労基法 第四条 (男女同一賃金の原則)

第四条 (男女同一賃金の原則)
使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的取扱いをしてはならない。

使用者は、労働者が女性であることを理由として、「賃金について」男性と差別的取扱いをしてはならない。ということが書いてありますが、言い換えると賃金以外の差別はOKって事です。(もちろん別の法律(男女雇用機会均等法など)で縛りがあるのでこの4条だけで極論すればです。)

それくらい、4条には「性別を理由にして、賃金のみ差別してはいけない」しか書いてないという事(=3条には「性別」は書いてないという事と、4条には「賃金」しか書いてないという事)は試験で聞かれます。


【試験問題】
次の説明は、労働基準法上の総則及び労働契約に関する記述である。使用者は、労働者が女性であることを理由として、賃金について、男性と差別的な取扱いをしてはならない。
【解答】

「男女同一賃金の原則の規定」の条文そのもので、正解です。

で、試験的な観点(よく問題に出るのが)でいえば、賃金については性別で「有利に取り扱うことも禁止」という事がポイントです。


【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則等に関する記述である。労働基準法第4条が禁止する女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、女性を男性より有利に取扱う場合は含まれない。
【解答】
×

女性であることを理由とする賃金についての差別的取扱いには、不利に取り扱う場合のみならず、有利に取り扱う場合も含ますので、問題文は誤りです。

また「規程に差別待遇があっても、その差別の事実がない場合には規程は無効だが労基法違反はしていない」ってのが試験で正誤ひっかけ問題が出題されます。

就業規則に差別待遇の規定があるのみで、差別の事実がないときは違反とはならないが、その就業規則の規定は無効となる。
(昭和23年12月25日基収4281号、平成9年9月25日基発648号)

「『私は泥棒です』って宣言しても実際に窃盗しない限りは捕まらない」という例えが分かりやすいと思います。ただ、判例を知っているかどうかだけの法律の本質とは違う重箱隅問題だと思います。

そのためそんな重箱隅問題はさらっと覚えた上で、力を入れて覚えるべきなのは「『労働基準法』では、『賃金』についてのみ男女差別を禁止しているので、『賃金』以外の労働条件についての規制は、『男女雇用機会均等法』の定めるところによる」っていう法律の本質の方です。

女性であることを理由とした差別を禁じているのであって、職務、能率、技能、年齢、勤続年数等によって、賃金に個人的差異の生ずることは問題ありません。


【試験問題】
次の説明は、労働基準法の総則に関する記述である。労働基準法第4条は、性別による差別のうち、特に顕著な弊害が認められた賃金について、罰則をもって、その差別的取扱いを禁止したものである。
【解答】

昭和20年代の「通達(昭和22年9月13日発基17号、昭和25年11月22日婦発311号)」で、当時、封建的構造が根強く女性労働者の地位が低かったため、女性だけという理由で特に賃金が男性と比べ極端に低かったため、この状態を改善するために、「罰則(6か月以下の懲役または30万円以下の罰金)」を持っています。そして現在は女性として優遇することも第四条に違反となります。

ちなみに訓示的な規定には罰則はありません。

訓示的な規定とは具体的には、「労働条件の原則(労基法1条)」、「労働条件の決定(2条)」、「徒弟弊害排除(法64条)」、「寄宿舎の私生活の自由(法91条1項)」です。

関連条文

  1. 労基法 第六十五条(産前産後)

  2. 船員保険法 第五十三条(療養の給付)

  3. 労基法 第十八条  (強制貯金)

  4. 労働者災害補償保険法

  5. 労基法 第百六条(法令等の周知義務)

  6. 労基法 第二十四条(賃金の支払)

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