(特定元方事業者等の講ずべき措置)
第三十条
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、次の事項に関する必要な措置を講じなければならない。
一 協議組織の設置及び運営を行うこと。
二 作業間の連絡及び調整を行うこと。
三 作業場所を巡視すること。
四 関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと。
五 仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で、厚生労働省令で定めるものに属する事業を行う特定元方事業者にあつては、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成するとともに、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人がこの法律又はこれに基づく命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導を行うこと。
六 前各号に掲げるもののほか、当該労働災害を防止するため必要な事項
2 特定事業の仕事の発注者(注文者のうち、その仕事を他の者から請け負わないで注文している者をいう。以下同じ。)で、特定元方事業者以外のものは、一の場所において行なわれる特定事業の仕事を二以上の請負人に請け負わせている場合において、当該場所において当該仕事に係る二以上の請負人の労働者が作業を行なうときは、厚生労働省令で定めるところにより、請負人で当該仕事を自ら行なう事業者であるもののうちから、前項に規定する措置を講ずべき者として一人を指名しなければならない。一の場所において行なわれる特定事業の仕事の全部を請け負つた者で、特定元方事業者以外のもののうち、当該仕事を二以上の請負人に請け負わせている者についても、同様とする。
3 前項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4 第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、第一項の規定は、適用しない。
第三十条の二
製造業その他政令で定める業種に属する事業(特定事業を除く。)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。
2 前条第二項の規定は、前項に規定する事業の仕事の発注者について準用する。この場合において、同条第二項中「特定元方事業者」とあるのは「元方事業者」と、「特定事業の仕事を二以上」とあるのは「仕事を二以上」と、「前項」とあるのは「次条第一項」と、「特定事業の仕事の全部」とあるのは「仕事の全部」と読み替えるものとする。
3 前項において準用する前条第二項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4 第二項において準用する前条第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第一項に規定する措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
第三十条の三 第二十五条の二第一項に規定する仕事が数次の請負契約によつて行われる場合(第四項の場合を除く。)
においては、元方事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、同条第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該元方事業者及び当該元方事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
2 第三十条第二項の規定は、第二十五条の二第一項に規定する仕事の発注者について準用する。この場合において、第三十条第二項中「特定元方事業者」とあるのは「元方事業者」と、「特定事業の仕事を二以上」とあるのは「仕事を二以上」と、「前項に規定する措置」とあるのは「第二十五条の二第一項各号の措置」と、「特定事業の仕事の全部」とあるのは「仕事の全部」と読み替えるものとする。
3 前項において準用する第三十条第二項の規定による指名がされないときは、同項の指名は、労働基準監督署長がする。
4 第二項において準用する第三十条第二項又は前項の規定による指名がされたときは、当該指名された事業者は、当該場所において当該仕事の作業に従事するすべての労働者に関し、第二十五条の二第一項各号の措置を講じなければならない。この場合においては、当該指名された事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同項の規定は、適用しない。
5 第二十五条の二第二項の規定は、第一項に規定する元方事業者及び前項の指名された事業者について準用する。この場合においては、当該元方事業者及び当該指名された事業者並びに当該元方事業者及び当該指名された事業者以外の事業者については、同条第二項の規定は、適用しない。
【試験問題】
次の説明は、労働安全衛生法で定める特定元方事業者又は統括安全衛生責任者に関する記述である。特定元方事業者が講ずべき措置の事項として、労働安全衛生法第30条第1項第4号は、「関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと」と規定しており、関係請負人である事業者は、労働安全衛生法第59条第2項の規定に基づいて、作業内容を変更したときの安全又は衛生のための教育を行う必要はない。
【解答】
×
第十五条第一項又は第三項の場合において、これらの規定により統括安全衛生責任者を選任すべき事業者以外の請負人で、当該仕事を自ら行うものは、安全衛生責任者を選任し、その者に統括安全衛生責任者との連絡その他の厚生労働省令で定める事項を行わせなければならない。 (労働安全衛生法 16条)
特定元方事業者は、「指導および援助」のみ。教育自体は「下請け(関係請負人)」がおこないます。
作業内容変更時の安全衛生教育は「義務」であり、労働安全衛生法第30条第1項第4号を理由に、その義務を免れる事は出来ません。
特定元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織の設置及び運営を行うこと、作業間の連絡及び調整を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければなりません。
(統括安全衛生責任者を選任した特定元方事業者はこれらの事項を統括安全衛生責任者に統括管理させる。)
そのため問題文前半部分の記述は正しいです。(法30条1項、法59条2項)
【試験問題】
次の説明は、労働安全衛生法に定める元方事業者等に関する記述である。業種のいかんを問わず、元方事業者は、関係請負人及び関係請負人の労働者が、当該仕事に関し、労働安全衛生法又はこれに基づく命令の規定に違反しないよう必要な指導を行わなければならない。
【解答】
○?
【試験問題】
次の説明は、労働安全衛生法に定める元方事業者に関する記述である。造船業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、協議組織の設置及び運営を行うこと、作業場所を巡視すること、関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導及び援助を行うこと等に関する必要な措置を講じなければならない。
【解答】
○
≪講じなければならない事項≫
1協議組織の設置及・運営
2作業間の連絡及び調整
3作業場所巡視
4関係請負人が行う労働者の安全又は衛生のための教育に対する指導・援助
5仕事を行う場所が仕事ごとに異なることを常態とする業種で省令で定める事業を行う特定元方事業者は、仕事の工程に関する計画及び作業場所における機械、設備等の配置に関する計画を作成し、当該機械、設備等を使用する作業に関し関係請負人が安全法の命令の規定に基づき講ずべき措置についての指導
6その他当該労働災害を防止するため必要な事項
(法30条1項、令7条)
ちなみに「協議組織の設置及び運営」は特定元方事業者のみに課せられています。
特定元方事業者(とくていもとかたじぎょうしゃ)
日本において注文者から仕事を元請けする事業者(=元方事業者)のうち、特定業種である建設業、造船業に属するもの。
一般的な建築工事の請負の場合、元請負業者が該当する。総合建設業者や建築JVが特定元方事業者となる。下請負業者を指揮し、現場の労働安全を確保するうえにおいて重要な役割を担う事業者。建築・設備分離発注となった場合は、サブコンが該当することになる場合もある。
ウィキペディア (Wikipedia): フリー百科事典 特定元方事業者
【試験問題】
次の説明は、労働安全衛生法に定める元方事業者に関する記述である。製造業に属する事業の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによって生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置等の必要な措置を講じなければならない。
【解答】
○
第三十条の二 製造業その他政令で定める業種に属する事業(特定事業を除く。)の元方事業者は、その労働者及び関係請負人の労働者の作業が同一の場所において行われることによつて生ずる労働災害を防止するため、作業間の連絡及び調整を行うことに関する措置その他必要な措置を講じなければならない。(法30条の2)
特定元方事業者(建設業または造船業を行う元方事業者)が講ずべき措置には「協議組織の設置及び運営を行うこと」が含まれます。(法30条)
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