雇保法 第二条(管掌)

第二条(管掌)  雇用保険は、政府が管掌する。 2雇用保険の事務の一部は、政令で定めるところにより、都道府県知事が行うこととすることができる。

で、管掌は政府(厚生労働大臣)なんですが、
1.能力開発事業の一部を都道府県知事が受託する
2.権限を都道府県労働局長、公共職業安定所長に委任するってところが微妙にポイントです♪

第三条(雇用保険事業)  雇用保険は、第一条の目的を達成するため、失業等給付を行うほか、雇用安定事業及び能力開発事業を行うことができる。

第3条は第2条の補則です。

第四条 (定義)  この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。
2  この法律において「離職」とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう。
3  この法律において「失業」とは、被保険者が離職し、労働の意思及び能力を有するにもかかわらず、職業に就くことができない状態にあることをいう。
4  この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。
5  賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

被保険者は適用事業所に雇用される労働者いわゆる労働者で、労働者性の判断で除外されちゃうのが、微妙に複雑。


【試験問題】次の説明は、雇用保険の適用事業及び被保険者に関する記述である。適用事業で雇用される被保険者が、事業主の命を受けて取引先である中国企業の北京支店に出向した場合、当該出向元事業主との雇用関係が継続している場合であっても、当該出向期間が4年を超えると、被保険者たる資格を失う。 【解答】X

雇用関係が継続しているのであれば、消滅することはない出向期間の長さにかかわりなく国内の出向元事業主との雇用関係が継続している限り被保険者となる。
(行政手引20551)


【試験問題】雇用保険法に定める賃金に関する次の記述について、適切か否か答えよ。月あたり一定の時間外労働があったものとみなして支給される定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回るとき、その差額は賃金に含まれない。 【解答】X

月あたり一定の時間外労働があったものとみなして支給される定額残業手当が、実際に行われた時間外労働に基づいて算出された額を上回るとき、その差額も賃金に”含まれる”(行政手引50402)


【試験問題】次の説明は、雇用保険の被保険者に関する記述である。労働者が長期欠勤している場合であっても、雇用関係が存続する限りは、賃金の支払いを受けているか否かを問わず、被保険者の資格を失わない。 【解答】○

長期欠勤者は被保険者となります。労働者が引き続き長期にわたり欠勤している場合でも雇用関係が存続する限り、賃金の支払いを受けているかどうかにかかわらず被保険者となる。ちなみに、この期間は基本手当の所定給付日数等を決定するための基礎となる算定基礎期間に算入される。「雇用関係が継続する限り」がキーワードです。(行政手引20352)


【試験問題】次の説明は、雇用保険の被保険者に関する記述である。法人の代表者は原則として被保険者とならないが、労働保険事務組合に労働保険の事務を委託する中小企業の事業主については、申請に基づき、一定の要件のもとに雇用保険に特別加入することが認められる。 【解答】X

法人の代表者は、雇用保険法の被保険者とはならない。労災保険については、特別加入が認められるが、雇用保険については、特別加入することは認められていない。雇用保険法に特別加入に関する規定は存在しない。

法人の代表者は、雇用保険の被保険者になることはできず、かつ、雇用保険には労災保険のような特別加入制度はありませんので、「申請に基づき、一定の要件のもとに雇用保険に特別加入することが認められる」とした問題文は誤りです。(なお株式会社の取締役等は原則として被保険者としませんが、同時に従業員としての身分を有する者は、報酬支払等の面から「労働者的性格が強く」、「雇用関係があると認められるもの」は、被保険者となり得ます。この場合、賃金算定は役員報酬を除く「労働者」としての賃金部分のみになります。)(行政手引20358)

特別加入は労災のみ。雇用にはない。ところがポイントです。


【試験問題】次の説明は、雇用保険の被保険者に関する記述である。個人事業の事業主と同居している親族は原則として被保険者とならず、法人の代表者と同居している親族についても、形式的には法人であっても実質的には代表者の個人事業と同様と認められる場合には、原則として被保険者とならない。 【解答】○

株式の全部や大部分を当該代表者や親族のみで保有し、取締役会や株主総会等がほとんど行なわれない場合や単に税金対策で法人化しているが、実質的に法人としての活動が行なわれていない場合など形式的には法人であっても実質的には代表者の個人事業と同様と認められる場合、原則として被保険者とならない。

実質的には代表者の個人事業と同様であると認められる場合は、通常は事業主と利益が共通していると思われるので、個人事業主と同居の親族の場合と同様、原則として被保険者にならないと考える、との主旨であると考えられます。

個人事業の事業主と同居している親族については、原則として被保険者とならない。しかし、次の要件をすべて満たす場合は、被保険者として取り扱われます。

1.業務を行うにつき、事業主の指揮命令に従っていることが明確であること
2.就業に実態が当該事業所における他の労働者と同様であり、賃金もこれに応じて支払われていること
3.事業主と利益を一にする地位にいないこと
なお、形式的には法人であっても実質的には代表者の個人事業と同様と認められる場合も同じように取り扱われることになっている。(行政手引20369)


【試験問題】次の説明は、被保険者に関する記述である。同時に2つの適用事業に雇用される労働者は、週当たりの所定労働時間が通算して20時間以上であれば、両方の適用事業において被保険者となる。 【解答】X

この法律において「被保険者」とは、適用事業に雇用される労働者であつて、第六条各号に掲げる者以外のものをいう。 (雇用保険法 4条)

同時に2つの適用事業に雇用される労働者は、「その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける一つの雇用関係」についてのみ、被保険者となります。

なお、主たる賃金を受ける雇用関係のほうの週所定労働時間が20時間未満であれば、一般被保険者にもならなりません。

同時に二以上の雇 用関係にある労働者については、当該二以上の雇用関係のうち一の雇用関係(原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受けている雇用関係とする。)についてのみ被保険者となるとされている。(行政手引20351)


【試験問題】次の説明は、雇用保険事務に関する記述である。事業主は、雇用保険に関する書類を、その完結の日から3年間(被保険者に関する書類にあっては、5年間)保管しなければならない。 【解答】X

この法律において「離職」とは、被保険者について、事業主との雇用関係が終了することをいう。
(雇用保険法 4条2項)

事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類(雇用安定事業又は能力開発事業に関する書類及び徴収法又は労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則による書類を除く)をその完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあっては、4年間)保管しなければならない。(雇用保険に関する書類は、その完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあっては、4年間)保管です。)(施行規則143条)

徴収法又は徴収法施行規則による書類の場合であれば
3年。雇用保険に関する書類の保管期間2年(雇用保険被保険者関係届出事務等処理簿は4年)と混同しないように注意しなければなりません。

雇用、健保、年金二法は「原則」2年保存。いずれも「被保険者」が登場します。

また、雇用保険被保険者が4年なのは、受給期間が最長4年だからです。


【試験問題】次の説明は、雇用保険制度に関する記述である。事業主及び労働保険事務組合は、雇用保険に関する書類をその完結の日から2年間(被保険者に関する書類にあっては、3年間)保管しなければならない。【解答】X

第二章 適用事業等

第五条 (適用事業)  この法律においては、労働者が雇用される事業を適用事業とする。
2  適用事業についての保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号。以下「徴収法」という。)の定めるところによる。

雇用保険適用事業所
(労災保険適用事業所と対比)

•強制適用事業

労働者を雇用する事業(利潤を目的としない事業は含まれる。労働者とは賃金を支払われる者)

•暫定任意適用事業
 労働者5人未満(雇用保険適用されない労働者を含む)の個人経営の農業林業(畜産、養蚕含む)、水産
 水産のうち船員が雇用される事業は除く(強制適用事業)
(船員法1条に規定する船員を雇用する水産の事業については、その使用する労働者の人数にかかわらず、強制適用事業とされる)

 年間延べ労働者が300人未満の個人経営の林業
 労働者5人未満で5トン未満の漁船により操業する個人経営の水産業


【試験問題】次の説明は、雇用保険の適用事業及び被保険者に関する記述である。船員法第1条に規定する船員を雇用する水産の事業は、常時雇用される労働者の数が15名未満であれば、暫定任意適用事業となる。 【解答】X

暫定任意適用事業とされている事業は、農林水産の事業(船員が雇用される事業を除く)のうち、雇用される労働者が常時5人未満である個人経営に事業である。問題文の場合は、「船員を雇用する水産の事業」、「常時雇用される労働者の数が15名未満」としているため、暫定任意適用事業に該当しない。よって問題文は誤り。(法附則2条1項)

船員が1人でもいれば強制適用事業となります。なお、1年以内の雇用で漁船に乗り組むためだけに雇用される船員は被保険者とはなりません。

【試験問題】次の説明は、労働保険の保険関係の消滅に関する記述である。労災保険暫定任意適用事業の事業主がその申請により労働者災害補償保険に加入している場合において、当該事業主が保険関係の消滅の申請をするには、当該保険関係が成立した後1年を経過していることを要する。 【解答】○

適用事業についての保険関係の成立及び消滅については、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(昭和四十四年法律第八十四号。以下「徴収法」という。)の定めるところによる。 (雇用保険法 5条2項)

学習論点が雇用保険法になってるけど…

労災保険の暫定任意適用事業所が任意消滅の要件は、①労働者の過半数の同意を得ること②保険関係成立後1年以上が経過していること(労災保険料納付及び給付申請等に関する義務を意図的に逃れるために消滅申請することでないことを確認するため)③特別保険料の徴収期間が経過してること

保険関係消滅申請書+労働者の同意証明書を保険関係の消滅を希望する事業主が、所轄労働基準監督署長を経由し所轄都道府県労働局長へ届け出る。

労災保険の暫定任意適用の消滅要件に「1年以上経過」があるのに対して、雇用保険の暫定任意適用の消滅要件にはそれがありません。

労災保険の消滅要件にそれがある理由としては、「労災適用後すぐに消滅させてしまうケースをさけるため」とどこかの書籍で読んだ記憶があるのですが、雇用保険にはその要件がない理由?後で調べる


【試験問題】次の説明は、雇用保険事務に関する記述である。暫定任意適用事業の事業所が任意加入の申請を行おうとする場合、雇用保険を適用した場合に被保険者となる者とならない者を合わせた労働者総数の2分の1以上の同意が必要である。【解答】?

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関連条文

  1. 高年齢者雇用安定法 1途中

  2. 高齢者法 第百十七条 特別高額医療費共同事業

  3. 介護保険法 第七十八条の二 (指定地域密着型サービス事業者の指定)

  4. 労基法 第十三条  (この法律違反の契約)

  5. 介護保険法 第三十六条(住所移転後の要介護認定及び要支援認定) 

  6. 雇保法 第四十四条 (日雇労働被保険者手帳)

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