(年次有給休暇)
第三十九条
使用者は、その雇入れの日から起算して六箇月間継続勤務し全労働日の八割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した十労働日の有給休暇を与えなければならない。
2 使用者は、一年六箇月以上継続勤務した労働者に対しては、雇入れの日から起算して六箇月を超えて継続勤務する日(以下「六箇月経過日」という。)から起算した継続勤務年数一年ごとに、前項の日数に、次の表の上欄に掲げる六箇月経過日から起算した継続勤務年数の区分に応じ同表の下欄に掲げる労働日を加算した有給休暇を与えなければならない。ただし、継続勤務した期間を六箇月経過日から一年ごとに区分した各期間(最後に一年未満の期間を生じたときは、当該期間)の初日の前日の属する期間において出勤した日数が全労働日の八割未満である者に対しては、当該初日以後の一年間においては有給休暇を与えることを要しない。
六箇月経過日から起算した継続勤務年数
労働日
一年 一労働日
二年 二労働日
三年 四労働日
四年 六労働日
五年 八労働日
六年以上 十労働日
3 次に掲げる労働者(一週間の所定労働時間が厚生労働省令で定める時間以上の者を除く。)の有給休暇の日数については、前二項の規定にかかわらず、これらの規定による有給休暇の日数を基準とし、通常の労働者の一週間の所定労働日数として厚生労働省令で定める日数(第一号において「通常の労働者の週所定労働日数」という。)と当該労働者の一週間の所定労働日数又は一週間当たりの平均所定労働日数との比率を考慮して厚生労働省令で定める日数とする。
一 一週間の所定労働日数が通常の労働者の週所定労働日数に比し相当程度少ないものとして厚生労働省令で定める日数以下の労働者
二 週以外の期間によつて所定労働日数が定められている労働者については、一年間の所定労働日数が、前号の厚生労働省令で定める日数に一日を加えた日数を一週間の所定労働日数とする労働者の一年間の所定労働日数その他の事情を考慮して厚生労働省令で定める日数以下の労働者
4 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合があるときはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がないときは労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、次に掲げる事項を定めた場合において、第一号に掲げる労働者の範囲に属する労働者が有給休暇を時間を単位として請求したときは、前三項の規定による有給休暇の日数のうち第二号に掲げる日数については、これらの規定にかかわらず、当該協定で定めるところにより時間を単位として有給休暇を与えることができる。
一 時間を単位として有給休暇を与えることができることとされる労働者の範囲
二 時間を単位として与えることができることとされる有給休暇の日数(五日以内に限る。)
三 その他厚生労働省令で定める事項
5 使用者は、前各項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
6 使用者は、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、第一項から第三項までの規定による有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち五日を超える部分については、前項の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる。
7 使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間又は第四項の規定による有給休暇の時間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、それぞれ、平均賃金若しくは所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又はこれらの額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した額の賃金を支払わなければならない。ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、その期間又はその時間について、それぞれ、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項に定める標準報酬日額に相当する金額又は当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
8 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。使用者は、労働基準法第32条の3の規定によりその労働者に係る始業及び終業の時刻をその労働者の決定にゆだねる、いわゆるフレックスタイム制の適用を受ける労働者についても、同法第39条第6項に定める年次有給休暇の計画的付与の対象とすることができる。
【解答】
○
フレックスタイム制に関する労使協定、年次有給休暇の計画的付与に関する労使協定はともに労働基準監督署長への届出が不要です。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。1日の所定労働時間4時間、1週の所定労働日数3日の勤務形態で採用されたパートタイム労働者が、その雇入れの日から起算して6か月間継続勤務した全労働日の8割以上出勤した場合において、当該6か月間勤務した日の翌日に、週3日勤務のままで1日の所定労働時間数が6時間に変更となった。その場合において、就業規則により年次有給休暇の期間については所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合においては、年次有給休暇の賃金について、1日当たり4時間分の賃金を支払えば足りる。
【解答】
×
使用者は、第一項から第三項までの規定による有給休暇の期間については、就業規則その他これに準ずるもので定めるところにより、平均賃金又は所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払わなければならなりません。
ただし、当該事業場に、労働者の過半数で組織する労働組合がある場合においてはその労働組合、労働者の過半数で組織する労働組合がない場合においては労働者の過半数を代表する者との書面による協定により、
その期間について、健康保険法(大正十一年法律第七十号)第九十九条第一項に定める標準報酬日額に相当する金額を支払う旨を定めたときは、これによらなければならなりません。
(労働基準法 39条6項)
年次有給休暇の賃金については、年次有給休暇取得日におけるその者の所定労働時間に応じた賃金を支払う必要があります。
そのため、問題文の場合は、年次有給休暇の賃金について、1日あたり6時間分の賃金を支払う必要があります。(法39条7項、平成11年3月31日基発168号)
改めてまとめると、休暇中の賃金は下記のとおりです。
①平均賃金
②通常の賃金(変形労働労働時間制は各日の所定労働時間に応じて算定)
③標準報酬日額(協定締結要)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇等に関する記述である。年次有給休暇の期間について、就業規則により所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金を支払うこととしている場合において、いわゆる変形労働時間制を採用していることにより各日の所定労働時間が異なるときは、時給制の労働者に対しては、変形期間における1日当たりの平均所定労働時間に応じて算定される賃金を支払わなければならない。
【解答】○
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働基準法第39条第5項の規定に基づき、労使協定により年次有給休暇の計画的付与の定めがなされた場合には、使用者は、年次有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、労働者の時季指定にかかわらず、当該労使協定の定めに従って年次有給休暇を付与することができる。
【解答】
○
年次有給休暇の計画的付与の説明です。(法第39条第6項)
使用者は、労使協定により有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、有給休暇の日数のうち5日を超える部分については、その定めにより有給休暇を与えることができます。
計画的付与ー5日を超える部分
時間単位年休ー5日以内
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める労働時間等に関する記述である。いわゆる計画年休制度を採用している事業場で、労働基準法第39条第5項の規定に基づく労使協定によって年次有給休暇を与える時季に関する定めをした場合において、当該労使協定によって計画的付与の対象となっている労働者について計画年休期間中に労働させる必要が生じたときには、使用者は、相当程度の時間的余裕をもって行えば、当該労働者について、時季変更権を行使することができる。【解答】
×
そして、計画的付与の場合には、法39条5項の「労働者の時季指定権」及び「使用者の時季変更権」はともに行使できません。(労働基準法39条6項)
「使用者は、相当程度の時間的余裕をもって行えば、当該労働者について、時季変更権を行使することができる」というのが誤りです。
有給休暇の計画的付与に係わる労使協定の効力は事業場の全労働者に及びます。
そのため、就業規則に定めが無くても労働者の時季指定権、使用者の時期変更権共に行使できません。(昭和63年3月14日基発150号)
【試験問題】
労働基準法に定める休暇、休業等に関する次の記述について、適切か否か答えよ。最高裁判所の判例は、「年次休暇の利用目的は労基法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者の自由である、とするのが法の趣旨である」と述べている。
【解答】
○
問題文の通りですので、○となります。ただ、設問のされ方だと何を問われているのかよくわからないのですが、背景に休暇中に労働争議に参加した事の是非をあらそった判例があります。
その判例においては、「他の事業場における争議行為等に休暇中の労働者が参加したか否かは、なんら当該年次有給休暇の成否に影響するところはない。」としています。(最二小昭和48.3.2白石営林署事件)
「年次有給休暇における休暇の利用目的は労働基準法の関知しないところであり、休暇をどのように利用するかは、使用者の干渉を許さない労働者 の自由であると解すべきである」とするのが最高裁判所の判例です。(労基法39条5項、最判昭和48年3月2日 (白石営林署事件))
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。年次有給休暇を労働者がどのように利用するかは労働者の自由であるが、使用者の時季変更権を無視し、労働者がその所属の事業場においてその業務の正常な運営の阻害を目的として一斉に休暇届を提出して職場を放棄する場合は、年次有給休暇に名をかりた同盟罷業にほかならないから、それは年次有給休暇権の行使ではない。
【解答】
○
問題文は通達のとおりですので正解です。
なお、このようにいえるのは、当該労働者の所属する事業場で休暇闘争が行われた場合のことであって、他の事業場における争議行為に休暇をとって参加するような場合は、それを「年次有給休暇の行使でない」とはいえないとされています。
(法39条、昭和48年3月6日基発110号)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業又は同条第2号に規定する介護休業をした期間及び労働基準法第26条の使用者の責に帰すべき事由により休業した期間並びに産前産後の女性が同法第65条の規定によって休業した期間は、同法第39条第1項及び第2項の規定の適用については、これを出勤したものとみなされる。
【解答】
○
「①労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間」及び
「②育児休業」、「③介護休業等」『育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業』又は「同条第二号に規定する介護休業をした期間」並びに
「④産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間」
は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。
(労働基準法 39条7項)
「出勤した日と扱われる日」
① 労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
② 育児休業
③ 介護休業
④ 産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間
※予定日に遅れた出産(昭和23.7.31基収2675号)
6週間以内に出産する予定の女性が、予定の出産日より遅れて分娩し、結果的には、産前6週間を超える休業は、出勤として取り扱わなければならない。
5.年次有給休暇としての休業した期間
6.労働者の責に帰すべき事由による不就労日
「全労働日に含まれない日」
① 不可抗力による休業部
② 使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
③ 正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
④ 所定の休日に労働した日
⑤ 代替休暇を取得して終日出勤しなかった日
(遊)語呂覚え
「出勤した日と扱われる日」
業、産、育、介、年、労(仰山行くか、寝ろ)
「全労働日に含まれない日」
不可、使、争、休、代替(孵化しそうや、大体)
[仰山歩かなくても、寝てるだけで卵を孵化させる裏技があるそうです。
基発0710第3号において「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱い」が改定されています。
改定により、「⑤使用者の責めに帰すべき事由により休業した期間」は出勤した日として含まれることになりました。
ただし、「使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日」は全労働日から除かれます。
「年次有給休暇算定の基礎となる全労働日の取扱い」
(平成25年7月10日通知 基発0710第3号)
<概要>
労働者の責に帰すべき事由によるとはいえない不就労日は、出勤率の算定に当たっては出勤日数に算入すべきものとして全労働日に含まれるものとする。
例えば、裁判所の判決により解雇が無効と確定した場合や、労働委員会による救済命令を受けて会社が解雇の取消しを行った場合の解雇日から復職日までの不就労日のように、労働者が使用者から正当な理由なく就労を拒まれたために就労することができなかった日。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労働日に含まれないが、逆に、使用者の責に帰すべき事由による休業の日については、ここでいう全労働日に含まれる。
【解答】
○
全労働日から除外する日
1.不可抗力による休業部
2.使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
3.正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
4.所定の休日に労働した日
5.代替休暇を取得して終日出勤しなかった日
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」における全労働日の日数は、就業規則その他によって定められた所定休日を除いた日をいう。したがって、所定の休日に労働させたとしてもその日は全労働日に含まれない。なお、使用者の責めに帰すべき事由による休業の日及び正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日については、ここでいう全労働日に含まれない。
【解答】
×
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業若しくは同条第2号に規定する介護休業をした期間又は同法第16条の2に規定するこの看護休暇を取得した期間並びに産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、同法第39条第1号及び第2号の規定の適用については、出勤したものとみなされる。
【解答】
○
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働基準法第39条の規定による年次有給休暇の期間又は時間については、平均賃金、所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金又は健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する金額のいずれかを、年次有給休暇を取得した労働者の指定するところに従い支払わなければならない。
【解答】
×
書面による協定により、
「④健康保険法第99条第1項に定める標準報酬日額に相当する賃金」又は「⑤当該金額を基準として厚生労働省令で定めるところにより算定した金額」を支払う旨を定めたときは、これによらなければならない。
書面による協定がない場合は、「①平均賃金」若しくは「②所定労働時間労働した場合に支払われる通常の賃金」又は「③これらの額を基準として厚生労働省で定めるところにより算定した額の賃金」を支払わなければならない。(法39条7項)
「④,⑤標準報酬日額」による場合、労使協定(労使委員会の決議含む)が必要です。(届出は不要です。)又、就業規則(その他それに準ずるもの)に定めなければなりません。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年1月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、10月1日入社労働者に翌年の1月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、10月1日から12月31日までの期間については、その期間における出勤の実績により計算し、1月1日から3月31日までの期間については、全期間出勤したものとみなして計算しなければならない。
【解答】
○
有給付与の斉一的取扱いについては、入社後継続して6カ月に達しない時期に付与基準日が到来する者に不利益が生じない様に、通達により、「年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなす」としています。(法39条1項、平成6年1月4日基発1号)
入社していない人に有給休暇は発生しませんので入社から基準日を参考にして、有給休暇日数を算定します。
今回の場合は、10月1日から12月31日までで計算しますが、本来対象となる残り3ヶ月分(1月1日から3月31日)までは、まだ来ていませんがこの3ヵ月分を出勤したとみなし算定します。
また、未経過期間のうちに退職予定があっても、あくまでも「予定」ですので、当然残期間は出勤するとして計算をします
斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)や分割付与(初年度において法定の年次有給休暇の付与日数を一括して与えるのではなく、その日数の一部を法定の基準日以前に付与することをいう。)により法定の基準日以前に付与する場合の年次有給休暇の付与要件である8割出勤の算定は、短縮された期間は全期間出勤したものとみなすものとされています。
そのため、問題文の「1月1日から3月31日までの期間(短縮された期間)」については、全期間出勤したものとみなして計算します。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。年次有給休暇の斉一的取扱い(原則として全労働者につき一律の基準日を定めて年次有給休暇を与える取扱いをいう。)を行っている事業場において、毎年4月1日を基準日として年次有給休暇を付与している場合に、1月1日入社の労働者にその年の4月1日の基準日に労働基準法所定の年次有給休暇を付与する場合には、年次有給休暇の付与要件である「全労働日の8割以上出勤」の算定に当たっては、1月1日から3月31日までの間の実績についてのみ計算すれば足りる。
【解答】
×
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。いわゆる年次有給休暇の計画的付与の対象となる年次有給休暇の日数については、前年度から繰り越された有給休暇日数は含まれないところから、前年度から年次有給休暇日数が3日繰り越され、当年度に新たに12日分の権利が発生した労働者については、当年度に新たに発生した12日分の権利のうち5日を超える部分である7日に限り計画的付与の対象とすることができる。
【解答】
×
年次有給休暇の計画的付与の対象となる5日を超える部分には、前年繰越分を含みます。(昭和63.3.14基発150号)
そのため前年度から繰り越された有給休暇日数は含まれないとした本問は間違いです。
有給休暇のうち5日を除いた残りの日数を計画的付与の対象にすることができます。5日については、従業員が病気になった場合などの私的理由で利用できるようにするために残しておく必要があります。
※前年度繰越し分の有給休暇がある人は、繰越し分を含めて5日を超える日数分を計画的付与の対象とすることができます。
問題の昨年3日有給休暇を残した人が今年12日付与された場合には、少なくとも5日は「計画的付与の対象外」として本人の希望に沿って取得させ、残りの10日を計画的付与とすることができます。
【試験問題】
次の説明は、労働時間、賃金及び有給休暇に関する記述である。使用者は、法定の年次有給休暇を取得した労働者に対して、賃金の減額その他不利益な取扱いをしないようにしなければならないが、労働者から請求された時季に年次有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合には、他の時季に年次有給休暇を与えることができる。
【解答】
○
使用者は、前三項の規定による有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならない。ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。
(労働基準法 39条4項「時季変更権」)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇等に関する記述である。派遣中の派遣労働者については、派遣先が極端な繁忙状態になっており、当該派遣労働者が年次有給休暇を取得すれば派遣先の事業の正常な運営を妨げるような場合であっても、年次有給休暇の時季変更権の行使に係る事業の正常な運営を妨げるかどうかの判断は、派遣元の事業についてなされる。
【解答】
○
使用者が時季変更権を行使することができる「事業の正常な運営を妨げるかどうか」の判断は、派遣労働者に関しては、代替労働者の派遣の可能性も含めて、派遣元の事業においてなされる。(昭和61年6月6日基発333号)
【試験問題】
労働基準法に定める休暇、休業等に関する次の記述について、適切か否か答えよ。労働基準法第39条第6項に定めるいわゆる労使協定による有給休暇の計画的付与については、時間単位でこれを与えることは認められない。
【解答】
○
時間単位年休は、労働者が時間単位による取得を請求した場合において、労働者が請求した時季に時間単位により年次有給休暇を与えることができるものであり、労基法39条6項の規定による計画的付与として時間単位年休を与えることは認められない(平成21年基発0529001号)
労使協定を締結した場合には、一年に5日を限度として時間単位で有給休暇を付与可能ですが、「計画的付与」として時間単位年休を与えることはできません。(労基39条4項、6項)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働基準法第39条に定める年次有給休暇の趣旨は労働者の心身のリフレッシュを図ることにあるため、使用者は少なくとも年に5日は連続して労働者に年次有給休暇を付与しなければならない。
【解答】
×
法39条の5項では「使用者は、年次有給休暇を労働者の請求する時季に与えなければならないとされています。
(ただし、請求された時季に有給休暇を与えることが事業の正常な運営を妨げる場合においては、他の時季にこれを与えることができる。)
しかし「少なくとも年に5日は連続して労働者に年次有給休暇を付与しなければならない。」といった規定はどこにも設けられていないため、問題文が誤りです。
使用者は、労使協定により、有給休暇を与える時季に関する定めをしたときは、これらの規定による有給休暇の日数のうち【5日を超える部分】については、時季指定権、時季変更権の規定にかかわらず、その定めにより有給休暇を与えることができる(【計画的付与】の対象となりうる)
という法39条6項の条文との混同を問われています。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働者の時季指定による年次有給休暇は、労働者が法律上認められた休暇日数の範囲内で具体的な休暇の始期と終期を特定して時季指定をし、使用者がこれを承認して初めて成立するとするのが最高裁判所の判例である。
【解答】
×
年次有給休暇の権利は、法定要件を充たした場合法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまってはじめて生ずるものではない。
法39条5項の「請求」とは休暇の時季を指定するという趣旨であって、労働者が時季の指定をしたときは、客観的に同項だだし書所定の事由が存在し、かつこれを理由として使用者が時季変更権の行使をしない限り、その指定によって年次有給休暇が成立し、当該労働日における就労義務が消滅するものと解するのが相当である。(白石営林署事件(昭和48年3月2日最高裁判決))
「使用者がこれを承認して初めて成立する」とした問題文が誤りです。
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。
年次有給休暇の権利は、労働基準法第39条所定の要件を満たすことによって法律上当然に労働者に生ずる権利であって、労働者の請求をまって始めて生ずるものではないとするのが最高裁判所の判例である。
【解答】
○
年次有給休暇の権利→法律上当然に労働者に生ずる権利
白石営林署事件(昭和48年3月2日最高裁判決))
年次有給休暇に対する労基法の規定は「使用者は、その雇入れの日から起算して6箇月間継続勤務し全労働日の8割以上出勤した労働者に対して、継続し、又は分割した10労働日の有給休暇を与えなければならない。」とあり、一定の条件をクリアーした場合は、使用者必ず付与する必要があることが定められています。法文にも「請求」が必要との条項はないので、最高裁判決を待つまでもなく、労働者の当然の権利として認められるべきものです。(労働基準法第39条)
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。
年次有給休暇の取得の要件である出勤率の算定においては、労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間、育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間のほか、産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、出勤したものとみなされる。
【解答】
○
労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第二条第一号に規定する育児休業又は同条第二号に規定する介護休業をした期間並びに産前産後の女性が第六十五条の規定によつて休業した期間は、第一項及び第二項の規定の適用については、これを出勤したものとみなす。 (労働基準法 39条7項)
年次有給休暇の取得の要件である出勤率の算定において次の期間は出勤したものとみなされることとなっています。
(1)労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のために休業した期間
(2)育児介護休業法に規定する育児休業又は介護休業をした期間
(3)産前産後の休業期間
(4)年次有給休暇としての休業日数
そのため、問題文は正解となります。
(法39条8項、昭和22年9月13日発基17号)
【年次有給休暇の出勤率に関する改正】
平成25年7月10日通知(基発0710第3号関係)
★出勤したものとみなす日
①業務上の傷病による療養のための休業日
②育児・介護休業法による育児・介護休業した日
③法65条の産前産後休業をした期間
④年次有給休暇を取得した日
⑤労働者の責めに帰すべき事由によるとはいえない不就労日
(★全労働日に含まれない日の②~④を除く)
★全労働日に含まれない日
①所定の休日に労働させた場合のその日
②不可抗力による休業日
③使用者側に起因する経営、管理上の障害による休業日
④正当な同盟罷業その他正当な争議行為により労務の提供が全くなされなかった日
⑤割増賃金の代替休暇を取得して終日出勤しなかった日
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働者が業務上負傷し、又は疾病にかかり療養のため休業した期間及び育児休業、介護休業等育児又は家族介護を行う労働者の福祉に関する法律第2条第1号に規定する育児休業若しくは同条第2号に規定する介護休業をした期間又は同法第16条の2に規定するこの看護休暇を取得した期間並びに産前産後の女性が労働基準法第65条の規定によって休業した期間は、同法第39条第1号及び第2号の規定の適用については、出勤したものとみなされる。
【解答】
○
【試験問題】
次の説明は、労働基準法に定める年次有給休暇に関する記述である。労働者の年次有給休暇の時季指定に対し、労働基準法の趣旨として、使用者は、できるだけ労働者が指定した時季に休暇をとれるよう状況に応じた配慮をすることが要請されているものとみることができるとするのが最高裁判所の判例である。
【解答】
○
同法の趣旨は、使用者に対し、できるだけ労働者が指定した時季に休暇を取れるよう状況に応じた配慮をすることを要請しているものとみることができる。
(S62. 7.10 最高二小 昭和59(オ)618 弘前電報電話局職員戒告事件)
「有給休暇」は要するに「賃金を貰って休む」ってだけなのですが、それだけに、定義や要件などを細々聞かれます。常に根を詰めて覚えないと厄介な条文です。
≪年次有給休暇≫
法解釈:
6ヶ月間継続勤務かつ全労働日の8割以上出勤の要件充足により権利は発生。労働者の時季指定権により効果が発生し、使用者の時季変更権を解除条件とする
基準日:
6ヶ月間継続勤務した日の翌日
出勤率:
出勤率8割=出勤日/全労働日
出勤日:
出勤日
+ 業務上傷病による休業期間
+ 育児・介護休暇+産前産後休暇+年次有給休暇
・休日出勤日は全労働日からも除かれており出勤日に含めない
・生理休暇、看護休暇は出勤日でない。
全労働日:
対象期間の総暦日数から以下を除く
所定休日(出勤しても)、
使用者の責に帰す休業日、
争議行動、
天災による休業日、
代替休暇(60時間超時間外労働の割増賃金の代替休暇)
全労働日に含めない日は、「出勤とみなす」と問われる
(「みなす日」に紛れ込ませたりする)と間違い
斉一的取り扱い:
基準日以前に付与する時。未経過分は全出勤とみなす。
比例付与:
週所定労働時間が30時間未満かつ週所定労働日数4日以内または年所定労働日数216日以内
比例付与の判定は6カ月経過時点の労働時間で判定
通常の付与日数x週所定労働日数/5.2(1日未満切り捨て)
継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
週所定労働日数 年所定労働日数
4 169-216 7 8 9 10 12 1
3 15
3 121-168 5 6 6 8 9 10 11
2 73-120 3 4 4 5 6 6 7
1 48- 72 1 2 2 2 3 3 3
継続勤務年数 0.5 1.5 2.5 3.5 4.5 5.5 6.5
年休付与日数 10 11 12 14 16 18 20
時間単位の取得:
以下を労使協定(届出不要)する。
・労働者の範囲
・日数(5日以内:前年未消化分の繰越があっても5日限度)
・1日の時間数 ・1時間以外の単位時間
・時季指定権、時季変更権は有効であるが、日単位に変えることはできない。
・また時間単位に計画的付与することも不可
計画的付与:
・労使協定(届出不要)により有給休暇のうち5日を超える部分を指定時期に与えることができる。
・前年からの繰り越し(時効2年)を含んで5日を超える部分
・労働者の時期指定権、使用者の時季変更権は行使できない(消滅)。
賃金
平均賃金または「所定労働時間労働した場合の通常の賃金(ex.月給を所定労働日数でわった額)を就業規則で定める
・労使協定(届出不要)により「健康保険法による標準報酬日額とできる。」
・通常の賃金
●出来高制、請負制の場合
・算定期間総報酬 / 実労働時間 x 算定期間内1日平均所定労働時間
●変形労働時間制の場合
・月給、週給、日給は通常と同じ。
・時給の時、時給 x 休暇日所定労働時間
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