第二十条 (確定保険料の特例)
労災保険に係る保険関係が成立している有期事業であつて厚生労働省令で定めるものが次の各号のいずれかに該当する場合には、第十一条第一項の規定にかかわらず、政府は、その事業の一般保険料に係る確定保険料の額をその額(第十二条第一項第一号の事業についての一般保険料に係るものにあつては、当該事業についての労災保険率に応ずる部分の額)から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に百分の四十の範囲内において厚生労働省令で定める率を乗じて得た額だけ引き上げ又は引き下げて得た額を、その事業についての一般保険料の額とすることができる。
– 一 事業が終了した日から三箇月を経過した日前における労災保険法の規定による業務災害に関する保険給付(労災保険法第十六条の六第一項第二号の場合に支給される遺族補償一時金及び特定疾病にかかつた者に係る保険給付を除く。)の額に第十二条第三項の厚生労働省令で定める給付金の額を加えた額と一般保険料に係る確定保険料の額(同条第一項第一号の事業については、労災保険率に応ずる部分の額。次号において同じ。)から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額から特別加入非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額を加えた額に第一種調整率を乗じて得た額との割合が百分の八十五を超え、又は百分の七十五以下であつて、その割合がその日以後において変動せず、又は厚生労働省令で定める範囲を超えて変動しないと認められるとき。
– 二 前号に該当する場合を除き、事業が終了した日から九箇月を経過した日前における労災保険法の規定による業務災害に関する保険給付(労災保険法第十六条の六第一項第二号の場合に支給される遺族補償一時金及び特定疾病にかかつた者に係る保険給付を除く。)の額に第十二条第三項の厚生労働省令で定める給付金の額を加えた額と一般保険料に係る確定保険料の額から非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額に第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額から特別加入非業務災害率に応ずる部分の額を減じた額を加えた額に第二種調整率(業務災害に関する年金たる保険給付に要する費用、特定疾病にかかつた者に係る保険給付に要する費用、有期事業に係る業務災害に関する保険給付で当該事業が終了した日から九箇月を経過した日以後におけるものに要する費用その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率をいう。)を乗じて得た額との割合が百分の八十五を超え、又は百分の七十五以下であるとき。
– 2 前項の規定は、第一種特別加入保険料に係る確定保険料の額について準用する。この場合において、同項各号列記以外の部分中「第十一条第一項」とあるのは「第十三条」と、「非業務災害率」とあるのは「特別加入非業務災害率」と読み替えるものとする。
– 3 政府は、第一項(前項において準用する場合を含む。)の規定により労働保険料の額を引き上げ又は引き下げた場合には、厚生労働省令で定めるところにより、その引き上げ又は引き下げられた労働保険料の額と確定保険料の額との差額を徴収し、未納の労働保険料その他この法律の規定による徴収金に充当し、又は還付するものとする。
– 4 第十七条第二項の規定は、前項の規定により差額を徴収する場合について準用する。
【試験問題】
次の説明は、労災保険のいわゆるメリット制に関する記述である。
労働保険徴収法第20条に規定する有期事業のメリット制の適用により、確定保険料の額を引き上げた場合には、所轄都道府県労働局歳入徴収官は、当該引き上げられた確定保険料の額と当該事業主が既に申告・納付した確定保険料の額との差額を徴収するものとし、通知を発する日から起算して30日を経過した日を納期限と定め、当該納期限、納付すべき当該差額及びその算定の基礎となる事項を事業主に通知しなければならない。 【解答】○
所轄都道府県労働局歳入徴収官は、労働保険料を【追加徴収】しようとする場合には、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、事業主に、次の事項を通知しなければならないことになっている。
1)一般保険料率、第一種特別加入保険料率、第二種特別加入保険料率又は第三種特別加入保険料率の引上げによる労働保険料の増加額及びその算定の基礎となる事項
2)納期限
よって問題文は正解
法17条1項、法20条3項・4項、則26条
通知は「納入告知書」で行う。
■概算保険料の追加徴収(保険料率の変更)
○引上
歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納付書で、事業主に、所定事項を通知。
○引下
還付なし
■確定保険料のメリット制(保険料額の変更)
○引上
歳入徴収官は、通知を発する日から起算して30日を経過した日をその納期限と定め、納入告知書で、事業主に、所定事項を通知。
○引下
還付もしくは充当。
第二十一条 (追徴金)
政府は、事業主が第十九条第五項の規定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならない場合には、その納付すべき額(その額に千円未満の端数があるときは、その端数は、切り捨てる。)に百分の十を乗じて得た額の追徴金を徴収する。ただし、事業主が天災その他やむを得ない理由により、同項の規定による労働保険料又はその不足額を納付しなければならなくなつた場合は、この限りでない。
– 2 前項の規定にかかわらず、同項に規定する労働保険料又はその不足額が千円未満であるときは、同項の規定による追徴金を徴収しない。
– 3 第十七条第二項の規定は、第一項の規定により追徴金を徴収する場合について準用する。
第二十一条の二 (口座振替による納付等)
政府は、事業主から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による印紙保険料以外の労働保険料(以下この条において単に「労働保険料」という。)の納付(厚生労働省令で定めるものに限る。)をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
– 2 前項の承認を受けた事業主に係る労働保険料のうち、この章の規定によりその納付に際し添えることとされている申告書の提出期限とその納期限とが同時に到来するものが厚生労働省令で定める日までに納付された場合には、その納付の日が納期限後であるときにおいても、その納付は、納期限においてされたものとみなして、第二十七条及び第二十八条の規定を適用する。
【試験問題】
次の説明は、労働保険料等の口座振替による納付に関する記述である。
労働保険徴収法第18条の規定により延納する場合における概算保険料の納付については、口座振替による納付の対象となる。【解答】○
(口座振替による納付等)
第二十一条の二 政府は、事業主から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による印紙保険料以外の労働保険料(以下この条において単に「労働保険料」という)の納付(省令で定めるものに限る)をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があつた場合には、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが労働保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
法21条の2
口座振替できる労働保険料は、納付書によって納付が行われる①概算保険料、②確定保険料の不足額に限られます。
則38条の4
【試験問題】
次の説明は、労働保険料等の口座振替による納付に関する記述である。
労働保険徴収法第16条の規定による増加概算保険料の納付については、口座振替による納付の対象とならない。 【解答】○
政府は印紙保険料以外の労働保険料の納付(概算保険料及び確定保険料の納付に係るものに限る)を納付確実かつ徴収上有利と認められるときに限り、口座振替の申し出を承認することができる。口座振替による納付の認められないものは、認定決定された概算保険料及び確定保険料、増加概算保険料、概算保険保険料の追加徴収、印紙保険料です。
徴収法21条(口座振替による納付)
通知を受けた事業主は、増加概算保険料を納付書によって納付しなければなりません。よって、本問は誤りとなります。
概算保険料の追加徴収 則26条 通知および納付に準ずる
口座振替によって納付することが出来る労働保険料は、納付書によって納付が行われる次の労働保険料(有期事業に係るものを除く)に限られます。
①概算保険料(延納によるものを含む)
②確定保険料の不足額
【口座振替】
㋑概算保険料(延納含む)
㋺確定保険料の不足額
なお、継続事業・有期事業【問わず】口座振替が可能。
規則において、上記㋑㋺しか認めていないので、
㋩増加概算保険料
㋥追加徴収(概算)
㋭認定決定(概算・確定ともに)
㋬追徴金
㋣印紙保険料
は口座振替できない。なお、設問の増加概算保険料は【増加概算保険料申告書】に差額を添えて増加が見込まれた日から起算して【30日】以内に申告・納付しなければならない。自ら行うものなので、納付書等はない。←注意。
法21条の2、則38条の4、法15条、法15条の2、法16条、法19条、法19条の2
【試験問題】
次の説明は、労働保険料等の納付に関する記述である。
労働保険徴収法第21条第1項の規定に基づき追徴金の徴収が行われる場合に、所轄都道府県労働局歳入徴収官が行う追徴金の額等の通知は、納入告知書によって行われる。 【解答】○
①確定保険料の認定決定
②印紙保険料の認定決定
③確定保険料が認定決定された場合の追徴金
④印紙保険料が認定決定された場合の追徴金
⑤特例納付保険料額の決定
の規定による通知は、【所轄都道府県労働局歳入徴収官】が【納入告知書】によつて行わなければならない。
労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則38条5項
【参考】
労働保険料(印紙保険料を除く。)その他法の規定による徴収金の納付は、納入告知書に係るものを除き納付書によつて行なわなければならない。
[自説の根拠]労働保険の保険料の徴収等に関する法律施行規則38条4項
追徴金は
①確定保険料を認定決定した場合徴収する。
②納入告知書
③30日を経過した日が納期限
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