第三章の二 社会復帰促進等事業
第二十九条 政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。
一 療養に関する施設及びリハビリテーションに関する施設の設置及び運営その他業務災害及び通勤災害を被つた労働者(次号において「被災労働者」という。)の円滑な社会復帰を促進するために必要な事業
二 被災労働者の療養生活の援護、被災労働者の受ける介護の援護、その遺族の就学の援護、被災労働者及びその遺族が必要とする資金の貸付けによる援護その他被災労働者及びその遺族の援護を図るために必要な事業
三 業務災害の防止に関する活動に対する援助、健康診断に関する施設の設置及び運営その他労働者の安全及び衛生の確保、保険給付の適切な実施の確保並びに賃金の支払の確保を図るために必要な事業
2 前項各号に掲げる事業の実施に関して必要な基準は、厚生労働省令で定める。
3 政府は、第一項の社会復帰促進等事業のうち、独立行政法人労働者健康福祉機構法(平成十四年法律第百七十一号)第十二条第一項に掲げるものを独立行政法人労働者健康福祉機構に行わせるものとする。
【試験問題】
労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号。以下「基発第0423002号通知」という。)に基づいて実施するアフターケアに関する記述である。
なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。
アフターケアを受けようとする者は、健康管理手帳を紛失若しくは汚損し又は健康管理手帳のアフターケア記録欄に余白がなくなったときは、所定の申請書により、所轄局長あてに健康管理手帳の再交付を申請し、所轄局長は、その申請に基づき、健康管理手帳を再交付する。
【解答】○
実施医療機関等は、アフターケアに要した費用(アフターケア委託費)を請求する時は、所定の方法により算定した毎月分の費用の額を「アフターケア委託費請求書」又は「アフターケア委託費請求書(薬局用)」に記載の上、当該実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出するる。
アフターケア委託費)の請求をする際、「アフターケア委託費請求内訳書」又は「アフターケア委託費請求内訳書(薬局用)」を1回の診察等又は1回の処方に係る調剤ごとに1枚作成し、請求書に添付する。
よって、問題文は正解。
法29条、平成19年4月23日基発0423002号
考え方
アフターケアを受ける者として、健康管理手帳は必要である。それを利用できなくなった時に再交付の申請をするのは普通の手続きである。
引っかけ要因として考えられるのは「誰に申請するか」位しか考えられない。
今回、所轄局長となっているので、妥当である。
「平成19年4月23日基発0423002号」で検索すると確認できた。
所轄所長がアフターケア対象予定者を所轄局長に報告し、所轄局長が交付する。
更新、再交付も所轄局長が行うとされている。
【試験問題】
次の説明は、社会復帰促進等事業(旧労働福祉事業)に関する記述である。
社会復帰促進等事業(旧労働福祉事業)に要する費用及び労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額については、現行法令上制限されている。 【解答】○
【法改正対応】
労働福祉事業 → 社会復帰促進等事業
社会復帰促進等事業に要する費用及び労災保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額は、労働保険料の額その他の収入額の合計額に118分の18を乗じた額に、雑収入の額等を加えた額を超えないものとする
施行規則43条
労働者災害補償保険事業に要する費用にあてるため政府が徴収する保険料については、徴収法の定めるところによる。 (労災保険法 30条)
社会復帰促進等事業に要する費用及び労災保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額は、労働保険料の額その他の収入額の合計額に118分の18を乗じた額に、雑収入の額等を加えた額を超えないものとする
(法29条1項の社復促等事業(労災則特別支給金事業除)費用及び労災事業事務執行費用充当額)≦(①②合計額に108分の18を乗た額+③)
①特別会計の令55条1項の労災労働保険料の額及び労保特別会計の労災勘定の積立金収入の額の合計額②労保特別会計の労災勘定附属雑収入の額及び特別会計に関する法律(H19法律23)102条1項徴収勘定から労災勘定の繰入附属雑収入額合計額(厚労大臣基準算定額に限る)③労保特別会計の労災勘定の附属雑収入の額及び繰入附属雑収入額の合計額から前号に掲げる額を控除した額
労災則43条(社会復帰促進等事業等に充当する限度)
参考
社会復帰促進事業
①労災病院の設置・運営
②リハビリテーション施設の設置・運営
③外科後処置
④義肢その他の補装具等の支給他
参考 条文
…省略…労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額は次の①②掲げる額の合計額に20/120を乗じて得た額に第3号に掲げる額を加えて得た額を超えない
① …省略…労働保険料の額及び労働保険特別会計の労災勘定の積立金から生ずる収入の額の合計
②労働保険特別会計の労災勘定の附属雑収入の額及び …略 同会計の徴収勘定から労災勘定へ繰り入れられる附属雑収入の額の合計
③労災勘定の附属雑収入の額及び繰入附属雑収入額の合計額から前号に掲げる額を控除した額
[自説の根拠]労災則43条(社会復帰促進等事業等に充当する限度)
社会復帰促進等事業(労働者災害補償保険特別支給金支給規則 の規定による特別支給金の支給に関する事業を除く。)に要する費用及び法による労働者災害補償保険事業の事務の執行に要する費用に充てるべき額は
第一号に掲げる額及び第二号に掲げる額の合計額に”18/118”を乗じて得た額に第三号に掲げる額を加えて得た額を超えないものとする。
労働者災害補償保険法施行規則43条
http://law.e-gov.go.jp/htmldata/S30/S30F04101000022.html
一 特別会計に関する法律施行令 第五十五条第一項 に規定する労災保険に係る労働保険料の額及び労働保険特別会計の労災勘定の積立金から生ずる収入の額の合計額
二 労働保険特別会計の労災勘定の附属雑収入の額及び特別会計に関する法律第百二条第一項の規定により同会計の徴収勘定から労災勘定へ繰り入れられる附属雑収入の額の合計額(厚生労働大臣が定める基準により算定した額に限る。)
三 労働保険特別会計の労災勘定の附属雑収入の額及び繰入附属雑収入額の合計額から前号に掲げる額を控除した額
次の説明は、保険給付の費用等に関する記述である。
国庫は、予算の範囲内で、労働者災害補償保険事業に要する費用の一部を補助することができる。
【試験問題】
労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号。以下「基発第0423002号通知」という。)に基づいて実施するアフターケアに関する記述である。
なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。
アフターケアの対象傷病は、せき髄損傷、頸肩脱障害、腰痛、慢性肝炎、白内障等の眼疾患、振動障害、外傷による末梢神経損傷、炭鉱災害による一酸化炭素中毒等であるが、サリン中毒及び精神障害は対象とならない。【解答】×
アフターケアの対象傷病にはサリン中毒,精神障害も含まれます。
アフターケアの対象傷病
1)せき髄損傷
2)頭頸部外傷症候群等(頭頸部外傷症候群、頸肩腕障害、腰痛)
3)尿路系障害
4)慢性肝炎
5)白内障等の眼疾患
6)振動障害
7)大腿骨頸部骨折及び股関節脱臼・脱臼骨折
8)人工関節・人工骨頭置換
9)慢性化膿性骨髄炎
10)虚血性心疾患等
[自説の根拠]法29条、平成19年4月23日基発0423002号
11)尿路系腫瘍
12)脳の器質性障害
13)外傷による末梢神経損傷
14)熱傷
15)サリン中毒
16)精神障害
17)循環器障害
18)呼吸機能障害
19)消化器障害
20)炭鉱災害による一酸化炭素中毒
法29条、平成19年4月23日基発0423002号
【試験問題】
労災保険法第29条に規定する社会復帰促進等事業として、厚生労働省労働基準局長通知(「社会復帰促進等事業としてのアフターケア実施要領の制定について」平成19年4月23日付け基発第0423002号。以下「基発第0423002号通知」という。)に基づいて実施するアフターケアに関する記述である。
なお、本問において、「実施医療機関等」とは労災病院、医療リハビリテーションセンター、総合せき損センター、労災保険法施行規則第11条の規定により指定された病院若しくは診療所又は薬局のこと、また、「健康管理手帳」とは炭鉱災害による一酸化炭素中毒症に関する特別措置法施行規則に定める様式第4号及び基発第0423002号通知に定める様式第1号の健康管理手帳のことをいう。
アフターケアを受けようとする者は、その都度、実施医療機関等に健康管理手帳を提出し、アフターケアの実施に関する記録の記入を受けるものとされている。 【解答】○
法29条 平成19年4月23日基発0423002号
アフターケアを受けようとする者は、その都度、実施医療機関等に「健康管理手帳」を提出するものとし、アフターケアの実施に関する記録の記入を受けるものとされている。
よって、問題文は正解
健康管理手帳の交付は、事業場の所在地をを管轄する労働基準監督署長を経由して、労働基準監督署長が健康管理手帳交付報告書を所轄都道府県労働局長に提出し、その報告に基づいて交付される。実施医療機関等は健康管理手帳を提出し、アフターケアの実施に関する費用を請求するときは、実施医療機関等の所在地を管轄する都道府県労働局長に提出する。
【試験問題】
次の説明は、保険関係に関する記述である。なお、以下において「労働保険」とは、労災保険及び雇用保険の総称である。
労災保険に係る労働保険の保険関係は、労災保険法の適用事業が開始された日の翌日に成立する。 【解答】×
政府は、この保険の適用事業に係る労働者及びその遺族について、社会復帰促進等事業として、次の事業を行うことができる。 (労災保険法 29条)
(保険関係の成立)
労災保険法の適用事業の事業主については、その事業が開始された日に、その事業につき労災保険に係る労働保険の保険関係(以下「保険関係」という。)が成立する。
徴収法 第三条
問題文にある「翌日」は、保険関係の消滅日の規定であり、法律には「保険関係が成立している事業が廃止され、又は終了したときは、その事業についての保険関係は、その翌日に消滅する。」と規定されている。「当日」「翌日」の規定を取り違えないことが必要である。
労働保険徴収法第5条
誤:開始された日の翌日
正:開始された日
翌日に成立するならば、開始された日に被災した人は救われません。
次の説明は、労働者災害補償保険法の適用に関する記述である。なお、この問において「労災保険法」とは「労働者災害補償保険法」のことをいい、「労災保険」とは「労働者災害補償保険」のことをいう。
労働者に該当しない者であっても、適用事業において業務に従事する一定の者には、労災保険法が適用される場合がある
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