第七条(公民権行使の保障)
使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては、拒んではならない。但し、権利の行使又は公の職務の執行に妨げがない限り、請求された時刻を変更することができる。
労働基準法七条には、①「拒んではならない」の定義、②「公民権」の定義、③時刻変更の程度の3つのポイントがあります。
まず①拒んではならない権利の行使(労働時間中に認めること、無給でも認めたことになる)の定義では有給無給はよく聞かれます。公民権の定義や有給;無給なんて条文には書いてないのに・・・です。なので「無給でも認めたことになる」という事を覚えます。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則等に関する記述である。使用者は、労働基準法第7条の規定により、労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならないが、この「公の職務の執行」には、消防組織法第15条の6の非常勤の消防団員の職務は該当しないと考えられている。
【解答】
○
次に②公民権の定義、何が公民権で、何が違うのかというもよくというか…必ず試験で聞かれます。暗記ポイントです。
「公の職務」に該当:衆議院等の議員、陪審員、労働委員会の委員の職務、訴訟法上の証人、選挙立会人
「公の職務」に該当しない:「予備自衛官の防衛招集、訓練召集」、「非常勤の消防団員の訓練」
「非常勤の消防団員の職務」の他、「予備自衛官が防衛招集又は訓練招集に応じる」ことも法7条の「公の職務の執行」に該当しなません。
法令に基づくすべての「公の職務」が法7条の「公の職務」に該当するわけではありません。
「公民としての権利」に該当:選挙権、被選挙権、最高裁判官の国民審査、住民投票、国民投票、選挙人名簿の登録の申出、行政事件訴訟法による民衆訴訟、選挙人名簿に関する訴訟
「公民としての権利」に該当しない:訴権の行使(行政事件訴訟法による民衆訴訟、選挙人名簿に関する訴訟は除く)、他の立候補者のための選挙運動
個人的には、該当しない「公の職務に該当しない『予備自衛官』と『消防団員』」、「公民としての権利に該当しない『訴権の行使』」から覚えるのがセオリーなのかな…と思います。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則等に関する記述である。労働者が労働審判手続の労働審判員としての職務を行うことは、労働基準法第7条の「公の職務」には該当しないため、使用者は、労働審判員に任命された労働者が労働時間中にその職務を行うために必要な時間を請求した場合、これを拒むことができる。
【解答】
×
労働基準法7条の「公の職務」とは、『法令に根拠』を有するものに限られますが、
法令に基づく公の職務のすべてをいうものではなく①国又は地方公共団体の公務に民意を反映してその適正を図る職務、例えば、衆議院議員その他の議員、労働委員会の委員、陪審員、検察審査員 、労働審判員、裁判員 、法令に基づいて設置される審議会の委員等の職務、②民事訴訟法第190条による証人・労働委員会の証人等の職務③公職選挙法第38条第1項の選挙立会人等の職務等とされています。(平成17年9月30日基発第930006号)
「公の職務」とは、『法令に根拠』を有するものでも「予備自衛官」や「非常勤の消防団員」は公の職務に含まれないなんていう微妙な所を聞きたいんだと思うのですが、「労働審判員としての職務」は公の職務に含まれる。って覚えた方が早いかもしれません。
<参考>
予備自衛官について、平成23年3月16日、東北地方太平洋沖地震被災者支援のために制度発足後はじめて予備自衛官が訓練以外で招集されました。
当初は陸上自衛隊に所属する予備自衛官のみを対象としていましたが、1ヶ月後の4月16日には海上自衛隊及び航空自衛隊の予備自衛官に対しても災害派遣招集命令が発令されました。
被災者への生活支援活動等や在日米軍等の救援活動の円滑化をはかるための通訳などにあたらせたのですが、初めての招集命令のため、予備自衛官の勤務している民間企業との調整がうまくできるかが問題となりました。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則等に関する記述である。使用者は、労働基準法第7条の規定により、労働者が労働時間中に公の職務を執行するために必要な時間を請求した場合においては拒んではならないが、この「公の職務の執行」には、消防組織法第15条の6の非常勤の消防団員の職務は該当しないと考えられている。
【解答】
○
【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則等における定めに関する記述である。労働基準法は、労働時間中における労働者の選挙権その他公民としての権利の行使の保障に関する規定を置いているが、この公民としての権利には、民法による損害賠償に関する訴権の行使は含まれない。
【解答】
○
公民としての権利に民衆訴訟は該当するが、訴権の行使は含まれない。選挙権、被選挙権、は該当するけど他の立候補者のための選挙運動は該当しません。
【試験問題】
次の文中の【X】の部分を選択肢の中の適当な語句で埋め、完全な文章とせよ。労働基準法第7条においては、「使用者は、労働者が労働時間中に、選挙権その他公民としての権利を行使し、又は【X】を請求した場合においては、拒んではならない」と定められている
【解答】
公の職務を執行するために必要な時間
また、罰則は6ヶ月以下の懲役又は30万円以下の罰金です。
本当に徹底的に聞かれます。
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