により一部負担金を支払う場合においては、同項の一部負担金の額に五円未満の端数があるときは、これを切り捨て、五円以上十円未満の端数があるときは、これを十円に切り上げるものとする。
– 第四十三条 保険者は、政令の定めるところにより、条例又は規約で、第四十二条第一項に規定する一部負担金の割合を減ずることができる。
– 2 前項の規定により一部負担金の割合が減ぜられたときは、保険者が開設者の同意を得て定める保険医療機関等について療養の給付を受ける被保険者は、第四十二条第一項の規定にかかわらず、その減ぜられた割合による一部負担金を当該保険医療機関等に支払うをもつて足りる。
– 3 第一項の規定により一部負担金の割合が減ぜられた場合において、被保険者が前項に規定する保険医療機関等以外の保険医療機関等について療養の給付を受けたときは、保険者は、当該被保険者が第四十二条第一項の規定により当該保険医療機関等に支払つた一部負担金と第一項の規定により減ぜられた割合による一部負担金との差額を当該被保険者に支給しなければならない。
– 4 前条の規定は、第二項の場合における一部負担金の支払について準用する。
– 第四十四条 保険者は、特別の理由がある被保険者で、保険医療機関等に第四十二条又は前条の規定による一部負担金を支払うことが困難であると認められるものに対し、次の各号の措置を採ることができる。
– 一 一部負担金を減額すること。
– 二 一部負担金の支払を免除すること。
– 三 保険医療機関等に対する支払に代えて、一部負担金を直接に徴収することとし、その徴収を猶予すること。
– 2 前項の措置を受けた被保険者は、第四十二条第一項及び前条第二項の規定にかかわらず、前項第一号の措置を受けた被保険者にあつては、その減額された一部負担金を保険医療機関等に支払うをもつて足り、同項第二号又は第三号の措置を受けた被保険者にあつては、一部負担金を保険医療機関等に支払うことを要しない。
– 3 第四十二条の二の規定は、前項の場合における一部負担金の支払について準用する。
– (保険医療機関等の診療報酬)
第四十五条 保険者は、療養の給付に関する費用を保険医療機関等に支払うものとし、保険医療機関等が療養の給付に関し保険者に請求することができる費用の額は、療養の給付に要する費用の額から、当該療養の給付に関し被保険者(第五十七条に規定する場合にあつては、世帯主又は組合員)が当該保険医療機関等に対して支払わなければならない一部負担金に相当する額を控除した額とする。
– 2 前項の療養の給付に要する費用の額の算定については、健康保険法第七十六条第二項の規定による厚生労働大臣の定めの例による。
– 3 保険者は、都道府県知事の認可を受け、保険医療機関等との契約により、当該保険医療機関等において行われる療養の給付に関する第一項の療養の給付に要する費用の額につき、前項の規定により算定される額の範囲内において、別段の定めをすることができる。
– 4 保険者は、保険医療機関等から療養の給付に関する費用の請求があつたときは、第四十条に規定する準則並びに第二項に規定する額の算定方法及び前項の定めに照らして審査した上、支払うものとする。
– 5 保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を都道府県の区域を区域とする国民健康保険団体連合会(加入している保険者の数がその区域内の保険者の総数の三分の二に達しないものを除く。)又は社会保険診療報酬支払基金法(昭和二十三年法律第百二十九号)による社会保険診療報酬支払基金に委託することができる。
– 6 国民健康保険団体連合会は、前項の規定及び健康保険法第七十六条第五項の規定による委託を受けて行う診療報酬請求書の審査に関する事務のうち厚生労働大臣の定める診療報酬請求書の審査に係るものを、一般社団法人又は一般財団法人であつて、審査に関する組織その他の事項につき厚生労働省令で定める要件に該当し、当該事務を適正かつ確実に実施することができると認められるものとして厚生労働大臣が指定するものに委託することができる。
– 7 前項の規定により厚生労働大臣の定める診療報酬請求書の審査に係る事務の委託を受けた者は、当該診療報酬請求書の審査を厚生労働省令で定める要件に該当する者に行わせなければならない。
– 8 前各項に規定するもののほか、保険医療機関等の療養の給付に関する費用の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。
– (保険医療機関等の報告等)
第四十五条の二 厚生労働大臣又は都道府県知事は、療養の給付に関して必要があると認めるときは、保険医療機関等若しくは保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者であつた者(以下この項において「開設者であつた者等」という。)に対し報告若しくは診療録その他の帳簿書類の提出若しくは提示を命じ、保険医療機関等の開設者若しくは管理者、保険医、保険薬剤師その他の従業者(開設者であつた者等を含む。)に対し出頭を求め、又は当該職員に関係者に対して質問させ、若しくは保険医療機関等について設備若しくは診療録、帳簿書類その他の物件を検査させることができる。
– 2 前項の規定による質問又は検査を行う場合においては、当該職員は、その身分を示す証明書を携帯し、かつ、関係人の請求があるときは、これを提示しなければならない。
– 3 第一項の規定による権限は、犯罪捜査のために認められたものと解釈してはならない。
– 4 第四十一条第二項の規定は、第一項の規定による質問又は検査について準用する。
– 5 都道府県知事は、保険医療機関等につきこの法律による療養の給付に関し健康保険法第八十条の規定による処分が行われる必要があると認めるとき、又は保険医若しくは保険薬剤師につきこの法律による診療若しくは調剤に関し健康保険法第八十一条の規定による処分が行われる必要があると認めるときは、理由を付して、その旨を厚生労働大臣に通知しなければならない。
– (健康保険法の準用)
– 第四十六条 健康保険法第六十四条及び第八十二条第一項の規定は、本法による療養の給付について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
– 第四十七条 削除
– 第四十八条 削除
– 第四十九条 削除
– 第五十条 削除
– 第五十一条 削除
– (入院時食事療養費)
第五十二条 保険者は、被保険者(特定長期入院被保険者を除く。)が、自己の選定する保険医療機関について第三十六条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた食事療養に要した費用について、世帯主又は組合員に対し、入院時食事療養費を支給する。ただし、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が当該被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
– 2 入院時食事療養費の額は、当該食事療養につき健康保険法第八十五条第二項の規定による厚生労働大臣の定める基準の例により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額とする。)から、同項に規定する食事療養標準負担額(以下単に「食事療養標準負担額」という。)を控除した額とする。
– 3 被保険者が保険医療機関について食事療養を受けたときは、保険者は、その世帯主又は組合員が当該保険医療機関に支払うべき食事療養に要した費用について、入院時食事療養費として世帯主又は組合員に対し支給すべき額の限度において、世帯主又は組合員に代わり、当該保険医療機関に支払うことができる。
– 4 前項の規定による支払があつたときは、世帯主又は組合員に対し入院時食事療養費の支給があつたものとみなす。
– 5 保険医療機関は、食事療養に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした世帯主又は組合員に対し、厚生労働省令の定めるところにより、領収証を交付しなければならない。
– 6 健康保険法第六十四条並びに本法第三十六条第三項、第四十条、第四十一条、第四十五条第三項から第八項まで及び第四十五条の二の規定は、保険医療機関について受けた食事療養及びこれに伴う入院時食事療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
– (入院時生活療養費)
第五十二条の二 保険者は、特定長期入院被保険者が、自己の選定する保険医療機関について第三十六条第一項第五号に掲げる療養の給付と併せて受けた生活療養に要した費用について、世帯主又は組合員に対し、入院時生活療養費を支給する。ただし、当該特定長期入院被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が当該特定長期入院被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
– 2 入院時生活療養費の額は、当該生活療養につき健康保険法第八十五条の二第二項の規定による厚生労働大臣の定める基準の例により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額とする。)から、同項に規定する生活療養標準負担額(以下「生活療養標準負担額」という。)を控除した額とする。
– 3 健康保険法第六十四条並びに本法第三十六条第三項、第四十条、第四十一条、第四十五条第三項から第八項まで、第四十五条の二及び前条第三項から第五項までの規定は、保険医療機関について受けた生活療養及びこれに伴う入院時生活療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
– (保険外併用療養費)
第五十三条 保険者は、被保険者が自己の選定する保険医療機関等について評価療養又は選定療養を受けたときは、世帯主又は組合員に対し、その療養に要した費用について、保険外併用療養費を支給する。ただし、当該被保険者の属する世帯の世帯主又は組合員が当該被保険者に係る被保険者資格証明書の交付を受けている間は、この限りでない。
– 2 保険外併用療養費の額は、第一号に規定する額(当該療養に食事療養が含まれるときは、当該額及び第二号に規定する額の合算額、当該療養に生活療養が含まれるときは、当該額及び第三号に規定する額の合算額)とする。
– 一 当該療養(食事療養及び生活療養を除く。)につき健康保険法第八十六条第二項第一号の規定による厚生労働大臣の定めの例により算定した費用の額(その額が現に当該療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額とする。)から、その額に第四十二条第一項各号の区分に応じ、同項各号に掲げる割合(第四十三条第一項の規定により一部負担金の割合が減ぜられたときは、当該減ぜられた割合とする。)を乗じて得た額(療養の給付に係る第四十二条第一項の一部負担金について第四十四条第一項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額とする。)を控除した額
– 二 当該食事療養につき健康保険法第八十五条第二項の規定による厚生労働大臣の定める基準の例により算定した費用の額(その額が現に当該食事療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に食事療養に要した費用の額とする。)から、食事療養標準負担額を控除した額
– 三 当該生活療養につき健康保険法第八十五条の二第二項の規定による厚生労働大臣の定める基準の例により算定した費用の額(その額が現に当該生活療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に生活療養に要した費用の額とする。)から、生活療養標準負担額を控除した額
– 3 健康保険法第六十四条並びに本法第三十六条第三項、第四十条、第四十一条、第四十五条第三項から第八項まで、第四十五条の二及び第五十二条第三項から第五項までの規定は、保険医療機関等について受けた評価療養及び選定療養並びにこれらに伴う保険外併用療養費の支給について準用する。この場合において、これらの規定に関し必要な技術的読替えは、政令で定める。
– 4 第四十二条の二の規定は、前項において準用する第五十二条第三項の場合において当該療養につき第二項の規定により算定した費用の額(その額が現に療養に要した費用の額を超えるときは、当該現に療養に要した費用の額とする。)から当該療養に要した費用について保険外併用療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。
この記事へのコメントはありません。