労基法 第二十五条(非常時払)

第二十五条(非常時払)
使用者は、労働者が出産疾病災害その他厚生労働省令で定める非常の場合の費用に充てるために請求する場合においては、支払期日前であつても、既往の労働に対する賃金を支払わなければならない。

非常時払…出産、疾病、災害等「非常の場合」に既往の労働に対する賃金を支払う。

労働者またはその生計を維持するものの出産、疾病、災害に充てる費用、結婚、死亡に要する費用、やむを得ない理由により1週間以上の帰郷の費用に充てるために請求など賃金の例外的な微妙な判定がズラズラと記載があります。

25条で非常の場合には、毎月一定期日前でも既往の労働に対する分であれば賃金は払うべきということが決められてます。

第二十六条(休業手当)
使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。


【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める賃金等に関する記述である。最高裁判所の判例によると、労働基準法第26条の「使用者の責に帰すべき事由」は、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法第536条第2項の「債権者の責めに帰すべき事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むものと解するのが相当であるとされている。
【解答】

労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」と民法536条2項の「債権者の責に帰すべき事由」との異同、広狭が聞かれている問題です。

休業手当の制度は、労働者の生活保障という観点から設けられたものですが、賃金の全額においてその保障をするものではなく、

「その支払義務の有無を使用者の帰責事由の存否にかからしめていることからみて、労働契約の一方当事者たる使用者の立場をも考慮すべきものとしていることは明らかである。

以下問題文に続く判例。(ノース・ウェスト航空(S62.7.17))」

正直、言い回しが小難しくて分かり難いのですが、労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由」は民法536条2項の「債権者の責に帰すべき事由」との異り広義という事です。


【試験問題】
労働基準法に定める賃金等に関する次の記述について、適切か否か答えよ。労働基準法第26条の定める休業手当の趣旨は、使用者の故意又は過失により労働者が休業を余儀なくされた場合に、労働者の困窮をもたらした使用者の過失責任を問う、取引における一般原則たる過失責任主義にあるとするのが、最高裁判所の判例である。
【解答】
×

「使用者の責に帰すべき事由」とは、取引における一般原則たる過失責任主義とは異なる観点をも踏まえた概念というべきであって、民法536 条2項の「使用者ノ責ニ帰スヘキ事由」よりも広く、使用者側に起因する経営、管理上の障害を含むと解するのが相当である。
( 最判昭和62年7 月17日 (ノースウェスト航空事件))


【試験問題】
労働基準法に定める賃金等に関する次の記述について、適切か否か答えよ。労働基準法第26条にいう「使用者の責に帰すべき事由」には、天災地変等の不可抗力によるものは含まれないが、例えば、親工場の経営難から下請工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は含まれる。
【解答】

親会社の経営難のため、下請け工場が資材、資金の獲得ができず休業した場合は、使用者の責に帰すべき事由に該当します。(労基法26条、昭和23年6月11日基収1998号)


【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める労働契約に関する記述である。使用者は、労働者の責に帰すべき事由によって解雇する場合には、労働者の帰責性が軽微な場合であっても、労働基準法第20条所定の解雇予告及び予告手当の支払の義務を免れる。
【解答】
×

「労働者の責に帰すべき事由」とは、予告期間を置かずに即時に解雇されてもやむを得ないと認められるほどに重大な服務規律違反又は背信行為をした場合をいいます。

例えば、「事業場内における盗取、横領、傷害等刑法犯に該当する行為(原則として極めて軽微なものを除く)があった場合、他の事業へ転職した場合、原則として2週間以上正当な理由なく無断欠勤し、出勤の督促に応じない場合、出勤不良又は出欠常ならず、数回にわたって注意をうけても改めない場合」等ですので、本問の「労働者の帰責性が軽微な場合」は解雇予告及び解雇予告手当の義務を免れません。(昭和31.3.1基発111号)

労働者の帰すべき事由とは、故意又はこれと同視すべき事由であり、法20条の保護を与える必要のない程度に重大又は悪質なものをいいます。したがって、労働者の帰責性が軽微な場合であっても、解雇予告及び解雇予告手当の支払の義務は免れません。(法20条)


【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める賃金等に関する記述である。労働基準法第26条の規定に基づき、使用者が、その責めに帰すべき事由による休業の場合に支払わなければならない休業手当は、同法第11条の賃金と解される。したがって、同法第24条第2項が適用され、毎月1回以上、一定の期日を定めて支払わなければならない。
【解答】

使用者の責に帰すべき事由による休業の場合においては、使用者は、休業期間中当該労働者に、その平均賃金の百分の六十以上の手当を支払わなければならない。 (労働基準法 26条)

参考:使用者の責に帰すべき事由による休業

⇒その平均賃金の百分の六十以上の手当の支払わなければならない(法26条)。
⇒年次有給休暇の付与要件の算定に当たって
「使用者の責に帰すべき事由による休業」は全労働日に含めない(法39条の1)。
⇒平均賃金の算定基礎から控除する期間(法12条)
となります。

使用者の責めに帰すべき事由による休業の場合における休業手当については支払期日に関する明文の定めはありませんが、休業手当を賃金と解し法24条2項に基づく所定賃金支払日に支払うべきであるとされています。そのため、問題文は正解です。(昭和25年4月6日基収207号、昭和63年3月14日基発150号)

比較

休業手当→労働基準法上の賃金に該当する
休業補償→労働基準法上の賃金ではない


【試験問題】
次の説明は、労働基準法の賃金に関する記述である。出来高払制その他の請負制で使用する労働者については、使用者の責に帰すべき事由によって休業する場合においても、使用者は、労働基準法第27条の規定に基づく出来高払制の保障給を支払わなければならない。


【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める賃金等に関する記述である。労働基準法第26条の休業手当は、民法第536条第2項によって全額請求し得る賃金のうち、平均賃金の100分の60以上を保障しようとする趣旨のものであるから、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日については、休業手当を支給する義務は生じない。
【解答】

休業手当は、休業期間について支払われますが、労働協約、就業規則又は労働契約により休日と定められている日は支払義務はありません。(法第26条)

・休業手当は実質6割補償されず、週休2日の会社では4割程度補償されるようです。

・一時帰休が長引くと平均賃金が減少するのを防止するため、最低賃金として分母に労働日数使用するようです。

休業手当…使用者の責に帰すべき事由による休業は60/100以上の休業手当(所定休日は除く)

休業手当は不可抗力を主張できない

で、休業手当は賃金(=賃金の原則適用)ですが「休業補償」は賃金ではありません。

出来高払いの保障給

出来高が少なくても平均賃金の6割程度を保障することが妥当です。

賃金の例外的な微妙な判定がズラズラと記載があります。

26条で「最低6割は保証しなさい」という、完全歩合制とかは法律違反って事が決められてます。

関連条文

  1. 介護保険法 第百八十三条 (審査請求)

  2. 確定給付企業年金法について

  3. 労基法 第九十七条(監督機関の職員等)

  4. 労基法 第六十二条(危険有害業務の就業制限)

  5. 介護保険法 第三十六条(住所移転後の要介護認定及び要支援認定) 

  6. 雇保法 第二条(管掌)

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