(制裁規定の制限)
第九十一条
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める就業規則等に関する記述である。就業規則に制裁として出勤停止及びその期間中の賃金を支払わない定めがある場合において、労働者が、例えば5日間の出勤停止の制裁を受けるに至ったときは、当該5日間の賃金を支払わないことは、制裁としての出勤停止の当然の結果であって、労働基準法第91条の減給の制裁の制限には関係のないものである。
【解答】
○
「ノ-ワ-クノ-ペイ」の原則に則り問題文の通りです(昭23.7.3 基収2177号)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める就業規則等に関する記述である。就業規則で、労働者が遅刻をした場合にその時間に相当する賃金額を減額する制度を定める場合には、減給の制裁規定の制限に関する労働基準法第91条の規定の適用を受ける。
【解答】
X
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
もちろん「ノーワークノーペイの原則」から実際に労働いていない時間分の賃金をカットすることは、法91条の減給の制裁にはあたりません。(昭和63年3月14日基発150号)
遅刻、早退または欠勤に対して労働の提供の無かった時間に相当する賃金だけを差し引くことは法91条の制裁として言及に該当するものではないが、遅刻早退の時間に対する賃金を越える減給は制裁とみなされ、法91条に定める規定の適用を受ける。
微妙だからこそよく聞かれます。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める就業規則等に関する記述である。使用者は、いかなる場合でも就業規則に制裁の種類及び程度に関する事項を必ず記載しなければならない。また、減給の制裁を就業規則に定める場合には、その減給は1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が1賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならない。
【解答】
X
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならない。
「いかなる場合でも」が間違いです。
表彰・制裁の種類及び程度に関する事項は、就業規則の相対的必要記載事項です。
そのため、制裁について就業規則で定めていない場合は、そもそも減給をしてはいけません。
減給の制裁は、労働者が受けるべき賃金を減額することであるため、労働者の生活を脅かすことになりかねないため、就業規則で定めておけば、例外的に認めるよという意味です。
「相対的記載事項」には次のものがあります。
●退職手当の適用される労働者の範囲、退職手当の決定、計算および支払の方法ならびに退職手当の支払の時期に関する事項。
●臨時の賃金等(退職手当を除く)および最低賃金額に関する事項。
●労働者の食費、作業用品その他の負担に関する事項。
●安全衛生に関する事項。
●職業訓練に関する事項。
●災害補償および業務外の傷病扶助に関する事項。
●表彰および制裁の種類および程度に関する事項。
●事業場の労働者のすべてに適用される事項。
制裁の種類及び程度に関する事項については、定めをする場合には記載しなければならない相対的必要記載事項とされているため「必ず記載しなければならない」とした問題文は誤りとなります。
なお、就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えてはならないとされており、後半部分については正しいです。
【試験問題】次の説明は、労働基準法に定める就業規則等に関する記述である。就業規則で労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、1回の額が平均賃金の1日分の半額を超えてはならず、また、一賃金支払期に発生した数事案に対する減給の総額が当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1を超えるとしても、当該賃金支払期における実際の減給の総額は、当該賃金支払期における賃金の総額の10分の1以内でなければならない。
【解答】
〇
就業規則で、労働者に対して減給の制裁を定める場合においては、その減給は、一回の額が平均賃金の一日分の半額を超え、総額が一賃金支払期における賃金の総額の十分の一を超えてはならなりません。
賃金総額の10分の1を超えるときは、その超える部分の減給は、次期以降の賃金支払期に繰り越してしなければなりません。
減給の制裁は「1回につき平均賃金の1日分の半額」、「一賃金支払期における賃金総額の10分の1以内」という2つの要件を満たす必要があります。
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