健保法 第九十八条 (被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合)

第四款 補則

(被保険者が日雇労働者又はその被扶養者となった場合)
第九十八条  被保険者が資格を喪失し、かつ、日雇特例被保険者又はその被扶養者となった場合において、その資格を喪失した際に療養の給付、入院時食事療養費に係る療養、入院時生活療養費に係る療養、保険外併用療養費に係る療養、療養費に係る療養若しくは訪問看護療養費に係る療養又は介護保険法の規定による居宅介護サービス費に係る指定居宅サービス(同法第四十一条第一項に規定する指定居宅サービスをいう。第百二十九条第二項第二号において同じ。)、特例居宅介護サービス費に係る居宅サービス(同法第八条第一項に規定する居宅サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービス、地域密着型介護サービス費に係る指定地域密着型サービス(同法第四十二条の二第一項に規定する指定地域密着型サービスをいう。同号において同じ。)、特例地域密着型介護サービス費に係る地域密着型サービス(同法第八条第十四項に規定する地域密着型サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービス、施設介護サービス費に係る指定施設サービス等(同法第四十八条第一項に規定する指定施設サービス等をいう。同号において同じ。)、特例施設介護サービス費に係る施設サービス(同法第八条第二十五項に規定する施設サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)、介護予防サービス費に係る指定介護予防サービス(同法第五十三条第一項に規定する指定介護予防サービスをいう。同号において同じ。)若しくは特例介護予防サービス費に係る介護予防サービス(同法第八条の二第一項に規定する介護予防サービスをいう。同号及び第百三十五条第一項において同じ。)若しくはこれに相当するサービスのうち、療養に相当するものを受けているときは、当該疾病又は負傷及びこれにより発した疾病につき、当該保険者から療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給を受けることができる。
2  前項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、次の各号のいずれかに該当するに至ったときは、行わない。
一  当該疾病又は負傷について、次章の規定により療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、家族療養費、家族訪問看護療養費若しくは家族移送費の支給を受けることができるに至ったとき。
二  その者が、被保険者若しくは船員保険の被保険者若しくはこれらの者の被扶養者、国民健康保険の被保険者又は後期高齢者医療の被保険者等となったとき。
三  被保険者の資格を喪失した日から起算して六月を経過したとき。
3  第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費若しくは移送費の支給は、当該疾病又は負傷について、次章の規定により特別療養費(第百四十五条第六項において準用する第百三十二条の規定により支給される療養費を含む。)又は移送費若しくは家族移送費の支給を受けることができる間は、行わない。
4  第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。

98

【試験問題】次の説明は、併給調整、給付制限等に関する記述である。介護保険における訪問看護ステーションからの訪問看護を受けている者が、急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。 【解答】○

第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。 (健康保険法 98条4項)この問題については、以下の通達がありますので、解答は〇です。「介護保険における訪問看護ステーションからの訪問看護を受けている者が、急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。(平成15.3.20老老発0320001号・保医発0320001号)設問の【特別指示書に係る指定訪問看護】とは、患者の主治医が診療に基づき、急性増悪、終末期等の事由により、週4回以上の頻回の指定訪問看護を一時的に行う必要を認めた場合に、当該患者の同意を得て、様式に沿った特別訪問看護指示書を訪問看護ステーションに対して交付した場合に、1月に1回を限度として実施されるものです。

【試験問題】次の説明は、保険給付に関する記述である。介護保険における訪問看護ステーションから訪問看護を受けている者の急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。 【解答】○

第一項の規定による療養の給付又は入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費若しくは訪問看護療養費の支給は、当該疾病又は負傷について、介護保険法の規定によりそれぞれの給付に相当する給付を受けることができる場合には、行わない。 (健康保険法 98条4項)解答は、〇です。以下の通達があります。「介護保険における訪問看護ステーションからの訪問看護を受けている者が、急性増悪等により、特別指示書に係る指定訪問看護を受ける場合の給付は、医療保険から行われる。(平成15.3.20老老発0320001号・保医発0320001号)「特別指示書」について要介護認定を受けている方は、訪問看護は基本的には介護保険での請求になります。しかしながら、病態の急性増悪により頻回の訪問介護が必要になった場合、主治医の判断で特別指示を書いてもらうことができます。特別指示が出た日から14日間に限り【医療請求】できるシステムになっています。介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性憎悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付又は医療が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うとされている。法88条、平成12年03月31日保険発第55号・老企第56号・老健第80号

第三節 傷病手当金、埋葬料、出産育児一時金及び出産手当金の支給

(傷病手当金)
第九十九条  被保険者(任意継続被保険者を除く。第百二条において同じ。)が療養のため労務に服することができないときは、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき、標準報酬日額(標準報酬月額の三十分の一に相当する額(その額に、五円未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五円以上十円未満の端数があるときはこれを十円に切り上げるものとする。)をいう。第百二条において同じ。)の三分の二に相当する金額(その金額に、五十銭未満の端数があるときはこれを切り捨てるものとし、五十銭以上一円未満の端数があるときはこれを一円に切り上げるものとする。)を支給する。
2  傷病手当金の支給期間は、同一の疾病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して一年六月を超えないものとする。

99

【試験問題】次の説明は、健康保険の保険給付に関する記述である。被保険者資格(任意継続被保険者及び特例退職被保険者を除く。)を取得する前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養について、療養の給付を受けることはできるが、傷病手当金は支給されない。 【解答】×

被保険者資格取得前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養についても、傷病手当金、療養の給付は支給される。法99条、昭和26年5月1日保文発1346号 被保険者資格取得前にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養についても傷病手当金、療養の給付は支給されることとされている。よって、「傷病手当金は支給されない。」とした問題文が誤り。

傷病手当金の支給要件の1つである、【療養のためであること】の療養の範囲として、被保険者【資格取得前】にかかった疾病又は負傷の資格取得後の療養についても、傷病手当金は支給される。また、・ 【自費】で疾病又は負傷の療養をした場合・ 【病後の静養】・ 【自宅の療養】のため労務不能と認められる期間も、支給対象となるただし、【美容整形手術】等の療養の給付の対象とならない疾病等について自費で視聴をした場合には、支給しない。昭和26.5.1 保文発1346号、昭和2.2.26保発345号、昭和3.9.1事発1811号、昭和32.8.13保文発6905号

99

【試験問題】次の説明は、現金給付に関する記述である。
療養の給付の対象とならない疾病について被保険者が自費で手術を受け、そのために労務不能になった場合には、労務不能についての証明があるとしても、傷病手当金は支給されない。 【解答】○

保険事故たる疾病の範囲に属さない疾病等の手術をしたため労務不能となったときは傷病手当は支給しない。療養の給付をなさないこととした疾病(美容整形手術の場合など)について被保険者が自費で手術を施し、そのため労務不能となった場合には、これに対し傷病手当金は支給されないことになっている。
なお、自費治療を受けた場合は、すべて傷病手当金が支給されないわけでなく、その治療目的が療養の給付の対象になるか否かで結果が異なるので注意すること。
[自説の根拠]法99条、昭和4年6月29日保理第1704号
本文に「疾病」とあるので、それが美容整形にあたるとは思いませんでした。美容整形が対象外なのは知ってましたが「療養の給付の対象とならない疾病」=「評価療養」と考えてしまいました。気をつけないと。

【試験問題】次の説明は、傷病手当金に関する記述である。
療養の給付の対象とならない整形手術を自費で受けたことにより、労務に服することができなかった場合には、傷病手当金の支給は行われない。【解答】?

99条

【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。傷病手当金の受給を開始した者が、いったん労務に服した後、同一の疾病により再び休業して傷病手当金の支給を受けた場合、傷病手当金の支給期間は、労務に服していた期間も含めて初回の支給開始日から起算して1年6か月である。 【解答】○

傷病手当金は、病気やケガで休んだ期間のうち最初の連続した3日間(待期期間)を除いた、4日目から支給される。支給期間は同一の病気やケガについて、初めて傷病手当金を受けた日から1年6か月。【傷病手当金の支給期限】は、法99条2項により、同一の傷病又は負傷及びこれにより発した疾病に関しては、その支給を始めた日から起算して1年6月が限度と規定されています。設問の場合は、待期間については、同一の傷病の場合は、1回完成すればいいので、例えば、傷病手当金の支給を受け始めた後に、数日後労務に服して、再度労務不能になった場合には、2度目に待期完成させる必要はありません。傷病手当金の支給期間は、同一傷病について、支給を開始した日から起算して1年6か月まで。請求期限は、「労務不能であった日ごとにその翌日から」消滅時効が2年。このイメージとしては、2年経過した場合は、傷病手当金を請求できる権利が、1日づつ時効で消滅していく。傷病手当金は、支給を始めた日から起算して1年6月を限度として支給する。
なお、被保険者として【受給中に資格を喪失した場合】は、1年6月から【既に受給した期間を差し引いた期間】になる。法99条2項
要するに1年6ヶ月分支給される訳ではない、ということです。雇用保険法における各種給付等とは違い、残日数などはありません。ですから、例えば胃潰瘍等で傷病手当金を3ヶ月受給して職場復帰、1年4か月後に胃潰瘍が再発して労務不能になっても、【元の】傷病手当金は支給されません。法99条

99

【試験問題】健康保険法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。被保険者が、業務外の事由による疾病で労務に服することができなくなり、6月4日から欠勤し、同年6月7日から傷病手当金が支給された。その後病状は快方に向かい、同年9月1日から職場復帰したが、同年12月1日から再び同一疾病により労務に服することができなくなり欠勤したため、傷病手当金の請求を行った。この傷病手当金の支給期間は、同年6月7日から起算して1年6か月である。 【解答】○

傷病の状態が一時回復して労務に服したため傷病手当金が一定期間支給されなかった場合であっても、傷病手当金の支給は「支給開始日(設問の場合6月7日)」より1年6月。
[自説の根拠]法99条第2項、社労士試験集中合格講座健保p507
傷病手当金の支給期間は、その支給を開始した日から起算して1年6か月を超えないものとされているが、その1年6か月間には、労務可能となって傷病手当金を受けなかった期間も含まれる。
[自説の根拠]法99条2項。TAC過去10年本試験問題集

99

【試験問題】次の説明は、現金給付に関する記述である。
傷病手当金の額は、被扶養者がいない場合においては、1日につき標準報酬日額の100分の40に相当する金額となる。 【解答】×

傷病手当金の額は、被扶養者がいるいないにかかわらず、1日につき標準報酬日額の3分の2に相当する金額である。
傷病手当金の額は、入院療養であれ、自宅療養であれ同額である、1日につき標準報酬月額の3分の2が支給されます。
設問のケースでは、被保険者が一般の被保険者か【日雇特例被保険者】か、定かではありませんが、【日雇特例被保険者】の傷病手当金の金額の算定は、一般の被保険者とは異なっていますので注意が必要です。
(傷病手当金)
第九十九条  被保険者(任意継続被保険者除く)が療養の為労務に服することができない時、その労務に服することができなくなった日から起算して三日を経過した日から労務に服することができない期間、傷病手当金として、一日につき標準報酬日額(その額に五円未満の端数がある時はこれを切捨て、五円以上十円未満の端数がある時はこれを十円に切上げ)をいう)の三分の二に相当する金額(その金額に五十銭未満の端数がある時はこれを切り捨て、五十銭以上一円未満の端数がある時は一円に切上げ)を支給する。
[自説の根拠]99条1項
標準報酬日額は、支給開始の属する月以前の直近の継続した12月間の各月の標準報酬月額を平均した額の30分の1。
[自説の根拠]Tac無敵の社労士

【試験問題】次の説明は、出産手当金等に関する記述である。出産手当金の額は、1日につき、標準報酬日額と標準賞与日額とを合算した額の6割に相当する金額である。【解答】?

99

【試験問題】次の説明は、傷病手当金に関する記述である。療養の給付の対象とならない整形手術を自費で受けたことにより、労務に服することができなかった場合には、傷病手当金の支給は行われない。 【解答】○

保険事故たる疾病の範囲に属さない疾病等の手術をしたため労務不能となったときは支給しない。設問のように、「療養の給付の対象とならない整形手術」などを、「自費で受けた」ことにより労務不能となったとしても、傷病手当金が支給されることはない。療養の給付をなさないこととした疾病等(美容整形手術など)について、被保険者が自費で手術を施し、そのため労務不能となった場合には、これに対し傷病手当金は支給すべきでないとされている。法99条1項、昭和4年6月29日保理第1704号 療養の給付の対象とならないもの【美容整形・定期健康診断・眼鏡・補聴器等】を受けた場合の労務不能の場合には傷病手当金は支給しない。法99条 関連問題次の説明は、現金給付に関する記述である。
療養の給付の対象とならない疾病について被保険者が自費で手術を受け、そのために労務不能になった場合には、労務不能についての証明があるとしても、傷病手当金は支給されない。

6 法99条
次の説明は、保険給付に関する記述である。
傷病手当金の待期期間は、最初に療養のため労務不能となった場合のみ適用され、その後労務に服し同じ疾病又は負傷につきさらに労務不能になった場合は待期の適用は行われない。 2009年度(平成21年度)

解答○

設問のケースでは、【同じ疾病又は負傷につきさらに労務不能になった場合】ですので、傷病手当金の支給期間は、初めて支給が行われた日から起算して【1年6月】が限度となります。

この待機期間は「連続した3日間」であること

注意したいのが、他の方の回答にもあるとおり、同一の疾病又は負傷(要は同一の傷病手当金につき)待期は1回完成で差支えない、ということです。逆に傷病手当金受給中に別の傷病手当金が支給される場合は後者の傷病手当金に係る待期期間の経過は必要です。

関連問題
次の説明は、傷病手当金に関する記述である。
傷病手当金を受けるための待期期間は、労務不能となった日から起算して3日間となっているが、療養後労務に服し、同一の疾病又は負傷によりさらに労務不能となった場合は、待期の適用がない。

解答○

11 法99条
次の説明は、健康保険の現金給付に関する記述である。
傷病手当金は、療養のため労務に服することができないときに支給されるが、その場合の療養は、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養であれば保険給付として受ける療養に限らず、自費診療で受けた療養、自宅での療養や病後の静養についても該当し、傷病手当金は支給される。 2011年度(平成23年度)

解答○

健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養であれば自費診療、自宅療養も含まれる。

傷病手当金の支給要件である「療養のための労務不能要件」は、健康保険で診療を受けることができる範囲内の療養であれば、保険給付として受ける療養に限らず、自費診療で受けた療養、自宅での療養や病後の静養についても該当することとされている。よって、問題文は正解となる。

日雇特例被保険者の傷病手当金については、自費診療や自宅療養で「療養の給付等」を受けない場合は支給されないので注意!

健康保険法改正により、労災法の規定する業務災害以外の疾病等はすべて健康保険の給付対象となった。法人の役員の場合は、業務上の疾病であれば対象とならないが、被保険者が5人未満の適用事業所の役員で、一般従業員と同一と認められる業務に起因する疾病等は傷病手当も含めて対象となる。

保険事故たる疾病に係る自費診療(保険医でない医師の診療)であっても、相当の証明があり療養の必要性が認められるときは支給される。
(昭3.9.11事発1811号)

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関連条文

  1. 徴収法 第二十条 (確定保険料の特例)

  2. 健保法 第百八十九条 (審査請求及び再審査請求)

  3. 確年法 第百七条(実施事業所に係る給付の支給に関する権利義務の厚生年金基金への移転)

  4. 健保法 健保法 第百条 (埋葬料)

  5. 健保法 第百三十条 (入院時食事療養費)

  6. 児童手当法 第一条(目的)

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