第六款 費用の負担
(掛金)
第百三十八条 基金は、基金が支給する年金たる給付及び一時金たる給付に関する事業に要する費用に充てるため、掛金を徴収する。ただし、政令で定める場合にあつては、この限りでない。
2 掛金(第五項又は第六項の規定により徴収する掛金を除く。次項及び第四項において同じ。)は、老齢年金給付の額の計算の基礎となる各月につき、徴収するものとする。
3 掛金の額は、政令の定めるところにより、加入員の標準給与の額を標準として算定するものとする。
4 第百二十九条第二項に規定する加入員に係る掛金の額は、前項の規定にかかわらず、同項の規定により算定した額に、標準給与の額の基礎となる給与の額に対する当該基金の設立事業所で受ける給与の額の割合を乗じて得た額とする。
5 基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が、分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして厚生労働省令で定める事由が生じた場合を含む。)において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
6 基金が解散する場合において、当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を、設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
138
3 138条
次の説明は、厚生年金基金に関する記述である。
厚生年金基金の設立事業所が脱退して減少する場合において、その減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加するときは、当該基金は脱退する事業所から規約に定めるものにより算定した額を掛金として一括して徴収するものとし、当該事業所の事業主はこの掛金について規約の定めるところにより加入員の同意がなくても折半することができる。 2004年度(平成16年度)
解答 ×
基金の設立事業所が減少する場合において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。 (厚生年金保険法 138条5項)
設立事業所が厚生年金基金から脱退する場合に積立不足金がある時は、受給権を確保する観点から、当該脱退事業所の従業員や退職者が今後基金から受取る給付に係る不足分であり、当該脱退事業所が負担すべき部分を一括して徴収することができることになっている。
徴収される積立不足金は事業主が負担することとされているが、政令で定める基準(一括徴収される掛金の額が積立不足金の2分の1を超えないこと、及び加入員の同意を得ること)に従い規約で定めるところにより、掛金の一部を加入員が負担することもできることになっている。
(法138条5項、法139条3項、基金令34条の2第2号)
138
5 138条
基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして省令で定める事由が生じた場合含む)において当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなる時は、当該基金は当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括徴収するものとする。(138条5項)
改正により【(設立事業所の事業主が分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして省令で定める事由が生じた場合含む)】が追加されました。
関連問題
次の説明は、厚生年金基金(以下「基金」という。)等に関する記述である。
基金は、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより、設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合又は加入者の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる。
138
5 138
次の説明は、厚生年金基金に関する記述である。
厚生年金基金が解散する場合において、解散する日における年金給付等積立金の額が政令で定める額を下回るときは、その下回る額を事業主及び加入員の負担において一括して徴収しなければならない。 2002年度(平成14年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
解答
[正しい答え]
×
基金が解散する場合において、当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を、設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。 (厚生年金保険法 138条6項)
基金が解散する場合において、当該解散する日における年金給付等積立金の額が、政令で定める額を下回るときは、当該基金は、当該下回る額を、設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとされている。
よって、「事業主及び加入員の負担において一括して徴収しなければならない」(加入員から徴収することはできない)とした問題文は誤りである。
[自説の根拠]法138条6項
一括徴収分は原則として事業主負担。
ただし、政令で定める基準に従い規約で定めることにより(掛金の1/2を超えない、加入員の同意)加入員にも負担を求めることができる。
[自説の根拠]139条3項、基金令34条の2
参考
積立金1.1兆円不足 厚年基金
全国に608ある厚生年金基金のうち9割近い529基金が企業年金の利回りを5.5%と想定していることがわかった。実際の利回りは5.5%を下回ることが多く、このうち364基金で積立金が不足し、不足額の総額は1兆1200億円に達している模様。
09年度までの過去10年の運用実績は平均マイ0.5%、過去20年をみてもプラス2.3%に過ぎず、調査は10年3月末時点で現在の積立足額はさらに膨らんでいる可能性もある。
[自説の根拠]平成23年4月21日NEWS
(掛金の負担及び納付義務)
第百三十九条 加入員及び加入員を使用する設立事業所の事業主は、それぞれ掛金(前条第五項又は第六項の規定により徴収する掛金を除く。次項において同じ。)の半額を負担する。
2 基金は、前項の規定にかかわらず、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより、設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる。
3 前条第五項及び第六項の規定により徴収する掛金については、事業主が負担するものとする。ただし、加入員は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、当該掛金の一部を負担することができる。
4 設立事業所の事業主は、その使用する加入員及び自己の負担する掛金を納付する義務を負う。
5 設立事業所の事業主は、基金の同意があるときは、政令の定めるところにより、掛金を金銭に代えて金融商品取引所に上場されている株式で納付することができる。
6 加入員が同一の基金の設立事業所の二以上に同時に使用される場合における各事業主の負担すべき掛金の額及び掛金の納付義務については、政令の定めるところによる。
7 育児休業等をしている加入員(第百二十九条第二項に規定する加入員を除く。)を使用する設立事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより基金に申出をしたときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る掛金のうち、免除保険料額(当該加入員の標準報酬月額及び標準賞与額にそれぞれ第八十一条の三第一項に規定する免除保険料率を乗じて得た額をいう。以下同じ。)を免除する。
8 育児休業等をしている加入員であつて第百二十九条第二項に規定する加入員である者を使用する設立事業所の事業主が、厚生労働省令の定めるところにより基金に申出をしたときは、第一項及び第二項の規定にかかわらず、その育児休業等を開始した日の属する月からその育児休業等が終了する日の翌日が属する月の前月までの期間に係る掛金のうち、免除保険料額に前条第四項に規定する割合を乗じて得た額を免除する。
139
次の説明は、厚生年金基金等に関する記述である。
設立事業所の事業主が納付する掛け金は、基金の規約と同意を得て、厚生労働省令の定める範囲内において、上場株式(時価に換算した価額による)によって納付することができる。 2006年度(平成18年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
設立事業所の事業主は、基金の同意があるときは、政令の定めるところにより、掛金を金銭に代えて金融商品取引所に上場されている株式で納付することができる。 (厚生年金保険法 139条5項)
設立事業所の事業主は、基金の同意があるときは、政令で定めるところにより、掛金を金銭に代えて金融商品取引所に上場されている株式で納付することができる。
[自説の根拠]第139条 第5項
平成12年の法改正により、事業主が掛金を拠出金しやすい仕組みを整備し基金の積立不足の早期解消に資するという観点から、設立事業所の事業主が保有する上場株式(時価に換算した価額とされている)を、基金の同意があることその他政令で定める条件の下に掛金として納付することができるようになった。
よって、問題文は正解である。
[自説の根拠]法139条5項、基金令34条の3
139
2 139
次の説明は、厚生年金基金(以下「基金」という。)等に関する記述である。
基金は、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより、設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合又は加入者の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる。 2008年度(平成20年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
解答
[正しい答え]
×
基金は、前項の規定にかかわらず、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより、設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる。 (厚生年金保険法 139条2項)
設立事業所の事業主の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することはできるが、加入員の負担すべき掛金の額及び負担割合を増加することはできない。(なお、掛金の全額を事業主負担とすることはできない。)
しかしながら、加入員の負担すべき掛金の額の負担割合を増加することは認められていない。
よって、「又は加入者の負担すべき掛金の額の負担の割合を増加することができる」とした問題文は誤りとなる。
[自説の根拠]法139条1項・2項
基金は、政令で定める範囲内において、規約の定めるところにより設立事業所の「事業主」の負担すべき掛金の負担割合を「増加」することができる
[自説の根拠]139条1項、2項、3項
関連問題
次の説明は、厚生年金保険法に関する記述である。
厚生年金基金の事業主及び加入員は、それぞれ掛金を折半するが、規約を定めることにより、事業主の負担分を増額することができる。
139
次の説明は、厚生年金基金(以下「基金」という。)に関する記述である。
基金の設立事業所が脱退することに伴って当該基金の設立事業所が減少する場合において、この減少に伴い、他の設立事業所に係る掛金が増加するときは、当該基金は厚生労働省令で定める計算方法のうち、規約に定めるところにより算定した額を脱退する事業所の事業主から、掛金として一括して徴収するものとされているが、このとき徴収される掛金について、当該基金の加入員は政令で定める基準に従い規約に定めるところにより、当該掛金の一部を負担することができる。 2009年度(平成21年度) 試験問題 [改題] (最終改訂日: 2010年05月11日)
○
基金の設立事業所が減少する場合において、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加することとなるときは、当該基金は、当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を、当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。 (厚生年金保険法 138条5項)
脱退する事業所から徴収する掛金は、事業主が負担するのが原則であるが、政令で定める基準に従い規約で定めることにより、加入員も当該掛金の一部を負担することができる。
本問題の前文の部分は、厚生年金法第138条5項に規定されておりその根拠は分かりますが、後段の加入員が「当該掛金の一部を負担することができる。」との記述の根拠は、この条文だけではありません。この部分が正しいと判断する根拠は、第139条3項にあり「前条第5項及び第6項の規定により徴収する掛金については、事業主が負担するものとする。ただし、加入員は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、当該掛金の一部を負担することができる。」との規定より正しいと判断できるもの。
[自説の根拠]厚生年金法第138条5項及び第139条3項
厚生年金基金から事業所が脱退する場合に積立不足金があるときは、受給権確保を図る観点から、当該脱退事業所の従業員や退職者が今後基金から受け取る給付に係る不足分であり、当該脱退事業所が負担すべき部分を、一括徴収することとされているが、このときに徴収される徴収する掛金については、原則として事業主が負担するものとされている。しかし、当該基金の加入員は、政令で定める基準に従い規約で定めるところにより、当該掛金の一部を負担することができることになっている。
よって、問題文は正解となる。
[自説の根拠]法138条5項、法139条3項
【改正】括弧書きが明記
基金の設立事業所が減少する場合(設立事業所の事業主が分割又は事業の譲渡により他の設立事業所の事業主以外の事業主にその事業の全部又は一部を承継させる場合その他の設立事業所の減少に相当するものとして省令で定める事由が生じた場合含む)、当該減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加する時、当該基金は当該増加する額に相当する額として厚生労働省令で定める計算方法のうち規約で定めるものにより算定した額を当該減少に係る設立事業所の事業主から掛金として一括して徴収するものとする。
[自説の根拠]法138条5項
次の説明は、厚生年金基金に関する記述である。
厚生年金基金の設立事業所が脱退して減少する場合において、その減少に伴い他の設立事業所に係る掛金が増加するときは、当該基金は脱退する事業所から規約に定めるものにより算定した額を掛金として一括して徴収するものとし、当該事業所の事業主はこの掛金について規約の定めるところにより加入員の同意がなくても折半することができる。
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