労働保険の保険料の徴収等に関する法律
(昭和四十四年十二月九日法律第八十四号)
– 第二章 保険関係の成立及び消滅(第三条―第九条)
– 第三章 労働保険料の納付の手続等(第十条―第三十二条)
– 第四章 労働保険事務組合(第三十三条―第三十六条)
– 第四章の二 行政手続法との関係(第三十六条の二)
– 第五章 不服申立て及び訴訟(第三十七条・第三十八条)
– 第六章 雑則(第三十九条―第四十五条の二)
– 第七章 罰則(第四十六条―第四十八条)
第一章 総則
第一条 (趣旨) この法律は、労働保険の事業の効率的な運営を図るため、労働保険の保険関係の成立及び消滅、労働保険料の納付の手続、労働保険事務組合等に関し必要な事項を定めるものとする。
第二条 (定義) この法律において「労働保険」とは、労働者災害補償保険法(昭和二十二年法律第五十号。以下「労災保険法」という。)による労働者災害補償保険(以下「労災保険」という。)及び雇用保険法(昭和四十九年法律第百十六号)による雇用保険(以下「雇用保険」という。)を総称する。
2 この法律において「賃金」とは、賃金、給料、手当、賞与その他名称のいかんを問わず、労働の対償として事業主が労働者に支払うもの(通貨以外のもので支払われるものであつて、厚生労働省令で定める範囲外のものを除く。)をいう。
3 賃金のうち通貨以外のもので支払われるものの評価に関し必要な事項は、厚生労働大臣が定める。
4 この法律において「保険年度」とは、四月一日から翌年三月三十一日までをいう。
【試験問題】
一般保険料の額の算定に用いる賃金総額に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
慶弔見舞金は、就業規則に支給に関する規定があり、その規定に基づいて支払われたものであっても労働保険料の算定基礎となる賃金総額に含めない。 【解答】○
(賃金に含めない)
*結婚祝金、病気見舞金等(労働基準法上の取扱いと異なり、労働協約等によって事業主にその支払が義務づけられるものであっても賃金とならない)
*作業着の貸与、住宅の貸与
*財産形成貯蓄等のため事業主が負担する奨励金
任意的なもの、恩恵的なもの、実費弁償的なものであり労働の対償として支払われるものではないから。
法2条、昭22.9.13発基17号、昭25.2.16基発127
【試験問題】
一般保険料の額の算定に用いる賃金総額に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
雇用保険料その他社会保険料の労働者負担分を、事業主が、労働協約等の定めによって義務づけられて負担した場合、その負担額は賃金と解することとされており、労働保険料等の算定基礎となる賃金総額に含める。 【解答】○
(賃金に含む)
所得税、社会保険料等の労働者負担分を、労働協約等の定めにより事業主が負担したもの
第二章 保険関係の成立及び消滅
第三条 (保険関係の成立) 労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。
【試験問題】
次の説明は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」という。)に基づく保険関係等に関する記述である。
労災保険の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下この問において「保険関係」という。)が成立する。 【解答】○
労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条)
事業が開始した日に適用されないと
初日に保険事故が起きた場合、給付されないことになり。
また、終了の場合は翌日に消滅としなければ、
最終日に保険事故が起きた場合、給付されないことになる。
よって、開始の日、終了の日の翌日となる。
◎保険関係の成立
強制適用事業 :★1
暫定任意適用事業:★2
◎保険関係の一括
有期 :★1
請負 :★1
請負(分離):★2
継続 :★2
★1 法律上当然に
★2 大臣認可(局長に権限委任)
労災保険法では「適用事業」であれば、事業が開始された日に当然に保険関係が成立します。
なお、保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から「10日以内」に「その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない」です。
事業を開始すると当然法律上、労働保険関係は成立する。
ただし、事業開始した事実を報告しないと行政側がその事実を知りえない。
このため”保険関係成立届”を10日以内に提出する必要があるということ。
関連問題
次の説明は、保険関係等に関する記述である。なお、「徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。
労災保険に係る保険関係が成立している事業が使用労働者数の減少により労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に保険関係が消滅する。
【試験問題】
次の説明は、労働保険に関する記述である。
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならない。 【解答】○
労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条)
労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならないのは、建設の事業のみ。
(建設の事業の保険関係成立の標識)
第七十七条 労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業に係る事業主は、労災保険関係成立票(様式第二十五号)を見易い場所に掲げなければならない。
則77条
【試験問題】
次の説明は、労働保険徴収法施行規則に関する記述である。なお、以下において、「労働保険徴収法施行規則」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」のことである。
労災保険に係る労働保険の保険関係が成立しているすべての事業の事業主は、労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならない。【解答】?
【試験問題】
次の説明は、保険関係等に関する記述である。なお、「徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。
労災保険に係る保険関係が成立している事業が使用労働者数の減少により労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に保険関係が消滅する。【解答】×
労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条)
その翌日に保険関係が消滅するのではなく、その翌日に任意加入の認可があったものとみなされる。
これを「擬制による任意加入の認可」といいます。
雇用保険業務取扱要領
【試験問題】
次の説明は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律(以下「徴収法」という。)に基づく保険関係等に関する記述である。
労災保険の保険関係が成立している事業がその使用する労働者の数の減少により労災保険暫定任意適用事業に該当するに至ったときは、その翌日に、その事業につき労災保険の加入につき厚生労働大臣の認可があったものとみなされる。【解答】?
【試験問題】
次の説明は、保険関係等に関する記述である。なお、「徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。
労働保険の適用事業の事業主については、その事業が開始された日の翌日に、その事業につき労働保険の保険関係が成立する。 【解答】×
雇用保険法第五条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 4条)
翌日→その日
(保険関係の成立)
第三条 労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。
徴収法3条
労働保険の保険関係は、【事業が開始された日】または適用事業に該当することとなった日に、法律上当然に成立する。
【試験問題】
次の説明は、労働保険徴収法の適用に関する記述である。なお、以下において、「労働保険」とは「労働者災害補償保険及び雇用保険」のことであり、「労働保険徴収法施行規則」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」のことである。
立木の伐採の事業は、労働保険徴収法において一元適用事業に該当する。【解答】?
【試験問題】次の説明は、労働保険徴収法施行規則に関する記述である。なお、以下において、「労働保険徴収法施行規則」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則」のことである。労災保険に係る労働保険の保険関係が成立しているすべての事業の事業主は、労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならない。 【解答】×
労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立します。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条)
労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならないのは「建設業」のみ。
労災保険に係る関係が成立している事業で、建設業の場合は労災保険関係成立票を掲示する義務があります。(労働保険徴収法施行規則第74条)
<参考>比較
事業主は、労災保険に関する法令のうち、労働者に関係のある規定の要旨、労災保険に係る保険関係成立の年月日及び労働保険番号を常時事業場の見易い場所に掲示し、又は備え付ける等の方法によって、労働者に周知させなければならない。(則49条)
関連問題
次の説明は、労働保険の保険料の徴収等に関する法律の適用に関する記述である。なお、以下において、「労働保険徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。
労災保険に係る保険関係が成立している事業のうち建設の事業の事業主は、労災保険関係成立票を見易い場所に掲げなければならない。
【試験問題】
次の説明は、労働保険に係る届出に関する記述である。
労働保険の保険関係は、適用事業の事業主が、その事業が開始された日から10日以内に保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に提出することによって成立する。【解答】×
労働保険の保険関係は、強制適用事業において保険関係が成立するのは、その事業が開始された日または、強制事業に該当するに至った日である。成立した日から10日以内(翌日起算)に保険関係成立届を所轄労働基準監督署長又は公共職業安定署長に提出しなければならない。
適用事業についての労災保険又は雇用保険に係る労働保険の保険関係は、その事業が開始された日又は暫定任意適用事業が適用事業に該当するに至った日に「法律上当然に成立」するのであって、事業主が政府に届出をすることによって成立するのではない。尚、保険関係が成立した事業主は、「成立した日の翌日から起算して10日以内」に「保険関係成立届」を所定の区分に従い、所轄労働基準監督署長又は所轄公共職業安定所長に届け出なければならない。
尚、「◯◯から起算してXX日以内」という場合は常に「翌日から起算して」である。
法3条、4条、4条の2,1項、法附則3条、整備法7条
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