健保法 第百五十条 保健事業

第六章 保健事業及び福祉事業

第百五十条  保険者は、高齢者の医療の確保に関する法律第二十条の規定による特定健康診査及び同法第二十四条の規定による特定保健指導(以下この項及び第百五十四条の二において「特定健康診査等」という。)を行うものとするほか、特定健康診査等以外の事業であって、健康教育、健康相談、健康診査その他の被保険者及びその被扶養者(以下この条において「被保険者等」という。)の健康の保持増進のために必要な事業を行うように努めなければならない。
2  保険者は、被保険者等の療養のために必要な費用に係る資金若しくは用具の貸付けその他の被保険者等の療養若しくは療養環境の向上又は被保険者等の出産のために必要な費用に係る資金の貸付けその他の被保険者等の福祉の増進のために必要な事業を行うことができる。
3  保険者は、前二項の事業に支障がない場合に限り、被保険者等でない者に当該事業を利用させることができる。この場合において、保険者は、当該事業の利用者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、利用料を請求することができる。
4  厚生労働大臣は、健康保険組合に対し、厚生労働省令で定めるところにより、第一項又は第二項の事業を行うことを命ずることができる。
5  厚生労働大臣は、第一項の規定により保険者が行う健康の保持増進のために必要な事業に関して、その適切かつ有効な実施を図るため必要な指針を公表するものとする。
6  前項の指針は、健康増進法(平成十四年法律第百三号)第九条第一項に規定する健康診査等指針と調和が保たれたものでなければならない。

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【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。全国健康保険協会の被保険者で、出産育児一時金等の支給を受ける見込みがあり、かつ、その被扶養者である配偶者が妊娠4か月以上で、医療機関等に一時的な支払いが必要になった場合、被保険者は出産育児一時金等支給額の8割に相当する額を限度として出産費の貸付を受けることができる。 【解答】○

本来、被扶養配偶者ならば、家族出産育児一時金であるはずなのに、「出産育児一時金等」としていて正解となっているのは、違和感を感じます。全国健康保険協会の被保険者であって、出産育児一時金又は家族出産育児一時金(出産育児一時金等)の支給を受ける見込みがあり、かつ、次のいずれかに該当する場合は出産費の貸付を受けることができる。貸付額は1万円を単位として、出産育児一時金等の8割に相当する額を限度とされている。(1)出産予定日まで1か月以内の者又は出産予定日まで1か月以内の被扶養者を有する者又は妊娠4か月以上の者で医療機関等に一時的な支払が必要になった者又は妊娠4か月以上の被扶養者を有する者で医療機関等に一時的な支払が必要となった者 法150条2項、平成13年6月15日庁文発1102号
協会けんぽでは高額医療費と出産費の貸付制度がある。健康保険から支払われる給付金(高額療養費・出産育児一時金)の見込み額のうち、8割相当額を限度に無利子で貸出し、後日精算する制度。・出産費の貸付 出産に要する当面の費用の支払いが生じる場合もある。そのため、出産育児一時金が支給されるまでの間、出産育児一時金の支給額の8割を限度に無利子で貸付する制度。・高額医療費の貸付 詳細省略 協会けんぽ 出産費貸付金貸付申込書に次の書類を添付し、全国健康保険協会各支部に提出。(1)出産費貸付金借用書(2)被保険者証又は受給資格者票等(3)出産育児一時金支給申請書(4)出産予定日または妊娠4ヶ月(85日)以上であることが確認できる書類(母子健康手帳の写し等)(5)医療機関等が発行した出産費用の請求書等(出産予定日1ヶ月以内は不要。)貸付金の返済は、出産育児一時金の給付金の支払を返済金に充て残額は指定した金融機関に振込。医療費の減額や不支給等により不足の場合は返納通知書で返納。協会けんぽhp 協会けんぽの出産育児一時金については原則の償還払いや本問の貸付の他、現物給付(医療機関が直接受け取る)に相当する直接支払制度、受取代理制度があります。出産費貸付事業 ①健保協会が実施 ②健保協会の被保険者が対象 そのうち (1)出産予定日まで1ヵ月以内の場合(2)妊娠4か月以上の人が貸し付け対象。貸付額は10000円を単位として8割相当とされている

第七章 費用の負担

(国庫負担)
第百五十一条  国庫は、毎年度、予算の範囲内において、健康保険事業の事務(前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等及び第百七十三条の規定による拠出金並びに介護納付金の納付に関する事務を含む。)の執行に要する費用を負担する。

第百五十二条  健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。
2  前項の国庫負担金については、概算払をすることができる。

8 152条
次の説明は、費用負担に関する記述である。
健康保険組合に対し交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として厚生労働大臣(旧社会保険庁長官)がこれを算定する。

解答○

【法改正対応】社会保険庁長官 → 厚生労働大臣

健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。 (健康保険法 152条)

国庫負担の原則は151条に定めがあり、
【毎年度】、【予算の範囲内】において、【健康保険事業の事務の執行】(=前期高齢者納付金等、後期高齢者支援金等、日雇拠出金、介護納付金)に要する費用を負担することになっています。

「被扶養者数」は、含まない。

関連問題
次の説明は、国庫補助に関する記述である。
健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定するが、その権限は地方厚生局長又は地方厚生支局長(旧地方社会保険事務局長)に委任されている。

152

【試験問題】次の説明は、国庫補助に関する記述である。健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定するが、その権限は地方厚生局長又は地方厚生支局長(旧地方社会保険事務局長)に委任されている。 【解答】×

【法改正対応】地方社会保険事務局長 → 地方厚生局長又は地方厚生支局長 健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。 (健康保険法 152条) 権限は厚生労働大臣 法第152条第1項
結局は厚生労働大臣の権限は地方社会保険事務局長に委任されていないということ 健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。法第152条第1項 法第152条第1項で、「健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定する。」とされており下位機関には委任されていない。法第152条第1項 国庫負担金という「国全体」に関係する権限が、地方厚生局長又は地方厚生支局長という「地方」に委任されることは普通に考えてもおかしい。地方厚生局長等への権限の委任については、法205条で規定され、具体的な委任事項は、則159条で示されています。その主な委任事項としては、【健康保険組合の規約変更の認可等】、【保険医療機関等の指定等】、【指定訪問看護事業の指定等】など地方レベルで対応できる事項に限られています。健康保険組合に対して交付する国庫負担金は、各健康保険組合における被保険者数を基準として、厚生労働大臣が算定することになっているが、この厚生労働大臣の権限は地方厚生局長等に委任されていない。よって、「その権限は地方厚生局長等に委任されている」とした問題文は誤りである。法152条1項、法205条、則159条 関連問題
次の説明は、健康保険法に関する記述である。健康保険組合が厚生労働大臣に提出すべき書類は、当該健康保険組合の主たる事務所の所在地を管轄する地方厚生局長又は地方厚生支局長(旧地方社会保険事務局長)を経由するものとされている。

(国庫補助)

第百五十三条  国庫は、第百五十一条に規定する費用のほか、協会が管掌する健康保険の事業の執行に要する費用のうち、被保険者に係る療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用(療養の給付については、一部負担金に相当する額を控除するものとする。)の額並びに高齢者の医療の確保に関する法律の規定による前期高齢者納付金(以下「前期高齢者納付金」という。)の納付に要する費用の額に給付費割合(同法第三十四条第一項第一号及び第二号に掲げる額の合計額に対する同項第一号に掲げる額の割合をいう。以下この条及び次条において同じ。)を乗じて得た額の合算額(同法の規定による前期高齢者交付金(以下「前期高齢者交付金」という。)がある場合には、当該合算額から当該前期高齢者交付金の額に給付費割合を乗じて得た額を控除した額)に千分の百六十四から千分の二百までの範囲内において政令で定める割合を乗じて得た額を補助する。
2  国庫は、第百五十一条及び前項に規定する費用のほか、協会が拠出すべき前期高齢者納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)及び高齢者の医療の確保に関する法律の規定による後期高齢者支援金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)並びに介護納付金(日雇特例被保険者に係るものを除く。)の納付に要する費用の額の合算額(当該前期高齢者納付金の額に給付費割合を乗じて得た額を除き、前期高齢者交付金がある場合には、当該前期高齢者交付金の額から当該額に給付費割合を乗じて得た額を控除して得た額を当該合算額から控除した額)に同項の政令で定める割合を乗じて得た額を補助する。

第百五十四条  国庫は、第百五十一条及び前条に規定する費用のほか、毎年度、健康保険事業の執行に要する費用のうち、日雇特例被保険者に係る療養の給付並びに入院時食事療養費、入院時生活療養費、保険外併用療養費、療養費、訪問看護療養費、移送費、傷病手当金、出産手当金、家族療養費、家族訪問看護療養費、家族移送費、特別療養費、高額療養費及び高額介護合算療養費の支給に要する費用(療養の給付については、一部負担金に相当する額を控除するものとする。)の額並びに前期高齢者納付金の納付に要する費用の額に給付費割合を乗じて得た額の合算額(前期高齢者交付金がある場合には、当該合算額から当該前期高齢者交付金の額に給付費割合を乗じて得た額を控除した額)に健康保険組合(第三条第一項第八号の承認を受けた者の国民健康保険を行う国民健康保険の保険者を含む。第百七十一条第二項及び第三項において同じ。)を設立する事業主以外の事業主から当該年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数を当該年度に納付された日雇特例被保険者に関する保険料の総延べ納付日数で除して得た率を乗じて得た額に前条第一項に規定する政令で定める割合を乗じて得た額を補助する。
2  国庫は、第百五十一条、前条及び前項に規定する費用のほか、協会が拠出すべき前期高齢者納付金及び高齢者の医療の確保に関する法律の規定による後期高齢者支援金並びに介護納付金のうち日雇特例被保険者に係るものの納付に要する費用の額の合算額(当該前期高齢者納付金の額に給付費割合を乗じて得た額を除き、前期高齢者交付金がある場合には、当該前期高齢者交付金の額から当該額に給付費割合を乗じて得た額を控除して得た額を当該合算額から控除した額)に同項に規定する率を乗じて得た額に同条第一項に規定する政令で定める割合を乗じて得た額を補助する。

第百五十四条の二  国庫は、第百五十一条及び前二条に規定する費用のほか、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができる。

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【試験問題】次の説明は、国庫の負担に関する記述である。
国庫は、予算の範囲内において健康保険事業の執行に要する費用のうち、高齢者の医療の確保に関する法律の規定による特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができる。 【解答】○

国庫は、第百五十一条及び前二条に規定する費用のほか、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができる。 (健康保険法 154条の2)
国庫は、予算の範囲内において、健康保険事業の執行に要する費用のうち、特定健康診査等の実施に要する費用の一部を補助することができる。
[自説の根拠]第154条の2
国保では、国、県、市が1/3ずつ負担すると義務規定です。
参考
特定健康診査
近年、「メタボリックシンドローム(内臓脂肪症候群)という言葉が大多数の人に知られるようになっていますが、特定健康診査は、このメタボリックシンドロームーの対策として設けられたものです。
国庫補助は、このほかに協会が管掌する【日雇特例被保険者】に係る費用についても一定の国庫補助が行われています(法154条)が、組合管掌健康保険に対しては、国庫補助は行われません。
参考 国民健康保険組合特定健康診査・保健指導国庫補助金の取扱について
特定健康診査
交付についての留意事項
(1)詳細な健診項目については、医師の判断により実施した場合のみ交付の対象とし、国保組合の判断で一律に追加実施した場合等は交付の対象としない。
(2)特定健康診査を実施した後の受診者に対する情報提供のための資料(パンフレット)等に係る経費については交付の対象とするが、受診勧奨の広報、普及啓発用資料等に係る経費については交付の対象としない。
[自説の根拠]平成23年3月31日 保総発0331第1号厚生労働省保険局総務課長

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関連条文

  1. 労災法 第三十五条 特別加入

  2. 労基法 第九十条(作成の手続)

  3. 健保法 第六十八条 (保険医療機関又は保険薬局の指定の更新)

  4. 職業能力開発促進法 第七十九条 (都道府県協会の目的)

  5. 厚年法 第九十二条 (時効)

  6. 健保法 第百八十九条 (審査請求及び再審査請求)

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