第四条 雇用保険法第五条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき雇用保険に係る保険関係が成立する。
第四条の二 (保険関係の成立の届出等)
前二条の規定により保険関係が成立した事業の事業主は、その成立した日から十日以内に、その成立した日、事業主の氏名又は名称及び住所、事業の種類、事業の行われる場所その他厚生労働省令で定める事項を政府に届け出なければならない。
2 保険関係が成立している事業の事業主は、前項に規定する事項のうち厚生労働省令で定める事項に変更があつたときは、厚生労働省令で定める期間内にその旨を政府に届け出なければならない。
【試験問題】
次の説明は、労働保険に関する記述である。
概算保険料申告書は、所轄労働基準監督署又は所轄公共職業安定所を経由して提出しなければならない。 【解答】×
概算保険料申告書は、労働基準監督署又は日本銀行を経由して「都道府県労働局歳入徴収官」に提出することとされている。公共職業安定所を経由することはできない。
[自説の根拠]徴収則第38条第2項
改正により、概算保険料申告書は、区分に従い、日本銀行、年金事務所又は郎等基準監督署を経由して行うことができる、となった。
(区分により経由先が違う)
経由 日本銀行、年金事務所または労働基準監督署
①一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委任していない事業に係る一般保険料
②二元適用事業の労災保険に係る一般保険料
経由 日本銀行、年金事務所
③一元適用事業であって労働保険事務組合に労働保険事務の処理を委託していない事業のうち、[雇用保険に係る保険関係のみが成立している事業についての]一般保険料
④二元適用事業の[雇用保険に係る]一般保険料
※[雇用保険に係る]場合労働基準監督署は、外れる
[自説の根拠]徴収法38条第1項 第2項
概算保険料申告書
①日本銀行、②年金事務所、③労働基準監督書 を経由し、都道府県労働局歳入徴収官に申告
労災に係るものは労基で事務組合に委託するものは職安で・・・というのは概算や確定保険料申告書ではなく、【保険関係成立届】のことですね。この規定との混同を狙った設問でしょう。これはきっちり整理しておかないと、覚えているはずなのに、うっかりミスも起きやすい箇所だと思います。何と比較させているのか、どう間違えさせようとしているかを意識できるようになると、効果的ですね。
法4条の2、法15条
第五条 (保険関係の消滅) 保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。
【試験問題】
次の説明は、労働保険に関する記述である。
※【解答訂正】解答を修正させて頂きました(2010/05/16)。
継続事業の事業主は、保険年度ごとに、保険年度の初日(保険年度の中途に保険関係が消滅したものについては、その保険関係が消滅した日)から50日以内に、確定保険料申告書を提出しなければならない。 【解答】×
【法改正対応】
継続事業の確定保険料納期限は、「次の保険年度の6月1日から40日以内」又は「保険関係が消滅した日から50日以内」である。
今年は、継続事業については6月1日から7月10日までの間に、21年度の確定保険料の申告・納付と同時に22年度の概算保険料の申告・納付を行うことになります。
40日以内です、この前年度分と当年度分をセットで行うことを「年度更新」といいます。
年度の中途で保険関係が消滅した場合には、消滅した日から50日以内に確定保険料の申告・納付をしなければなりません。
従ってこの問題の正解は×。
保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 5条)
保険年度ごとに、保険年度の6月1日から40日以内
●継続事業の確定保険料納期限
「次の保険年度の6月1日から40日以内」又は「保険関係が消滅した日から50日以内」
関連問題
次の説明は、雇用保険法に関する記述である。
労働保険の適用事業において、事業が廃止された場合、事業主は、保険関係が消滅した日から50日以内に確定保険料申告書を所轄都道府県労働局歳入徴収官に提出しなければならない。
【試験問題】
一般保険料の額の算定に用いる賃金総額に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
労働基準法第76条の規定に基づく休業補償は、労働不能による賃金喪失に対する補償であり、労働の対償ではないので、労働保険料等の算定基礎となる賃金に含めない。また、休業補償の額が平均賃金の60パーセントを超えた場合についても、その超えた額を含めて労働保険料等の算定基礎となる賃金総額に含めない。 【解答】○
(賃金に含めない)
休業補償
→当該額が平均賃金の60%を超えた場合であっても、その超えた額を含めて賃金とはならない
(対比)「休業手当」は賃金に含める
[自説の根拠]法2条、昭25.12.27基収3432号、社労士試験集中合格講座徴収p228
休業補償 業務上負傷してその療養のため労働することができない場合使用者が補償するもの
休業手当 使用者の責めに帰すべき事由による休業
補償と手当では支給事由が異なる
扱いも異なる
【試験問題】
労働保険の適用に関する次の記述について、適切か否か答えよ。
保険関係の成立している事業は、その事業の廃止又は終了の日の翌日に、その事業についての保険関係は法律上当然に消滅するが、例えば法人の場合、その法人が解散したからといって直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限りその清算結了の日の翌日に保険関係が消滅するとされている。 【解答】○
●保険関係の成立している事業が【廃止】され、又は【終了】したときは、その事業についての保険関係は、その【翌日】に【消滅】する(徴収法5条)
●法人の場合、その法人が解散したからといって直ちにその事業が廃止されたことにはならず、特別の事情がない限り【その清算結了の日の翌日】に保険関係が【消滅】するとされている。(適用手引1編2章3ハ)
労働保険徴収法5条
第七条(有期事業の一括) 二以上の事業が次の要件に該当する場合には、この法律の規定の適用については、その全部を一の事業とみなす。
– 一 事業主が同一人であること。
– 二 それぞれの事業が、事業の期間が予定される事業(以下「有期事業」という。)であること。
– 三 それぞれの事業の規模が、厚生労働省令で定める規模以下であること。
– 四 それぞれの事業が、他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行なわれること。
– 五 前各号に掲げるもののほか、厚生労働省令で定める要件に該当すること。
【試験問題】
次の説明は、雇用保険法に関する記述である。なお、以下において、「労働保険」とは「労働者災害補償保険及び雇用保険」のことであり、「労働保険徴収法」とは「労働保険の保険料の徴収等に関する法律」のことである。
労働保険徴収法第7条の規定により一の事業とみなされる有期事業についての事業主は、それぞれの事業を開始したときは、その開始の日の属する月の翌月末日までに、一括有期事業開始届を提出しなければならない。 【解答】×
労災保険法第三条第一項の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 3条)
一括有期事業開始届 → 事業の開始日の属する月の翌月10日までに、一括有期事業の所轄労働基準監督署長に提出しなければならない。
事業の開始日の属する月の翌月10日まで → 一括有期事業開始届
印紙保険料納付状況報告書、印紙保険料納付計器使用状況報告書 → 翌月末日
【試験問題】
次の説明は、労災保険のいわゆるメリット制に関する記述である。
労働保険徴収法第7条の規定により有期事業の一括の適用を受けている建設の事業の場合において、メリット制の適用を受けるためには、当該保険年度の請負金額の総額が1億2000万円以上であることが必要である。 【解答】×
なお、有期事業の場合の適用要件は
①建設 確定保険料の額40万円以上『または』請負金額が1億2000万円以上である事業
②立木の伐採 確定保険料の額40万円以上『または』素材の生産量が1000立方平方メートル以上
メリット制は、労災保険料または確定保険料の額を上下させる制度です。非業務災害率及び雇用保険率に係る部分には適用されません。
「有期事業の一括の適用を受けている」ので、継続事業のメリット制適用対象になります。
よって
「請負金額の総額が1億2000万円以上であること」→×
「確定保険料の額が40万円以上であること」→○
☆H27年度改正☆
有期事業のメリット制における事業規模の要件が一部変更されています。
建設の事業
確定保険料の額が40万円以上、「又は」
請負金額が1億1,000万円以上
請負金額が1億2000万円から1億1000万円に引き下げられていますので要注意です。
【試験問題】
次の説明は、労働保険徴収法の総則、保険関係の成立等に関する記述である。
有期事業の一括は法律上一定の要件に該当する場合には当然に行われるものであり、事業主からの申請、都道府県労働局長による承認は不要である。 【解答】○
○
有期事業を開始したときは、初めに、所轄労働基準監督署長に対し「保険関係成立届」を提出する。それ以後は、一括有期事業の対象となる事業が継続している限り、当該一括有期事業に含まれる個々の事業(各々の建設現場)については、保険関係成立届を提出する必要はない。ただし、個々の事業についての労災保険関係の成立確認は必要であるから、「一括有期事業開始届」を提出しなければならない。
「有期事業の一括」は、法律上当然に、かつ、強行的に行われるため、適用のための特別な手続は不要である。
有期事業の一括は個々の事業が下記の全てに該当する場合、法律上当然に行われる。
①事業主が同一人
②それぞれの事業が有期事業
③それぞれの事業の事業規模が省令で定める規模以下
④それぞれの事業が他のいずれかの事業の全部又は一部と同時に行われる
⑤前期①~④に掲げるものの他、省令で定める要件に該当
法7条ほか
有期事業の一括→法律上当然
請負事業の一括→法律上当然
継続事業の一括→厚生労働大臣の認可
【試験問題】
有期事業の一括に関する記述である。。
なお、本問において、「有期事業の一括」とは労働保険徴収法第7条の規定により二以上の事業を一の事業とみなすことをいい、また、「一括事務所」とは有期事業の一括に係る事業の労働保険料の納付事務を取り扱う一の事務所のことをいう。
有期事業の一括とされた事業においては、概算保険料の申告・納付の期限は、継続事業(保険年度の中途に保険関係が成立した事業及び特別加入の承認があった事業を除く。)と同様に、保険年度の6月1日を起算日として40日以内とされている。 【解答】○
概算保険料の申告・納期限 年度更新:その保険年度の6月1日(当日起算)から40日以内
保険年度の中途成立:当該保険関係が成立した日(翌日起算)から50日以内。
[自説の根拠]徴収法第15条
概算保険料の納付期限について
□継続事業と一括された有期事業
保険年度6/1から起算して40日以内
中途成立のときは成立日の翌日から起算して50日以内
□有期事業
保険関係成立から日の翌日から20日以内
となっている。
有期事業の一括
↓
保険料の申告・納付に関し【継続事業】とみなす
=6/1~40日以内(7/10)
以上により設問は正しい。
「一括」が抜けて有期事業のことを指しているのであれば、誤りの文章になりますね。引っかかりやすいところではあります。
解釈総覧7条関連、昭40.7.31基発901号
【試験問題】
次の説明は、徴収法の適用に関する記述である。
事業主が同一人である二以上の有期事業がそれぞれ他のいずれかの有期事業の全部又は一部と同時に行われ、かつ、それぞれの事業が厚生労働省令で定める要件に該当する場合には、徴収法の適用については、その全部が一の事業とみなされる。 【解答】○
厚生労働省令で定める事業が数次の請負によつて行なわれる場合には、この法律の規定の適用については、その事業を一の事業とみなし、元請負人のみを当該事業の事業主とする。 (労働保険の保険料の徴収等に関する法律 8条)
「有期事業の一括」と「請負事業の一括」は、要件を満たせば法律上当然に一括される。
法7条、法8条
請負事業の一括の対象は、建設業のみです。
この設問でいう「その全部が一の事業とみなされる」というのは、その「事業」についてであり、保険関係を問う問題ではありませんので、注意。
「その全部」→「その保険関係の全部」とすると、誤りの文章となります。設問が何を問うているか、を考えさせられる設問ですね。有期事業一括は労災のみだ!で×にしてしまいそうです。この場合は法律の理解・暗記力よりも設問の読解力でしょうか。
(参考)
【一括対象の保険が労災のみ】
有期事業一括
請負事業一括
【一括対象の保険が労災・雇用両方】
継続事業一括
法7条、法8条、法9条
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