健保法 第四十二条 (被保険者の資格を取得した際の決定)

第四十二条 (被保険者の資格を取得した際の決定)
 保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
– 一  月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の三十倍に相当する額
– 二  日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額
– 三  前二号の規定によって算定することが困難であるものについては、被保険者の資格を取得した月前一月間に、その地方で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額
– 四  前三号のうち二以上に該当する報酬を受ける場合には、それぞれについて、前三号の規定によって算定した額の合算額
– 2  前項の規定によって決定された標準報酬月額は、被保険者の資格を取得した月からその年の八月(六月一日から十二月三十一日までの間に被保険者の資格を取得した者については、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

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【試験問題】次の説明は、報酬及び標準報酬に関する記述である。日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められている者が、被保険者資格を取得した場合には、当該資格を取得した月前3か月間に当該事業所で同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額の平均をもって、その者の標準報酬月額とする。 【解答】×

保険者等は、被保険者の資格を取得した者があるときは、次に掲げる額を報酬月額として、標準報酬月額を決定する。
2号 日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した月前一月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額 (健康保険法 42条1項2号)
3ヶ月でなく1ヶ月
日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる被保険者が資格を取得した場合には、資格を取得した月前1か月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として標準報酬月額を決定することとされている。
よって、「当該資格を取得した月前3か月間」とした問題文は誤りとなる。
[自説の根拠]法42条1項2号
参考

【試験問題】被保険者の資格を取得したときの標準報酬月額は、日、時間、出来高又は請負によって報酬が定められる場合においては、被保険者の資格を取得した月前1月間に当該事業所で、同様の業務に従事し、かつ、同様の報酬を受ける者が受けた報酬の額を平均した額を報酬月額として、決定される。【解答】○

月、週その他一定期間によって報酬が定められる場合には、被保険者の資格を取得した日の現在の報酬の額をその期間の総日数で除して得た額の30倍に相当する額を報酬月額として、標準報酬月額が決定される
[自説の根拠]法42条1項2号
「3か月間」ではなく、『1か月間』である。また、「報酬の額の平均をもって」ではなく、「報酬の額を平均した額を報酬月額として」。
資格取得時決定の算定方法に、「3月」は登場しません。
[自説の根拠]法42条1項2号

第四十三条 (改定)
 保険者等は、被保険者が現に使用される事業所において継続した三月間(各月とも、報酬支払の基礎となった日数が、十七日以上でなければならない。)に受けた報酬の総額を三で除して得た額が、その者の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に比べて、著しく高低を生じた場合において、必要があると認めるときは、その額を報酬月額として、その著しく高低を生じた月の翌月から、標準報酬月額を改定することができる。
– 2  前項の規定によって改定された標準報酬月額は、その年の八月(七月から十二月までのいずれかの月から改定されたものについては、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

第四十三条の二 (育児休業等を終了した際の改定)
 保険者等は、育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律(平成三年法律第七十六号)第二条第一号に規定する育児休業、同法第二十三条第二項の育児休業に関する制度に準ずる措置若しくは同法第二十四条第一項(第二号に係る部分に限る。)の規定により同項第二号に規定する育児休業に関する制度に準じて講ずる措置による休業又は政令で定める法令に基づく育児休業(以下「育児休業等」という。)を終了した被保険者が、当該育児休業等を終了した日(以下この条において「育児休業等終了日」という。)において当該育児休業等に係る三歳に満たない子を養育する場合において、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、第四十一条の規定にかかわらず、育児休業等終了日の翌日が属する月以後三月間(育児休業等終了日の翌日において使用される事業所で継続して使用された期間に限るものとし、かつ、報酬支払の基礎となった日数が十七日未満である月があるときは、その月を除く。)に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。
– 2  前項の規定によって改定された標準報酬月額は、育児休業等終了日の翌日から起算して二月を経過した日の属する月の翌月からその年の八月(当該翌月が七月から十二月までのいずれかの月である場合は、翌年の八月)までの各月の標準報酬月額とする。

【試験問題】
次の説明は、標準報酬月額に関する記述である。
定期昇給により基本給は上昇したが、残業手当の減少により3カ月間の報酬総額の平均額が変わらない場合は、随時改定の対象にならない。 【解答】○

解答○第43条 第1項

固定的賃金(基本給)に変動があっても、残業手当を含む報酬について算定した「標準報酬月額」が2等級以上の差を生じないとき⇒「随時改定」なし

因みに固定的賃金が増額したが、残業手当等の非固定的賃金が減少したために、3月間の報酬総額の平均額が従前の報酬より2等級下がった場合でも随時改定の対象にはならない。
要するに、固定的賃金が増額した場合は、3月間の報酬総額の平均額が従前報酬より2等級以上上昇しなければならず、固定的賃金が減額した場合は、3月間の報酬総額の平均額が従前報酬より2等級以上下降しなければ随時改定の対象にはならない。

・固定的賃金上昇「かつ」全体の報酬額上昇で2等級以上の差
・固定的賃金低下「かつ」全体の報酬額低下で2等級以上の差
のときに随時改定。

【原則要件】
・固定的賃金のUP・DOWN
【2等級以上の差】
・固定的賃金・非固定的賃金(残業手当等)を合算した賃金で算定する
要するに、固定的賃金に変動なければ随時改定はなし、固定的賃金がUP(DOWN)したが、非固定的賃金がDOWN(UP)したことにより、2等級以上の差が発生しなければ、随時改定は行いません。混乱しそうですが、整理しておいてください。また、以下の場合は、1等級差でも随時改定します。
㋑47→46等級、46→47等級 ㋺1→2等級、2→1等級

【試験問題】次の説明は、保険料等に関する記述である。
保険者等は、育児休業等を終了した被保険者が、育児休業等を終了した日において当該育児休業等に係る3歳に満たない子を養育する場合、その使用される事業所の事業主を経由して厚生労働省令で定めるところにより保険者等に申出をしたときは、標準報酬月額を改定する。 【解答】○

育児休業等終了日の翌日が属する月以後3月間に受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。
法43条の2第1項の通り。
【育児休業等終了時改定】
①標準報酬月額が1等級以上変動する場合
②被保険者が事業主を経由して申し出る
③報酬支払基礎日数が17日未満である月がある時はその月を除いて行われる。
[自説の根拠]法43条の2第1項

【試験問題】次の説明は、標準報酬に関する記述である。標準報酬月額の定時決定の対象月に一時帰休が行われ、通常の報酬より低額の休業手当が支払われた場合は、その休業手当をもって報酬月額を算定し、その後一時帰休が解消し通常の報酬が支払われるようになったときは随時改定を行う。【解答】○

定時決定の対象月に一時帰休に伴う休業手当が支払われた場合、休業手当をもって標準報酬月額を決定するが、ただし標準報酬月額の決定の際、既に一時帰休の状態が解消している場合は、当該定時決定を行う年の9月以降において受けるべき報酬をもって報酬月額を算定し、標準報酬月額を決定するとの通達が有ったので、この問題が×の場合もあるのかと思ったのですがどうなのでしょうか? (H15.2.25保保発0225004号・庁保険発3号)→一時帰休に伴い、就労していたならば受けられるであろう報酬よりも低額な休業手当等が支払われることとなった場合は、これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象とする。一時帰休に伴い、それまでの報酬よりも「低額な休業手当」が支払われることとなった場合は、これを「固定低的賃金の変動」とみなし、「随時改定の対象」とする。ただし、当該報酬が減額されている状態が「継続して3ヶ月」を超える場合に限る。一時帰休とは・・企業が不況による業績悪化などの理由で操業短縮を行うにあたり、労働者を在籍のまま一時的に休業させること。労働基準法26条の「使用者の責に帰すべき事由による休業」にあたるため、休業期間中、使用者は労働者に対して、平均賃金の60%以上の手当(休業手当)を保障しなければなりません。
参考 設問改題…支払われることとなった場合は、【これを固定的賃金の変動とみなし、随時改定の対象になる。ただし、当該報酬のうち固定的賃金が減額され支給される場合で、かつ、その状態が継続して3か月を超える場合に限られる。】「その継続して3か月を超える場合」の「3か月」とは、暦日ではなく、月でカウントすることになる。例えば、月末締め月払いの事業所において、一時帰休の開始日を6月2日とした場合は、9月1日の時点でその状態が継続して3か月を超える場合となり、9月から随時改定の対象となる。法43条第1項、昭50保険発第25号・庁保険発第8号参考(休職給の場合)定時決定において、被保険者の休職期間中に、低額の休職給の支給がなされた場合には、標準報酬月額はその休職給を除いて算定し、その算定月である3箇月間のいずれの月も低額の休職給の支給がなされた場合は、休職前の標準報酬月額を用いる随時改定1.昇給・降給等により【固定的賃金に変動】があったこと2.【固定的賃金の変動月以降の継続した3ヶ月間】の報酬支払基礎日数が【すべて17日以上】であること3.3ヶ月間に受けた報酬の総額を3で除して得た額による標準報酬月額等級と現在の等級との間に【2等級以上の差】が生じること、法43条

【試験問題】次の説明は、報酬月額及び標準賞与額に関する記述である。育児休業等期間中の保険料徴収について、事業主負担分を含めて全く行わないこととなったことにともない、その間の標準報酬月額は算定の対象とせず、育児休業等終了後の報酬月額に基づき随時改定を行うこととなっている。【解答】×

育児休業等期間中の標準報酬月額については、育児休業等の開始直前の標準報酬月額の基礎となった報酬月額に基づき算定した額とする
育児休業期間中の標準報酬月額は、育児休業開始直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額に基づき算定した額とされている。また、3歳未満の子を養育する被保険者が申出た場合については、育児休業等を終了した際に育児休業等終了日の翌日の属する月以後3月間に受けた報酬総額を支払基礎日数が17日以上である月数で除して得た額を報酬月額(育児休業等終了日の翌日の属する月における支払基礎日数が17日に満たない場合は、当該月を除き算定する。)として算定し、その報酬月額に基づき標準報酬月額が改定されるが、この取扱いについては、定時決定における取扱いに準ずることとされている。よって、「育児休業期間中の標準報酬月額は算定の対象としない」、「育児休業終了時の報酬月額に基づき随時改定を行う」とした問題文は誤りである。法43条の2、法159条、平成7年3月29日保険発第52号・庁保険発第16号、平成12年12月27日保険発235号・庁保険発31号、平成17年3月29日保保発第0329001号・庁保険発第0329002号
(報酬月額の算定の特例)育児休業期間中については、保険者算定により報酬月額を算定し、標準報酬月額の定時決定が行われるため算定の対象となる。法44条1項育児休業等終了日の【翌日が属する月以降の3ヶ月間】に受けた報酬の総額を、その期間の月額で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。育児休業終了日の翌日に置いて使用される事業所で【継続して】使用された期間に限られ、【かつ】報酬支払基礎日数が【17日未満】の月を除く。「その間の標準報酬月額は算定の対象とせず」ではなく、また、「育児休業終了後の報酬月額に基づき随時改定を行う」が誤り。育児休業期間中の「標準報酬月額」は、休業期間中の賃金支払の有無にかかわらず、休業開始直前の標準報酬月額の算定の基礎となった報酬月額に基づき算定した額とされている。したがって、「その間の標準報酬月額は算定の対象とせず」ではない。また、設問の場合、「随時改定」ではなく、「育児休業等を終了した際の改定」を行うことになる。法43条の2,平成7年3月29日保険発第52号庁保険発第16号

【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。
育児休業等終了時の標準報酬月額の改定は、標準報酬月額に2等級以上の差が生じていなくても行うことができるが、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間のいずれかの月に報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月がある場合は、当該改定を行うことができない。【解答】×

育児休業等終了時の標準報酬月額の改定は、標準報酬月額に2等級以上の差が生じていなくても行うことができるが、育児休業等終了日の翌日が属する月以後3か月間のいずれかの月に報酬支払の基礎となった日数が17日未満の月があるときは、【その月を除く】に受けた受けた報酬の総額をその期間の月数で除して得た額を報酬月額として、標準報酬月額を改定する。
=参考=
随時改定と異なり、「2等級以上」「3月とも17日以上」というような要件は設けられていない
誤り→【その月を除く】に受けた受けた報酬・・・
正当→【その月を除く】に受けた報酬・・・
参考:標準報酬月額の『随時改定』の要件の1つに、固定的賃金の変動月以後の継続した3か月間の報酬支払基礎日数が「すべて17日以上」であること とあります。
法43条

第四十四条(報酬月額の算定の特例)
 保険者等は、被保険者の報酬月額が、第四十一条第一項、第四十二条第一項若しくは前条第一項の規定によって算定することが困難であるとき、又は第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項若しくは前条第一項の規定によって算定した額が著しく不当であると認めるときは、これらの規定にかかわらず、その算定する額を当該被保険者の報酬月額とする。
– 2  前項の場合において、保険者が健康保険組合であるときは、同項の算定方法は、規約で定めなければならない。
– 3  同時に二以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第四十一条第一項、第四十二条第一項、第四十三条第一項若しくは前条第一項又は第一項の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。

44条
次の説明は、保険料等に関する記述である。
同時に2つ以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合、各事業所について定時決定等の規定によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。 【解答】○

同時に2以上の事業所で報酬を受ける被保険者について報酬月額を算定する場合においては、各事業所について、第41条第1項(定時決定)、第42条第1項(資格取得時決定)、第43条第1項(随時改定)若しくは前条第1項又は第1項の規定(育児休業終了時改定)によって算定した額の合算額をその者の報酬月額とする。(法第44条第3項)

雇用保険では、同時に2以上の雇用関係にある労働者については、当該2以上の雇用関係のうち一の雇用関係(原則として、その者が生計を維持するに必要な主たる賃金を受ける雇用関係とする)についてのみ被保険者となります。(行政手引)
平成25年雇用保険法問1-C

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関連条文

  1. 児童手当法 第一条(目的)

  2. 雇保法 第二十一条(待期)

  3. 厚年法 第百六十五条 (連合会から基金への権利義務の移転及び年金給付等積立金の移換)

  4. 中退金法 第三十二条(端数計算)

  5. 労基法 第九十一条(制裁規定の制限)

  6. 労基法 第九十七条(監督機関の職員等)

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