健保法 第八十八条 (訪問看護療養費)

第二款 訪問看護療養費の支給

(訪問看護療養費)
第八十八条  被保険者が、厚生労働大臣が指定する者(以下「指定訪問看護事業者」という。)から当該指定に係る訪問看護事業(疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者(主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限る。)に対し、その者の居宅において看護師その他厚生労働省令で定める者が行う療養上の世話又は必要な診療の補助(保険医療機関等又は介護保険法第八条第二十七項に規定する介護老人保健施設によるものを除く。以下「訪問看護」という。)を行う事業をいう。)を行う事業所により行われる訪問看護(以下「指定訪問看護」という。)を受けたときは、その指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費を支給する。
– 2  前項の訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。
– 3  指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から受けるものとする。
– 4  訪問看護療養費の額は、当該指定訪問看護につき指定訪問看護に要する平均的な費用の額を勘案して厚生労働大臣が定めるところにより算定した費用の額から、その額に第七十四条第一項各号に掲げる場合の区分に応じ、同項各号に定める割合を乗じて得た額(療養の給付に係る同項の一部負担金について第七十五条の二第一項各号の措置が採られるべきときは、当該措置が採られたものとした場合の額)を控除した額とする。
– 5  厚生労働大臣は、前項の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。
– 6  被保険者が指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けたときは、保険者は、その被保険者が当該指定訪問看護事業者に支払うべき当該指定訪問看護に要した費用について、訪問看護療養費として被保険者に対し支給すべき額の限度において、被保険者に代わり、当該指定訪問看護事業者に支払うことができる。
– 7  前項の規定による支払があったときは、被保険者に対し訪問看護療養費の支給があったものとみなす。
– 8  第七十五条の規定は、第六項の場合において第四項の規定により算定した費用の額から当該指定訪問看護に要した費用について訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額の支払について準用する。
– 9  指定訪問看護事業者は、指定訪問看護に要した費用につき、その支払を受ける際、当該支払をした被保険者に対し、厚生労働省令で定めるところにより、領収証を交付しなければならない。
– 10  保険者は、指定訪問看護事業者から訪問看護療養費の請求があったときは、第四項の定め及び第九十二条第二項に規定する指定訪問看護の事業の運営に関する基準(指定訪問看護の取扱いに関する部分に限る。)に照らして審査の上、支払うものとする。
– 11  保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を基金又は国保連合会に委託することができる。
– 12  指定訪問看護は、第六十三条第一項各号に掲げる療養に含まれないものとする。
– 13  前各項に定めるもののほか、指定訪問看護事業者の訪問看護療養費の請求に関して必要な事項は、厚生労働省令で定める。

6 88条
次の説明は、訪問看護療養費に関する記述である。
被保険者は訪問看護を受けたときは、基本利用料として、厚生労働大臣が定める基準により算定した指定訪問看護の費用から訪問看護療養費支給額を差し引いた額と、指定訪問看護ステーションの定める超過時間・時間外等のその他の料金がある場合はその費用を負担しなければならない。 2001年度(平成13年度)
解答 ○

【基本利用料以外の利用料について】
設問のように、訪問看護療養費については、長時間の指定訪問看護や営業時間以外における指定訪問看護を受けた場合には、その費用は訪問看護療養費の対象とはならないので、別途、負担する事になります。

設問のように、指定訪問看護の場合、「指定訪問看護ステーションの定める超過時間・時間外等のその他の料金がある場合」がありますので、指定訪問看護事業者には、被保険者に対して料金明細を明確にするため、【指定訪問看護に要した費用につき支払を受けた時には、被保険者に対して、基本料金及びその他の利用料について、費用ごとに区分した領収書を交付する】事が義務付けられています(則72条)。

指定訪問看護事業者が受ける利用料→基本利用料+その他の利用料
基本利用料→厚生労働大臣の定めるところにより算定した費用の額より訪問看護療養費又は家族訪問看護療養費として支給される額に相当する額を控除した額(一部負担金相当額)
その他の利用料→交通費、おむつ代等の実費、時間外の訪問看護を希望した時の特別料金
(法88条、指定訪問看護及び指定老人訪問看護の事業の人員及び運営に関する基準13条)

関連問題
次の説明は、患者の負担に関する記述である。
70歳未満の被保険者が訪問看護を受けたとき、厚生労働大臣が定める基準により算定した指定訪問看護の費用から訪問看護療養費支給額を差し引いた額と、当該被保険者の選定に基づいて提供された指定訪問看護等に要する平均的な時間を越える指定訪問看護等及び指定訪問看護ステーションが定める営業日以外の日又は営業時間以外の時間における指定訪問看護等の利用料がある場合はその費用とを負担しなければならない。

3 88条1項
次の説明は、訪問看護療養費に関する記述である。
訪問看護療養費に係る訪問看護事業の対象者は、疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者のうち、主治の医師がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたものに限られる。 2003年度(平成15年度)

解答○
前項の訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。 (健康保険法 88条2項)
「主治の医師」がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準(「病状が安定し又はこれに準ずる状態にありかつ居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要すること(則67条)」)に適合していると認めたものに限られる。

【訪問看護事業】とは、「看護師・保健師・助産師・准看護師・理学療法士・作業療法士及び言語聴覚士」が行う療法上の世話又は診療上の補助(訪問看護)を行う事業をいい、【医師】は、含まれていません。

法88条1項 対象者…「主治の医師」がその治療の必要の程度につき厚生労働省令で定める基準に適合していると認めたもの
法88条2項 訪問看護療養費…厚生労働省令で定めるところにより、「保険者」が必要と認める場合に限り、支給するものとする。

12 法88条
次の説明は、健康保険法に関する記述である。
訪問看護は、医師、歯科医師又は看護師のほか、保健師、助産師、准看講師、理学療法士、作業療法士及び言語聴覚士が行う。 2012年度(平成24年度)

解答×

訪問看護を行う者に「医師、歯科医師」は含まれない。「医師・歯科医師」が行うと「往診」になり、療養の給付の対象になります。
訪問看護を担当する者に「医師、歯科医師」は含まれない。訪問看護を担当する者は看護師、保健師、助産師、准看護婦、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士です。
(法88条1項 則68条)

6 88条5項
次の説明は、保険医療機関等に関する記述である。
厚生労働大臣は、保険医及び保険薬剤師、保険医療機関又は保険薬局の責務に関する定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問しなければならない。 2001年度(平成13年度)

解答○
厚生労働大臣は、前項の定めをしようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問するものとする。 (健康保険法 88条5項)

厚生労働大臣が中央社会保険医療協議会に諮問するものは以下のとおり
①保険医療機関又は保険薬局の責務について厚生労働省令を定めようとするとき
入院時食事療養費、入院時生活療養費、
保険外併用療養費、家族療養費、
およびそれらの受給方法を含む
②評価療養、評価療養、若しくは療養の給付に関する費用についての定めをしようとするとき
ただし評価療養、評価療養のうち高度の医療技術に
係るものについては、この限りでない(健康保険法 第82条)

設問のケースのようの保険医療機関等の【責務】など、国レベルの問題場合は、「中央社会保険医療協議会」に諮問されますが、「保険医療機関又は保険薬局に係る指定を行おうとするときや、その指定を取消そうとするなど、地方レベルでノ問題は、【地方社会保険医療協議会】へ諮問します。

厚生労働省に置かれた【中央社会保険医療協議会】は、厚生労働大臣の【諮問に応じて】【審議】し、文書をもって答申するほか、自ら厚生労働大臣に文書をもって【建議】することができる(社保医協議会法1条1項)

関連問題
次の説明は、健康保険法に関する記述である。
厚生労働大臣は、入院時食事療養費に係る食事療養に関する費用の額の算定に関する基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問しなければならない。

解答○?

88

【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。
厚生労働大臣は、入院時食事療養費に係る食事療養に関する費用の額の算定に関する基準を定めようとするときは、中央社会保険医療協議会に諮問しなければならない。
次の説明は、訪問看護療養費に関する記述である。
指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、主治の医師が指定する指定訪問看護事業者から受けるものとされている。【解答】×

指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるところにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から受けるものとする。 (健康保険法 88条3項)
「主治の医師が指定する」ではなく、「自己の選定する」指定訪問看護事業者から受けるものとする。
疾病又は負傷により、居宅において継続して療養を受ける状態にある者⇒主治医が認めた場合に限る⇒厚生労働大臣が指定する指定訪問看護事業者から⇒自己が選定する事業者となる
ただし、主治医は、指定訪問看護事業者の選定の指示はできませんが、指定訪問看護事業者は看護の提供の開始に際し、主治医による指示を文書で受けなければなりません。
長時間の指定訪問看護や営業時間外における指定訪問看護について利用した場合は、その費用は訪問看護療養日の対象とはならなくなり、別途、料金を負担する事になります。
本件の回答が×である根拠となる条文は、以下の通りです。「指定訪問看護を受けようとする者は、厚生労働省令で定めるとことにより、自己の選定する指定訪問看護事業者から受けるものとする。」との条文があり、この条文から×と判断できる。
[自説の根拠]健康保険法第88条3項
指定訪問看護事業者とは、居宅における療養上の世話や診療の補助を行う事業をしている者で、【厚生労働大臣の指定】を受けていることが必要です。

88

【試験問題】 次の説明は、健康保険法に関する記述である。保険者は、診療報酬の審査支払事務について、社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険団体連合会に委託することができる。 【解答】○

保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を基金又は国保連合会に委託することができる。 (健康保険法 88条11項)保険者は、療養の給付に関する費用の審査および支払いに関する事務を社会保険診療報酬支払基金又は国民健康保険法に規定する国民健康保険団体連合会に委託することができる。設問の答えは○ですが、その根拠条文は次のとおりです。
法76条5項 保険者は、前項の規定による審査及び支払に関する事務を社会保険診療報酬支払基金法(昭和23年法律第129号)による社会保険診療報酬支払基金(第88条第11項において単に「基金」という。)又は国民健康保険法第45条第5項に規定する国民健康保険団体連合会(第88条第11項において「国保連合会」という。)に委託することができる。社会保険診療報酬支払基金とは…健康保険、船員保険法、国民健康保険、高齢者医療確保法、共済組合に関する法律等の規定に基づいて行われる療養の給付等に係る診療報酬の審査及び支払に関する事務を行うことを目的とする 診療報酬支払基金法1条

88

【試験問題】次の説明は、健康保険法に関する記述である。
訪問看護療養費が支給される訪問看護事業の対象者は、病状が安定し、又はそれに準ずる状態にあり、かつ、居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要すると主治の医師が認めた者に限られる。 【解答】○

訪問看護療養費は、指定訪問看護事業者から指定訪問看護を受けた時に支給され、その対象となるのは、病状が安定し、またはこれに準ずる状態いあり、かつ居宅において看護師等が行う療養上の世話及び必要な診療の補助を要すると、主治の医師が認めたものに限る。
[自説の根拠]88条1項、施行規則67条
訪問看護療養費は、厚生労働省令で定めるところにより、保険者が必要と認める場合に限り、支給するものとする。
設問のとおり、「訪問看護療養費が支給される訪問看護事業の【対象者】は、……【主治の医師が認めた者に限られる】」で、解答は、〇ですが、【訪問看護療養費の支払】は、【保険者が必要】と認める場合に限り支給されるものです。

選択式対策として【】内はしっかり覚えておこう。
訪問看護療養費が支給される訪問看護事業の対象者は、病状が安定し、又はそれに準ずる状態にあり、かつ、【居宅】において看護師等が行う【療養上の世話】及び必要な【診療の補助】を要すると【主治の医師】が認めた者に限られる。

88

【試験問題】次の説明は、保険給付に関する記述である。介護保険適用病床に入院している要介護被保険者である患者が、急性増悪により密度の高い医療行為が必要となったが、患者の状態等により患者を医療保険適用病床に転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為が行われた場合は、介護保険から給付される部分に相当する療養を除いて、その給付は医療保険から行う。【解答】○

第一項の給付(厚生労働大臣が定める療養に係るものを除く。)は、介護保険法第四十八条第一項第三号に規定する指定介護療養施設サービスを行う同法第八条第二十六項に規定する療養病床等に入院している者については、行わない。 (健康保険法 63条4項)介護保険適用病床に入院している要介護者である患者が、急性憎悪等により密度の高い医療行為が必要となった場合については、当該患者を医療保険適用病床に転床させて療養を行うことが原則であるが、患者の状態、当該病院又は診療所の病床の空き状況等により、患者を転床させず、当該介護保険適用病床において緊急に医療行為を行う必要のあることが想定され、このような場合については、当該病床において療養の給付又は医療が行われることは可能であり、この場合の当該緊急に行われた医療に係る給付については、医療保険から行うとされている。法88条、平成12年03月31日保険発第55号・老企第56号・老健第80号

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関連条文

  1. 雇保法 第十条 失業等給付

  2. 徴収法 第十三条 (第一種特別加入保険料の額)

  3. 厚年法 第百四十五条 (解散)

  4. 健保法 第六十三条(療養の給付)

  5. 労基法 第九十四条(寄宿舎生活の自治)

  6. 労基法 第三十八条(時間計算)

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