(健康保険組合の保険料の負担割合の特例)
第百六十二条 健康保険組合は、前条第一項の規定にかかわらず、規約で定めるところにより、事業主の負担すべき一般保険料額又は介護保険料額の負担の割合を増加することができる。
(保険料の納付)
第百六十四条 被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。ただし、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の十日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までとする。
2 保険者等(被保険者が協会が管掌する健康保険の任意継続被保険者である場合は協会、被保険者が健康保険組合が管掌する健康保険の被保険者である場合は当該健康保険組合、これら以外の場合は厚生労働大臣をいう。次項において同じ。)は、被保険者に関する保険料の納入の告知をした後に告知をした保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったとき、又は納付した被保険者に関する保険料額が当該納付義務者の納付すべき保険料額を超えていることを知ったときは、その超えている部分に関する納入の告知又は納付を、その告知又は納付の日の翌日から六月以内の期日に納付されるべき保険料について納期を繰り上げてしたものとみなすことができる。
3 前項の規定によって、納期を繰り上げて納入の告知又は納付をしたものとみなしたときは、保険者等は、その旨を当該納付義務者に通知しなければならない。
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【試験問題】次の説明は、費用負担に関する記述である。事業主は、各月の保険料を翌月末日までに保険者が発行する納入告知書に基づいて納入しなければならない。【解答】○
保険料は事業主が被保険者の負担する保険料と自己負担する保険料とを合わせて翌日末日までに納付する義務を負います。被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならない。ただし、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の10日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までとする 第164条 関連問題として、22年度本試験問8Bは、次のとおりでした。「被保険者に関する毎月の保険料は、翌月末日までに、納付しなければならないが、任意継続被保険者に関する保険料については、その月の末日(初めて納付すべき保険料については、保険者が指定する日)までに納付しなければならない。」後半部分の「任意継続被保険者に関する保険料については、その月の【末日】」が、「その月の10日」のため×です。設問のケースは、一般の被保険者に係る保険料に限定された問となっています。これは、一般の被保険者の保険料については、その被保険者を使用する事業主は、保険料の2分の1を負担する義務があるからです。これに対して、任意加入被保険者の保険料は全てを任意加入被保険者が負担する必要があるため、納付期日が【その月の10日】とされています。事業主には、当該一般被保険者の保険料を納付する義務があるので、設問のように各月の保険料を納期までに納付しますが、【任意加入被保険者】の保険料を納付する義務がないため、任意加入被保険者は自らの責任で納付することになりますが、任意加入被保険者には保険料を【前納】することによる割引制度があります。保険者は、保険料等を徴収しようとするときは、『納入告知書』で納入の告知をしなければならない。法164条1項,則136条
(任意継続被保険者の保険料の前納)
第百六十五条 任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。
2 前項の場合において前納すべき額は、当該期間の各月の保険料の額から政令で定める額を控除した額とする。
3 第一項の規定により前納された保険料については、前納に係る期間の各月の初日が到来したときに、それぞれその月の保険料が納付されたものとみなす。
4 前三項に定めるもののほか、保険料の前納の手続、前納された保険料の還付その他保険料の前納に関して必要な事項は、政令で定める。
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【試験問題】次の説明は、保険料に関する記述である。
任意継続被保険者又は特例退職被保険者が、将来の一定期間の保険料を前納しようとするときは、前納しようとする額を前納に係る期間の初月の前月末日までに払い込まなければならない。 【解答】○
任意継続被保険者は、将来の一定期間の保険料を前納することができる。 (健康保険法 165条)前納された保険料については、前納にかかる期間の
各月の初日が到来したときに、それぞれその月の保険料
が納付されたとみなされる。
[自説の根拠]法165条
【任意継続被保険者が保険料を前納】する場合、次の原則があります。「4~9月又は10~翌3月までの6月間又は4~翌3月までの12月間を単位として、年4分の利率による複利原価法によって割り引かれた金額を納付します。」
前納された保険料については、前納にかかる期間の【各月の初日】が到来したときに、それぞれ、その月の保険料が納付されたものとみなされます。
任意継続被保険者及び特例退職被保険者の保険料は、一般の被保険者が2分の1の事業主負担があるのに比べ、全ての保険料を自己負担するために、割引制度の一つとして、【保険料の前納】により、年4分の利率による複利原価法によって割り引きが行われると考えられます。
(口座振替による納付)
第百六十六条 厚生労働大臣は、納付義務者から、預金又は貯金の払出しとその払い出した金銭による保険料の納付をその預金口座又は貯金口座のある金融機関に委託して行うことを希望する旨の申出があった場合においては、その納付が確実と認められ、かつ、その申出を承認することが保険料の徴収上有利と認められるときに限り、その申出を承認することができる。
(保険料の源泉控除)
第百六十七条 事業主は、被保険者に対して通貨をもって報酬を支払う場合においては、被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料(被保険者がその事業所に使用されなくなった場合においては、前月及びその月の標準報酬月額に係る保険料)を報酬から控除することができる。
2 事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。3 事業主は、前二項の規定によって保険料を控除したときは、保険料の控除に関する計算書を作成し、その控除額を被保険者に通知しなければならない。
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【試験問題】健康保険法に関する次の記述について、適切か否か答えよ。5月23日に被保険者資格を取得した者の健康保険料の源泉控除について、その者の給与支払方法が月給制であり、毎月20日締め、当月末日払いの場合、事業主は、最初の給与(5月23日から6月20日までの期間に係るもの)で5月分の健康保険料を控除することができるが、毎月末日締め、当月25日払いの場合、最初の給与(5月23日から5月末日までの期間に係るもの)では健康保険料を控除することができない。 【解答】○
原則として前月の標準報酬月に対して保険料の徴収ができる。つまり、5月23日~月末までの給与は翌月の標準報酬月額に算入されるため出来ない
事業主は、原則として被保険者の負担すべき前月の標準報酬月額に係る保険料を控除することができる。前月分の報酬をその月に支払う場合においては、前月分の保険料を控除し得る報酬は、原則としてその月に支払う報酬(設問前段の場合)であり、その月分の報酬をその月に支払う場合においては、その月分の保険料を控除し得べき報酬は、原則としてその翌月に支払う報酬(設問後段の場合)とされる。
[自説の根拠]法167条1項、大正15.12.4収保313号。TAC過去10年本試験問題集
13 167条
次の説明は、保険料等に関する記述である。
事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。 2012年度(平成24年度)
解答○
事業主は、被保険者に対して通貨をもって賞与を支払う場合においては、被保険者の負担すべき標準賞与額に係る保険料に相当する額を当該賞与から控除することができる。(法第167条第2項)
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