最低賃金法 第一条 (目的)

第一章 総則

(目的)
第一条  この法律は、賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障することにより、労働条件の改善を図り、もつて、労働者の生活の安定、労働力の質的向上及び事業の公正な競争の確保に資するとともに、国民経済の健全な発展に寄与することを目的とする。

(定義)
第二条  この法律において、次の各号に掲げる用語の意義は、当該各号に定めるところによる。
– 一  労働者 労働基準法(昭和二十二年法律第四十九号)第九条に規定する労働者(同居の親族のみを使用する事業又は事務所に使用される者及び家事使用人を除く。)をいう。
– 二  使用者 労働基準法第十条に規定する使用者をいう。
– 三  賃金 労働基準法第十一条に規定する賃金をいう。

第二章 最低賃金

第一節 総則

(最低賃金額)
第三条  最低賃金額(最低賃金において定める賃金の額をいう。以下同じ。)は、時間によつて定めるものとする。

(最低賃金の効力)
第四条  使用者は、最低賃金の適用を受ける労働者に対し、その最低賃金額以上の賃金を支払わなければならない。
– 2  最低賃金の適用を受ける労働者と使用者との間の労働契約で最低賃金額に達しない賃金を定めるものは、その部分については無効とする。この場合において、無効となつた部分は、最低賃金と同様の定をしたものとみなす。
– 3  次に掲げる賃金は、前二項に規定する賃金に算入しない。
– 一  一月をこえない期間ごとに支払われる賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
– 二  通常の労働時間又は労働日の賃金以外の賃金で厚生労働省令で定めるもの
– 三  当該最低賃金において算入しないことを定める賃金
– 4  第一項及び第二項の規定は、労働者がその都合により所定労働時間若しくは所定労働日の労働をしなかつた場合又は使用者が正当な理由により労働者に所定労働時間若しくは所定労働日の労働をさせなかつた場合において、労働しなかつた時間又は日に対応する限度で賃金を支払わないことを妨げるものではない。

(現物給与等の評価)
第五条  賃金が通貨以外のもので支払われる場合又は使用者が労働者に提供した食事その他のものの代金を賃金から控除する場合においては、最低賃金の適用について、これらのものは、適正に評価されなければならない。

(最低賃金の競合)
第六条  労働者が二以上の最低賃金の適用を受ける場合は、これらにおいて定める最低賃金額のうち最高のものにより第四条の規定を適用する。
– 2  前項の場合においても、第九条第一項に規定する地域別最低賃金において定める最低賃金額については、第四条第一項及び第四十条の規定の適用があるものとする。

(最低賃金の減額の特例)
第七条  使用者が厚生労働省令で定めるところにより都道府県労働局長の許可を受けたときは、次に掲げる労働者については、当該最低賃金において定める最低賃金額から当該最低賃金額に労働能力その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める率を乗じて得た額を減額した額により第四条の規定を適用する。
– 一  精神又は身体の障害により著しく労働能力の低い者
– 二  試の使用期間中の者
– 三  職業能力開発促進法(昭和四十四年法律第六十四号)第二十四条第一項の認定を受けて行われる職業訓練のうち職業に必要な基礎的な技能及びこれに関する知識を習得させることを内容とするものを受ける者であつて厚生労働省令で定めるもの
– 四  軽易な業務に従事する者その他の厚生労働省令で定める者

(周知義務)
第八条  最低賃金の適用を受ける使用者は、厚生労働省令で定めるところにより、当該最低賃金の概要を、常時作業場の見やすい場所に掲示し、又はその他の方法で、労働者に周知させるための措置をとらなければならない。

第二節 地域別最低賃金

(地域別最低賃金の原則)
第九条  賃金の低廉な労働者について、賃金の最低額を保障するため、地域別最低賃金(一定の地域ごとの最低賃金をいう。以下同じ。)は、あまねく全国各地域について決定されなければならない。
– 2  地域別最低賃金は、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して定められなければならない。
– 3  前項の労働者の生計費を考慮するに当たつては、労働者が健康で文化的な最低限度の生活を営むことができるよう、生活保護に係る施策との整合性に配慮するものとする。

(地域別最低賃金の決定)
第十条  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、一定の地域ごとに、中央最低賃金審議会又は地方最低賃金審議会(以下「最低賃金審議会」という。)の調査審議を求め、その意見を聴いて、地域別最低賃金の決定をしなければならない。
– 2  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつた場合において、その意見により難いと認めるときは、理由を付して、最低賃金審議会に再審議を求めなければならない。

(最低賃金審議会の意見に関する異議の申出)
第十一条  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見の提出があつたときは、厚生労働省令で定めるところにより、その意見の要旨を公示しなければならない。
– 2  前条第一項の規定による最低賃金審議会の意見に係る地域の労働者又はこれを使用する使用者は、前項の規定による公示があつた日から十五日以内に、厚生労働大臣又は都道府県労働局長に、異議を申し出ることができる。
– 3  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、前項の規定による申出があつたときは、その申出について、最低賃金審議会に意見を求めなければならない。
– 4  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、第一項の規定による公示の日から十五日を経過するまでは、前条第一項の決定をすることができない。第二項の規定による申出があつた場合において、前項の規定による最低賃金審議会の意見が提出されるまでも、同様とする。

(地域別最低賃金の改正等)
第十二条  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金について、地域における労働者の生計費及び賃金並びに通常の事業の賃金支払能力を考慮して必要があると認めるときは、その決定の例により、その改正又は廃止の決定をしなければならない。

(派遣中の労働者の地域別最低賃金)
第十三条  労働者派遣事業の適正な運営の確保及び派遣労働者の保護等に関する法律(昭和六十年法律第八十八号)第四十四条第一項に規定する派遣中の労働者(第十八条において「派遣中の労働者」という。)については、その派遣先の事業(同項に規定する派遣先の事業をいう。第十八条において同じ。)の事業場の所在地を含む地域について決定された地域別最低賃金において定める最低賃金額により第四条の規定を適用する。

(地域別最低賃金の公示及び発効)
第十四条  厚生労働大臣又は都道府県労働局長は、地域別最低賃金に関する決定をしたときは、厚生労働省令で定めるところにより、決定した事項を公示しなければならない。
– 2  第十条第一項の規定による地域別最低賃金の決定及び第十二条の規定による地域別最低賃金の改正の決定は、前項の規定による公示の日から起算して三十日を経過した日(公示の日から起算して三十日を経過した日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、同条の規定による地域別最低賃金の廃止の決定は、同項の規定による公示の日(公示の日後の日であつて当該決定において別に定める日があるときは、その日)から、その効力を生ずる。

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関連条文

  1. 厚年法 第百七十九条(基金等に対する監督)

  2. 厚年法 第百四十五条 (解散)

  3. 国年法 第二十条 (併給の調整)

  4. 雇保法 第七十九条 (立入検査)

  5. 雇保法 第七十二条 (労働政策審議会への諮問)

  6. 国年法 第六十九条 給付の制限

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