(遺族)
第五十九条 遺族厚生年金を受けることができる遺族は、被保険者又は被保険者であつた者の配偶者、子、父母、孫又は祖父母(以下単に「配偶者」、「子」、「父母」、「孫」又は「祖父母」という。)であつて、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時(失踪の宣告を受けた被保険者であつた者にあつては、行方不明となつた当時。以下この条において同じ。)その者によつて生計を維持したものとする。ただし、妻以外の者にあつては、次に掲げる要件に該当した場合に限るものとする。
– 一 夫、父母又は祖父母については、五十五歳以上であること。
– 二 子又は孫については、十八歳に達する日以後の最初の三月三十一日までの間にあるか、又は二十歳未満で障害等級の一級若しくは二級に該当する障害の状態にあり、かつ、現に婚姻をしていないこと。
– 2 前項の規定にかかわらず、父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
– 3 被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、第一項の規定の適用については、将来に向つて、その子は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時その者によつて生計を維持していた子とみなす。
– 4 第一項の規定の適用上、被保険者又は被保険者であつた者によつて生計を維持していたことの認定に関し必要な事項は、政令で定める。
(死亡の推定)
第五十九条の二 船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその船舶に乗つていた被保険者若しくは被保険者であつた者若しくは船舶に乗つていてその船舶の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が三月間わからない場合又はこれらの者の死亡が三月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合には、遺族厚生年金の支給に関する規定の適用については、その船舶が沈没し、転覆し、滅失し、若しくは行方不明となつた日又はその者が行方不明となつた日に、その者は、死亡したものと推定する。航空機が墜落し、滅失し、若しくは行方不明となつた際現にその航空機に乗つていた被保険者若しくは被保険者であつた者若しくは航空機に乗つていてその航空機の航行中に行方不明となつた被保険者若しくは被保険者であつた者の生死が三月間わからない場合又はこれらの者の死亡が三月以内に明らかとなり、かつ、その死亡の時期がわからない場合にも、同様とする。
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次の説明は、厚生年金保険法に関する記述である。
配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族の取扱いについて、離婚の届出がなされ、戸籍簿上も離婚の処理がなされている場合には、その後に事実上婚姻関係と同様の事情にあり、当事者間に、社会通念上、夫婦としての共同生活と認められる事実関係を成立させようとする合意があり、その事実関係が存在するときであっても、配偶者の死亡に係る遺族厚生年金の遺族とはしない。 2011年度(平成23年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2012年10月26日)
解答
[正しい答え]
×
この場合、事実上婚姻関係にある者と認められ、生計維持関係等所定の要件を満たす場合、遺族厚生年金を受ける遺族となります。
[自説の根拠]厚生年金保険法59条1項、平成23.3.23年発0323第1号
夫婦としての共同生活の状態にない事実関係
1.当事者が住居を異にすること。
2.当事者間に経済的な依存関係が反復して存在していない。
3.当事者間の意思の疎通をあらわす音信又は訪問等の事実が反復して存在していない。
内縁関係が認められるケースは問題文のとおりとなりますが、婚姻関係にありながら共同生活として認められないケースは上記すべてを満たすことが必要となります。
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次の説明は、遺族厚生年金に関する記述である。
遺族厚生年金の生計維持の認定において、将来にわたって年間600万円以上の収入を有すると認められる者は、生計維持関係が認められない。 2003年度(平成15年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2008年11月13日)
解答
[正しい答え]
×
「年間600万円以上」は「年間850万円以上」が正しいと思います。
年間850万円以上の収入(年間655万5千円以上の所得)
厚労大臣が定める金額→年額850万円
次のいずれかに該当する場合は厚労臣の定める金額以上の収入を将来にわたって有すると認められる者以外のものに該当
1.前年の収入(不確定な場合前々年の収入)が年額850万円未満
2.前年の所得(不確定な場合前々年の所得)が年額655.5万円未満
3.一時的な所得がある場合、これを除いた後上記1又は2に該当する
4.上記のいずれかに該当しないが、定年退職等の事情で近い将来収入が年額850万円未満又は所得が655.5万円未満となると認められる
[自説の根拠]法59条4項、令3条の10、平成6年11月9日庁保発第36号、平成11年11月9日庁文発第3235号
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次の説明は、遺族厚生年金に関する記述である。
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、遺族厚生年金において、妻の受給権は消滅しないが、父母、祖父母、孫の受給権については消滅する。 2004年度(平成16年度)
解答
[正しい答え]
○
父母、孫又は祖父母の有する遺族厚生年金の受給権は、被保険者又は被保険者であつた者の死亡の当時胎児であつた子が出生したときは、消滅する。 (厚生年金保険法 63条3項)
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参考 類似問題
子は、配偶者が、父母き、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。
正解は×
父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得しないときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。遺族厚生年金の遺族の順位においては、「配偶者と子は同順位」となる。
[自説の根拠]法59条2項
父母は、配偶者又は子が、孫は、配偶者、子又は父母が、祖父母は、配偶者、子、父母又は孫が遺族厚生年金の受給権を取得したときは、それぞれ遺族厚生年金を受けることができる遺族としない。遺族厚生年金の遺族の順位においては、「配偶者と子は同順位」となる。
[自説の根拠]法59条2項
問題文を読んだときに、
「妻が受給権を有している」場合、後順位者である「父母、祖父母、孫」の受給権はそもそも発生しないと理解をしてしまいましたが、
基本書には次のように書かれていました。
父母の受給権について「先順位者(配偶者及び子)がいない場合に限り、受給権者となる」
第二順位以降の者が受給権を取得した後に胎児であった子が出生したときは、その子が受給権者となるため、第二順位以降の者が有する受給権は『消滅』する。
関連問題
次の説明は、遺族厚生年金の受給権の消滅の時期に関する記述である。
受給権者が父母で、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したとき。
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次の説明は、遺族厚生年金に関する記述である。
被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、遺族厚生年金において、妻の受給権は消滅しないが、父母、祖父母、孫の受給権については消滅する。
次の説明は、遺族厚生年金の受給権の消滅の時期に関する記述である。
受給権者が父母で、被保険者又は被保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したとき。 1999年度(平成11年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
三歳に満たない子を養育し、又は養育していた被保険者又は被保険者であつた者が、厚生労働省令で定めるところにより社会保険庁長官に申出(被保険者にあつては、その使用される事業所の事業主を経由して行うものとする。)をしたときは、当該子を養育することとなつた日(厚生労働省令で定める事実が生じた日にあつては、その日)の属する月から次の各号のいずれかに該当するに至つた日の翌日の属する月の前月までの各月のうち、その標準報酬月額が当該子を養育することとなつた日の属する月の前月(当該月において被保険者でない場合にあつては、当該月前一年以内における被保険者であつた月のうち直近の月。以下この項において「基準月」という。)の標準報酬月額(この項の規定により当該子以外の子に係る基準月の標準報酬月額が標準報酬月額とみなされている場合にあつては、当該みなされた基準月の標準報酬月額。以下この項において「従前標準報酬月額」という。)を下回る月(当該申出が行われた日の属する月前の月にあつては、当該申出が行われた日の属する月の前月までの二年間のうちにあるものに限る。)については、従前標準報酬月額を当該下回る月の第四十三条第一項に規定する平均標準報酬額の計算の基礎となる標準報酬月額とみなす。
4号 当該子が死亡したときその他当該被保険者が当該子を養育しないこととなつたとき。 (厚生年金保険法 26条1項4号)
被保険者又は穂保険者であった者の死亡の当時胎児であった子が出生したときは、将来に向かって、被保険者又は被保険者であったものの死亡の当時そのものによって生計を維持していた子とみなされます。
また、遺族厚生年金には遺族の順位があり、上の順位の者が受給権を得ると下の順位の者は遺族厚生年金を受けることはできません。
遺族の順位 1、配偶者又は子 2、父母 3、孫 4、祖父母
[自説の根拠]法59条
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