第三十四条 前条第一号の事業主が、同号及び同条第二号に掲げる者を包括して当該事業について成立する保険関係に基づきこの保険による業務災害及び通勤災害に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき申請をし、政府の承認があつたときは、第三章第一節から第三節まで及び第三章の二の規定の適用については、次に定めるところによる。
一 前条第一号及び第二号に掲げる者は、当該事業に使用される労働者とみなす。
二 前条第一号又は第二号に掲げる者が業務上負傷し、若しくは疾病にかかつたとき、その負傷若しくは疾病についての療養のため当該事業に従事することができないとき、その負傷若しくは疾病が治つた場合において身体に障害が存するとき、又は業務上死亡したときは、労働基準法第七十五条から第七十七条まで、第七十九条及び第八十条に規定する災害補償の事由が生じたものとみなす。
三 前条第一号及び第二号に掲げる者の給付基礎日額は、当該事業に使用される労働者の賃金の額その他の事情を考慮して厚生労働大臣が定める額とする。
四 前条第一号又は第二号に掲げる者の事故が徴収法第十条第二項第二号の第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が前条第一号の事業主の故意又は重大な過失によつて生じたものであるときも、同様とする。
2 前条第一号の事業主は、前項の承認があつた後においても、政府の承認を受けて、同号及び同条第二号に掲げる者を包括して保険給付を受けることができる者としないこととすることができる。
3 政府は、前条第一号の事業主がこの法律若しくは徴収法又はこれらの法律に基づく厚生労働省令の規定に違反したときは、第一項の承認を取り消すことができる。
4 前条第一号及び第二号に掲げる者の保険給付を受ける権利は、第二項の規定による承認又は前項の規定による第一項の承認の取消しによつて変更されない。これらの者が同条第一号及び第二号に掲げる者でなくなつたことによつても、同様とする。
【試験問題】次の説明は、保険給付に関する記述である。政府は、事業主が故意又は重大な過失により保険関係の成立に関する届出をしていない期間中(一定の場合を除く。)に生じた事故について業務災害に関する保険給付を行ったときは、労働基準法上の災害補償の価額の限度において、保険給付の費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収することができる。 【解答】○
前条第一号の事業主が、同号及び同条第二号に掲げる者を包括して当該事業について成立する保険関係に基づきこの保険による業務災害及び通勤災害に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき申請をし、政府の承認があつたときは、第三章第一節から第三節まで及び第三章の二の規定の適用については、次に定めるところによる。
4号 前条第一号又は第二号に掲げる者の事故が徴収法第十条第二項第二号の第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が前条第一号の事業主の故意又は重大な過失によつて生じたものであるときも、同様とする。 (労災保険法 34条1項4号)
事業主が故意又は重大な過失による保険関係成立届を提出していない期間中に生じた事故について保険給付を行った場合、
①保険関係成立届の提出について指導を受けたにもかかわらず、提出を行っていない間に支給事由が生じた保険給付について→支給の都度、その保険給付額の100%に相当する額を事業主から徴収(故意に保険関係成立届を提出していないものと認定)
②保険関係成立届の提出について指導を受けた事実はないものの、保険関係成立日以後1年経過しても提出を行っていない間に支給事由が生じた場合→支給の都度、その保険給付額の40%に相当する額を事業主から徴収(重大な過失により保険関係成立届を提出していないものと認定)
なお、労災法が適用除外であった「船員保険法の規定による船員保険の被保険者」がH22年の法改正により適用されることに伴い、「事業主からの費用徴収」も、船員保険の被保険者について対象となる。
本問は、法文の規定通りの表現がされており「○」であるが、過去問において「労働基準法上の災害補償の価額の限度において」の部分を除いた状態での正否を問う問題もあります。本番においてあわてて読むと、その部分が抜けていることを見落として「○」と判断するケースも想定されますので、「価額の限度において」の有無を注意して判断する必要のある問題です。
労働者災害補償保険法第31条1項
【試験問題】次の説明は、保険給付の費用等に関する記述である。
政府は、事業主が故意又は重大な過失によって生じさせた業務災害の原因である事故について保険給付を行ったときは、労働基準法の規定による災害補償の価額にかかわらず、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部を当該事業主から徴収することができる。【解答】?
【試験問題】次の説明は、労働者災害補償保険法に関する記述である。特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り、当該事故に係る保険給付の全部又は一部の支給を行わないことができる。 【解答】×
第三十三条第三号に掲げる者の団体又は同条第五号に掲げる者の団体が、当該団体の構成員である同条第三号に掲げる者及びその者に係る同条第四号に掲げる者又は当該団体の構成員である同条第五号に掲げる者の業務災害及び通勤災害(これらの者のうち、住居と就業の場所との間の往復の状況等を考慮して厚生労働省令で定める者にあつては、業務災害に限る。)に関してこの保険の適用を受けることにつき申請をし、政府の承認があつたときは、第三章第一節から第三節まで(当該厚生労働省令で定める者にあつては、同章第一節及び第二節)、第三章の二及び徴収法第二章から第六章までの規定の適用については、次に定めるところによる。
7号 第三十三条第三号から第五号までに掲げる者の事故が、徴収法第十条第二項第三号の第二種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。 (労災保険法 35条1項7号)
第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じた事故(督促状の指定期限後に発生した事故に限る)について、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が事業主の故意又は重大な過失によって生じたものであるときも、同様とする。よって保険料が完納で支給停止が解除されるわけではない。
(保険料滞納による支給制限)
事業主からの費用徴収と異なり、特別加入者の場合、必ずしも保険料が納付されるまでの期間に限るものではない。
特別加入者の事故が当該特別加入に係る保険料が滞納されている期間(督促状の指定期限の翌日から概算保険料を納付した日の前日まで)に生じたものであるときは、事業主からの費用徴収でなく保険給付の支給制限が行われる。
支給制限の期間は療養を開始した日(即死の場合は事故発生の日)の翌日から起算して3年以内の期間において支給事由の生じたものに限られている。
よって、「当該滞納に係る保険料が納付されるまでの間に限り」とした問題文は誤りとなる。
法34条1項、法35条1項、法36条1項、昭和40年12月6日基発1591号
①【保険給付の全部又は一部を行わない】(支給制限)
②【保険給付の一時差し止め】(支給一時停止)
この二つの規定は他の法律でも頻繁に出ます。労災においても、両方規定がありますが、設問はこのうち①支給制限についての出題です。お分かりの通り、
①一旦制限されたら【復活しない】
②差し止め事由が解消されれば【支給再開】
ということですから、答えは単純明快、条文にある通り①の規定ですから支給制限されたら、保険給付は復活しません。これだけです。
そもそも、保険料払わない者に保険は効きません。当然のことですよね。
ただし、労災加入の事業所のケースになるとそうはいきません。上記①②の規定は揺るぎませんが、労災適用事業所における保険料滞納とは、保険給付を受けるべき労働者ではなく、保険料を負担すべき事業主等の責任ですから、保険給付を行わないとするのは極めて不合理だということです。よって、この場合においては、保険給付は行われ、労基法に定める災害補償の価額の限度で当該給付に係る費用を事業主等から徴収することとしています。
法31条、法34条
【試験問題】次の説明は、特別加入に関する記述である。
特別加入保険料が滞納されている期間中に当該特別加入者について生じた事故に係る保険給付については、政府は、その全部又は一部を行わないことができる。【解答】?
【試験問題】
政府が保険給付を行ったとき、その保険給付に要した費用に相当する金額の全部又は一部を事業主から徴収できる事故として、適切か否か答えよ。
事業主が、労働保険の事業に要する費用にあてるために政府に納付すべき第二種特別加入保険料を納付せず、その後、政府から督促を受けるまでの期間中に生じた事故 【解答】×
《第1種・第2種・第3種特別加入》
事故が特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるとき、保険給付の全部または一部を行わないことができる。(支給制限)
費用徴収ではない。
法34条1項4号
【試験問題】次の説明は、特別加入に関する記述である。特別加入者に係る休業補償給付は、業務上負傷し、又は疾病にかかり、療養のため当該事業に従事することができないことに加え、そのために所定の給付基礎日額に相当する額の収入が失われた場合に限り、支給される。 【解答】×
特別加入者に賃金喪失要件がないのは、【特別加入者】は【労働者】と異なり賃金を支払われるものではなく、自らの事業で稼ぐものを特別加入者として加入承認いるからである
特別加入者に係る休業補償給付の支給要件には、一般労働者の場合のような「収入が失われた場合」という要件はないので、業務災害による傷病等の療養のために労務不能状態であると認められれば、休業補償給付は支給される。
法34条1項2号、平成11年12月3日基発695号
特別加入者には収入の喪失要件はありません。
次の説明は、労働者災害補償保険法に関する記述である。
特別加入者に係る休業補償給付は、業務上負傷し、又は疾病にかかり、その療養のため4日以上業務に従事することができない場合には、それによる所得喪失の有無にかかわらず、支給される。
【試験問題】次の説明は、労働者災害補償保険法に関する記述である。
特別加入者である中小事業主等の事故が特別加入保険料の滞納期間中に生じ、かつ、業務災害の原因である事故が当該中小事業主等の故意又は重大な過失によって生じたものである場合における保険給付の支給については、まず故意又は重大な過失に係る支給制限が行われ、さらに支給制限後の保険給付の残額について特別加入保険料の滞納に係る支給制限が行われる。【解答】○
前条第一号の事業主が、同号及び同条第二号に掲げる者を包括して当該事業について成立する保険関係に基づきこの保険による業務災害及び通勤災害に関する保険給付を受けることができる者とすることにつき申請をし、政府の承認があつたときは、第三章第一節から第三節まで及び第三章の二の規定の適用については、次に定めるところによる。
4号 前条第一号又は第二号に掲げる者の事故が徴収法第十条第二項第二号の第一種特別加入保険料が滞納されている期間中に生じたものであるときは、政府は、当該事故に係る保険給付の全部又は一部を行わないことができる。これらの者の業務災害の原因である事故が前条第一号の事業主の故意又は重大な過失によつて生じたものであるときも、同様とする。 (労災保険法 34条1項4号)
中小企業主が保険料を滞納している期間中に故意、重過失による事故を起こした場合は、「故意・重過失による支給制限」が先に行われ、その支給制限後の保険給付の残額について「保険料滞納による支給制限」がおこなわれる。
特別加入者である中小事業主等の故意又は重大な過失により生じた事故と特別加入保険料の滞納期間中に生じた事故による支給制限の規定が重複して適用される場合は、まず故意又は重大な過失により生じた事故による支給制限を適用し、その残余の部分について特別加入保険料の滞納期間中に生じた事故による支給制限を適用することとされている。
よって、本問は○
法12条の2の2、法34条1項
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